セルテクト錠・DSが販売中止になります。

協和発酵キリンの抗アレルギー薬「セルテクト錠30・ドライシロップ2%」が販売中止になります。

 
(協和発酵キリンwebサイトより)

参考 「セルテクト錠 30」「セルテクトドライシロップ 2%」 販売中止についてのご案内[PDF] 協和発酵キリン(医療従事者向け)

中止時期はいつ?

2018年8月末日、在庫終了をもって販売中止になるとのことです。
経過措置期間は、2019年3月31日までの予定、とのこと。

セルテクトってどんなくすり?

販売名 セルテクト錠30・ドライシロップ2%
名前の由来 Mast Cell を protectすることから命名された。
一般名 オキサトミド
会社名 協和発酵キリン(株)
薬効 抗ヒスタミン薬
効能・効果 錠:アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚そう痒症、湿疹・皮膚炎、痒疹
DS:気管支喘息、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、痒疹
販売開始時期 1987年3月

セルテクトは、アレグラやタリオンと同じ、ピペリジン/ピペラジン系の第2世代抗ヒスタミン薬です。2)
第2世代としては初期に発売されており、いわゆる鎮静性の抗ヒスタミン薬に分類されています。2)

そのため、後期に発売された非鎮静性の抗ヒスタミン薬である、アレグラ、アレジオン、タリオンなどに押され、徐々に主流から外れていったと思われます。
特にセルテクトは、アレグラ&タリオン&ジルテック等と同じピペリジン/ピペラジン系の薬剤ですので新しい位置づけの確保も難しく、切り替えられていってしまったのかなぁと推察します。

この辺は薬剤師的なモノゴコロがついていなかったので、実情を知る方の情報提供お待ちしています!

主な第2世代抗ヒスタミン薬(内用剤)の一覧

成分名 代表販売名(初収載年) 後発品 OTC医薬品
三環系
ケトチフェン ザジテン(1983年) あり 第2類
アゼラスチン アゼプチン(1986年) あり 第2類
エピナスチン アレジオン(1994年) あり 第2類
オロパタジン アレロック(2001年) あり
ロラタジン クラリチン(2002年) あり 要指導
デスロラタジン デザレックス(2016年)
ルパタジン ルパフィン(2017年)
ピペリジン/ピペラジン系
オキサトミド セルテクト(1987年) あり
エバスチン エバステル(1996年) あり 第2類
セチリジン ジルテック(1998年) あり 第2類
フェキソフェナジン アレグラ(2000年) あり 要指導(小児)
・第2類
ベポタスチン タリオン(2000年) あり 要指導(未発売)
レボセチリジン ザイザル(2010年)
ビラスチン ビラノア(2016年)
その他
メキタジン ゼスラン/ニポラジン(1983年) あり 第2類
エメダスチン レミカット(1993年) あり

 

現状、各ガイドラインでも、どちらかというと非鎮静性の第2世代抗ヒスタミン薬が推奨されているので、鎮静性の成分は出番が少なさそうです。

ガイドライン名 抗ヒスタミン薬の位置づけ
鼻アレルギー診療ガイドライン(2016年版) 第一選択薬のひとつとして、第2世代の抗ヒスタミン薬が記載3)
蕁麻疹診療ガイドライン 第一選択薬として、鎮静作用の少ない第2世代の抗ヒスタミン薬が推奨4)
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン(2016年版) 補助療法として、非鎮静性抗ヒスタミン薬 の使用が勧められる5)

 

なんで中止になったの?

「諸般の事情」とのことです。
個人的には売上減少が原因かなぁ・・・と思い、NDBデータを見たところ、タリオン&アレグラと処方数量が2桁違っておりました。(ドライシロップはデータなし)
セルテクト錠の処方数量は第71位。

販売名 処方数量
1 タリオン錠10mg 263,846,558
2 アレグラ錠60mg 222,206,888
3 ザイザル錠5mg 214,956,380
71 セルテクト錠30 7,861,982

(参考:第2回NDBオープンデータ 内服薬 外来(院外)(診療年月:H27年04月~H28年03月))

セルテクトちゃんまだ31歳なのに販売中止とは、薬剤の栄枯盛衰はスパンが短いですね。

ちなみに、私の知る限りの最速栄枯盛衰はテラビックです。
2011年11月に有用性加算(Ⅰ)(薬価+40%!)という高評価で収載。
しかし、2013年12月に発売されたソブリアードに速攻で処方が切り替え。
その後2014年9月発売のダクルインザ・スンベプラによりトドメをさされ、2018年3月販売中止となりました。
栄華の時代は2年だった…。

あの頃「すごいクスリが出た!」ってキャッキャしていたのが懐かしいです。
2010年代のC型肝炎治療の変遷はすっごく劇的に変わってとっても面白いので、いつかまとめたい。

 

そして更に余談ですが、NDBデータを見ていたら、愛知県のタリオン処方数量がかなり多いのが目に留まりました。
アレグラより約2倍多く出ています。
愛知県の人がタリオン好きなのか、はたまたメーカー力(めーかーぢからと読む)が強いのか…。

愛知県の処方数量

販売名 処方数量
1 タリオン錠10mg 21,565,985
2 アレグラ錠60mg 11,478,605
3 ザイザル錠5mg 11,880,074

(参考:第2回NDBオープンデータ 内服薬 外来(院外)(診療年月:H27年04月~H28年03月))

代替品はあるの?

後発品があるので、いまのところ大丈夫かと。
ただ、後発品も続々と販売中止のお知らせが出ているので油断なりません。
もし、採用している後発品がある場合は、メーカーさんに一応今後の予定を聞いておくと良いかもです。

2018/10/10時点で、私が把握している販売中止予定のメーカーさんは、下記表に記載しております~。

販売名
(メーカーにリンク)
会社名 薬価
セルテクト錠30 協和発酵キリン 25.5円
オキサトミド錠30mg「ケミファ」
販売中止予定[PDF]
日本薬工=ケミファ=富士フイルムファーマ 16.7円
オキサトミド錠30mg「EMEC」 サンノーバ=エルメッドエーザイ 16.7円
アトピクト錠30mg
販売中止予定[PDF]
共和薬品 5.8円
オキサトミド錠30mg「イワキ」 岩城 5.8円
オキサトミド錠30mg「クニヒロ」 皇漢堂 5.8円
オキサトミド錠30mg「サワイ」 沢井 5.8円
オキサトミド錠30mg「ツルハラ」 鶴原 5.8円
オキサトミド錠30mg「日医工」 日医工 5.8円
オキサトミド錠30mg「CH」 長生堂=日本ジェネリック 5.8円
オキサトミド錠30mg「NP」 ニプロ 5.8円
オキサトミド錠30mg「ZE」 全星 5.8円
オキサトーワ錠30mg 東和薬品 5.8円
ガーランド錠30mg
販売中止予定[PDF]
キョーリンリメディオ=杏林 5.8円
セルテクトドライシロップ2% 協和発酵キリン 42.2円
オキサトミドドライシロップ小児用2%「イワキ」 岩城 8.2円
オキサトミドドライシロップ小児用2%「ツルハラ」 鶴原 8.2円
オキサトミドドライシロップ小児用2%「日医工」 日医工 8.2円
オキサトミドDS小児用2%「サワイ」 沢井 8.2円
オキサトーワDS小児用2% 東和薬品 8.2円
セルトミドドライシロップ2%
販売中止予定[PDF]
小林化工 8.2円
トーラスタンDS2%
販売中止予定[PDF]
高田 8.2円
オキサトミドシロップ小児用0.2%「ファイザー」 マイラン=ファイザー 7.5円

雑談:オキサトミド製剤を引き続き採用するなら、セルテクトのインタビューフォームをダウンロードしておこう♪

販売中止になると、添付文書やインタビューフォームの公開も終了してしまうのが世の常です。
ここで問題なのが、ドライシロップなどの配合変化を起こす薬剤。
先発品で集積された数々のデータが失われてしまうのです…!

セルテクトの場合、インタビューフォームの末尾に「配合変化試験成績」の一覧が掲載されています。
2015年現在なのでちょっと古い薬剤も混ざっていますが、シロップ・内用液剤との配合変化が載っています。
後発品を使い続ける場合は、ダウンロードしておくことをオススメいたします。

参考 セルテクト錠 30・ドライシロップ 2% インタビューフォーム[PDF] 協和発酵キリン(医療従事者向け)

せっかくの知見が無くなってしまうのはもったいないですよね。
販売中止になった商品の資料、PMDAが公開し続けてくれると嬉しいなぁ。

 

参考文献
1)「セルテクト錠 30」「セルテクトドライシロップ 2%」 販売中止についてのご案内, 協和発酵キリン(株), https://www.kksmile.com/druginfo/notice/1167.pdf.
2)黒野祐一, 鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症-2016年版(改訂第8版)-抗ヒスタミン薬使用のポイント-, https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/65/8/65_982/_pdf.
3)【速報】2016年版鼻アレルギー診療ガイドライン 改訂のポイントは?, QLifePro, http://www.qlifepro.com/special/2015/12/24/breaking-2016-edition-nasal-allergy-practice-guidelines/.
4)蕁麻疹診療ガイドライン, 日本皮膚科学会, https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/1372913324_1.pdf.
5)アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版, 日本皮膚科学会, https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/atopicdermatitis_guideline.pdf.