ゼルヤンツ、オプジーボ等の適応が追加されました(2018年5月)

4月の第一・第二部会で審議・報告された品目が適応追加されたようなので、まとめました。

効能等追加品目の一覧

今回承認された効能等追加品目の一覧です。
会社名をクリックすると、各社のニュースリリースに飛びます。
(直PDFのリンクもありますので、ご注意ください。)

効能等追加品目

販売名(一般名) 会社名 効能等追加事項
ゼルヤンツ錠5mg
(トファシチニブクエン酸塩))
ファイザー JAK阻害薬
追加適応:中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
留意事項通知あり
オプジーボ点滴静注20mg・100mg
(ニボルマブ(遺伝子組換え))
小野 抗PD-1抗体
追加適応:根治切除不能な悪性黒色腫(ヤーボイとの併用療法)
※最適使用推進GL改訂あり
ヤーボイ点滴静注液50mg
(イピリムマブ(遺伝子組換え))
BMS 抗CTLA-4抗体
追加適応:根治切除不能な悪性黒色腫(オプジーボとの併用療法)
ヌーカラ皮下注用100mg
(メポリズマブ(遺伝子組換え))
GSK 抗IL-5抗体
追加適応:既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
ボトックス注用50・100単位
(A型ボツリヌス毒素)
GSK 追加適応:痙攣性発声障害

雑感:気になるのは…

ゼルヤンツ:
もともと関節リウマチの治療薬でしたが、潰瘍性大腸炎の適応が追加されました。
中等症から重症に適用とのことなので、レミケード等の分子標的薬と同じ位置づけになるんですかねぇ。

局所ステロイドやメサラジン製剤で効果不十分だけど、注射はイヤだなぁ。ってときの選択肢になりそうです。

注意点として、副作用に関する留意事項通知が出ております。

本剤投与により、結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染等による重篤な感染症の新たな発現もしくは悪化や帯状疱疹等の再活性化が報告されていること、本剤との関連性は明らかではないが悪性腫瘍の発現も報告されていること、本剤の維持療法で10mgを投与する際には慎重に判断する必要があることから、その使用に当たっては、特に下記の点について留意されるよう、貴管下の医療機関及び薬局に対する周知をお願いします。

1. 本剤の適正使用について
(1)本剤については、本承認に際し、製造販売業者による全症例を対象とした使用成績調査をその条件として付したこと。

(2)本剤の警告、効能又は効果、用法及び用量、慎重投与並びに重要な基本的注意は以下のとおりであるので、特段の留意をお願いすること。なお、その他の使用上の注意については、添付文書を参照されたいこと。

 

オプジーボ&ヤーボイ:
待ちに待った併用療法~!と思ったのですが、第3相試験盛大に失敗してませんか。


(オプジーボ添付文書より)
N:ニボルマブ〔商品名:オプジーボ〕 I:イピリムマブ〔商品名:ヤーボイ〕

あれ、オプジーボ単独で良くない・・・?
前評判では「副作用も多いけど効果も高い!」だった気がしたのですが・・・。
この臨床試験結果を見る限りでは、併用しなくても良いんじゃないかなーと思ってしまいます。お値段も高いし・・・。

そんな臨床試験結果を反映したのか、最適使用推進ガイドラインでも以下のように記載。あ、「本剤」はオプジーボのことです。

5.投与対象となる患者
3)本剤+イピリムマブ投与は化学療法未治療の根治切除不能な悪性黒色腫患者を対象とした海外第III相試験(CA209067試験)において、対照とされたイピリムマブ投与に対して有効性が検証されている。
ただし、本剤+イピリムマブ投与と本剤単独投与を比較した探索的な検討においては、PD-L1発現状況によりイピリムマブの上乗せ効果が異なる傾向が示唆される結果が得られている。
そのため、化学療法未治療の根治切除不能な悪性黒色腫患者において、本剤とイピリムマブとの併用投与の可否を判断する場合、PD-L1発現率を確認することが望ましい。
PD-L1発現率が1%以上であることが確認された患者においては、原則、本剤単独投与を優先する。

6.投与に際して留意すべき事項
3) 化学療法未治療の根治切除不能な悪性黒色腫患者において、本剤とイピリムマブとの併用投与の可否を判断する場合、PD-L1 発現率も確認することが望ましいが、PD-L1 発現率が確認できない場合には、本剤とイピリムマブとの併用の適否を適切に判断した上で投与すること。

おそらく通知も出ているので、入手できたら追記します~。

 

参考文献
1)各社プレスリリース
2)各製品添付文書
3)トファシチニブクエン酸塩製剤の使用に当たっての留意事項について, 薬生薬審発0525 第3号, https://www.pmda.go.jp/files/000224338.pdf.
4)ニボルマブ(遺伝子組換え)製剤の最適使用推進ガイドライン(悪性黒色腫)の一部改正について, 薬生薬審発0525第7号, https://www.pmda.go.jp/files/000224308.pdf.