東レ・メディカルのそう痒症治療薬「ノピコールカプセル2.5μg」が販売中止になります。
参考 販売中止のご案内[PDF] 東レ・メディカル(医療従事者向け)中止時期はいつ?
2018年12月末日、在庫終了をもって販売中止になるとのことです。
経過措置期間は、2019年3月31日までの予定、とのこと。
ノピコールってどんなくすり?
販売名 | ノピコールカプセル2.5μg |
名前の由来 | 痒み(picor:スペイン語)が無くなる(no)という意味から nopicor |
一般名 | ナルフラフィン塩酸塩 |
会社名 | 東レ・メディカル(株) |
薬効 | 選択的κ受容体作動薬 |
効能・効果 | 次の患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る) 透析患者、慢性肝疾患患者 |
販売開始時期 | 2015年5月 |
ノピコールはレミッチと同じナルフラフィン製剤で、選択的κ(カッパ)受容体作動薬です。2)
かゆみには末梢性のかゆみと中枢性のかゆみがあります。
末梢性のかゆみには主にヒスタミンが、中枢性のかゆみには主にオピオイドが関与しています。
そのため、中枢性のかゆみには抗ヒスタミン薬が効きにくく、難治性のかゆみとされています。
ナルフラフィンはオピオイド受容体のひとつであるκ受容体に結合・活性化することで、かゆみを抑制する薬剤です。
κ受容体作動薬は、現状、ナルフラフィンしか国内承認されていません。
そのため、難治性のかゆみへの治療手段として確固たる地位を築いています。
なんで中止になったの?
「諸般の事情」とのことです。
まぁ、先行するレミッチと同一適応で発売することになった時点で、ノピコールの存在意義は無くなりましたよね。
この辺、まだ記憶に新しい方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ナルフラフィン製剤は、すでにレミッチが「透析患者」のかゆみ治療薬として、2009年に発売されていました。
そのため、ノピコールは「肝機能障害患者」のかゆみ治療薬として発売し、レミッチとの住み分けを図る予定だったと思います。
しかし、同一有効成分・剤形・規格で別適応の製剤が現場に出回ると、医療現場に混乱をきたすことが懸念されたため、厚生労働省から両製剤の効能・効果を同じにするよう要望が出されました。3)
結果、レミッチとノピコールは同じ適応の製剤に。
1物2名称品の片方が、6年遅れで市場に出てきた形となりました。
そりゃあ売れないよね。
代替品はあるの?
同じナルフラフィン製剤のレミッチカプセル・OD錠がいます。
ノピコール発売時にメーカーさんへ問合せたら「ノピコールとレミッチは包装が違うだけで同じカプセルです!(意訳)」と言っていたので、特に問題なく切り替えられるかと。
しかもレミッチの方が微妙に安い。(レミッチ:1,340.90円、ノピコール:1,342.50円)
また、2018年6月に後発品も出ております。
代替手段はいっぱいありますね。
ただ、いま切り替えるとしたらOD錠ですかね…?
OD錠は、レミッチ、「サワイ」、「フソー」。ODフィルムは「ニプロ」が発売されてます。
販売名 | 会社名 | 薬価 |
レミッチカプセル2.5μg 同OD錠2.5μg |
東レ=鳥居 | 1,340.90 |
ナルフラフィン塩酸塩カプセル2.5μg「あすか」 | あすか製薬 | 549.5 |
ナルフラフィン塩酸塩カプセル2.5μg「キッセイ」 | キッセイ | |
ナルフラフィン塩酸塩カプセル2.5μg「ケミファ」 | ケミファ | |
ナルフラフィン塩酸塩OD錠2.5μg「サワイ」 | 沢井 | |
ナルフラフィン塩酸塩カプセル2.5μg「トーワ」 | 東和薬品 | |
ナルフラフィン塩酸塩カプセル2.5μg「ニプロ」 同ODフィルム2.5μg「ニプロ」 |
ニプロ | |
ナルフラフィン塩酸塩カプセル2.5μg「日医工」 | 日医工 | |
ナルフラフィン塩酸塩カプセル2.5μg「BMD」 | 日本ジェネリック | |
ナルフラフィン塩酸塩OD錠2.5μg「フソー」 | 扶桑 | |
ナルフラフィン塩酸塩カプセル2.5μg「YD」 | 陽進堂 |
2)ノピコールカプセル2.5μg, 添付文書, インタビューフォーム.
3)ノピコールカプセル2.5μg 審査報告書, PMDA, http://www.pmda.go.jp/drugs/2014/P201400168/480331000_22600AMX01388_A100_1.pdf.