ガラフォルドが発売されました

5月30日に、ファブリー病治療薬の「ガラフォルド」が発売されました。

ガラフォルドカプセル

販売名(一般名) 会社名 備考
ガラフォルドカプセル123mg
(ミガーラスタット塩酸塩)
アミカス・セラピューティクス α-ガラクトシダーゼ(α-Gal)構造安定化剤
適応:ミガーラスタットに反応性のあるGLA遺伝子変異を伴うファブリー病

ファブリー病はライソゾーム病のひとつです。
ライソゾーム病は、細胞内のライソゾームにあるいずれかの酵素が、遺伝的に活性を失う種々の遺伝性疾患をまとめた呼称です。2)
分解されなかった老廃物が、徐々に蓄積することで症状が出てくるため、年齢を重ねるにつれて次第に病気が重くなっていきます。2)

ファブリー病の場合は、α-ガラクトシダーゼの遺伝子変異により、糖脂質が細胞内に蓄積します。
現在は、ファブラザイム、リプレガルなどの酵素製剤を定期的に投与する「酵素補充療法」が行われています。

今回発売されたガラフォルドは、シャペロン療法に用いる新しい作用機序の薬剤です。
シャペロンは、異常な構造のタンパクをイイ感じにする物質のことです。

ガラフォルドは患者さんの体内にある、異常な構造のα-ガラクトシダーゼに作用し、少しだけ酵素が働けるようにしてくれます。
これにより、体内に溜まっていた糖脂質が分解され、症状が軽減するとされています。

酵素が全くない患者には効かないなどの欠点はありますが、経口投与だったり、脳の症状にも効果があったりと利点も多い薬剤なので、患者さんの症状や生活スタイルによって使い分けられるのかなーと思います。

参考 「ガラフォルドカプセル123mg」新発売のお知らせ[PDF]アミカス・セラピューティクス

製剤写真はまだありませんでした。
そもそもWebサイトのオープンが3月20日ですからね。
これから充実していくのでしょう・・・準備中のページ多いし。

雑談:シャペロンと言えばムコソルバン

ライソゾーム病に限らずですが、酵素の活性低下でなんかが蓄積して症状が出る系の疾患は、酵素をイイ感じに直せれば症状が軽減する可能性があります。
その「酵素をイイ感じに直す」のに役立つ物質がシャペロンなわけですね。

現在、シャペロン療法はファブリー病のほかに、ゴーシェ病でも研究が進められています。
そしてゴーシェ病の治療薬として研究されている薬剤が、アンブロキソールです。

そうですムコソルバンです。あの去痰剤のムコソルバン。
まさか希少疾病分野でムコソルバンの名前を聞くことになるとは、夢にも思わず。

昔からあるおくすりが、まったく別の作用機序で新しい治療薬として再デビューするのを見るとちょっと感慨深いです。
「この子(くすり)こんな特技もあるのよ!」みたいな親ばか気分になる。

今後AIさんが本格稼働したら、こういったドラッグ・リポジショニングがドンドン発見されるんだろうなぁ~と思うと、今からワクワクしますね!

 

参考文献
1)「ガラフォルドカプセル123mg」新発売のお知らせ, アミカス・セラピューティクス(株), http://www.amicusrx.jp/pdf/galafold_pr_180530.pdf.
2)ライソゾーム病(指定難病19), 難病情報センター, http://www.nanbyou.or.jp/entry/4063.
3)ライソゾーム病に対する薬理学的シャペロン療法の開発, 鳥取大学医学部附属病院 脳神経小児科, http://www.med.tottori-u.ac.jp/nousho/index9.php.