医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(案)をまとめてみた! | ぼうそう医薬情報室

医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(案)をまとめてみた!

医薬品の情報提供活動に関するガイドラインの素案が出たぞー!
というわけでまとめてみました。

本ガイドラインは、「特定の医療用医薬品の販売促進を期待して、関連企業に所属するすべての人が、当該医薬品の情報を提供する場合に求められること」をまとめたものだと思われます。

パブリックコメント受付期間は2018.7.12~2018.8.13。

参考 「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(案)」に関する御意見の募集についてe-GOV

「恣意的な情報提供をしない」というガイドラインを恣意的に抜粋・改変してまとめています。個人的にはピンク枠部分が読んで欲しいところ。

内容をしっかり確認したい人は、上のリンクから原本をご確認ください。
表紙込みで9ページだから、読むのにそんなに時間はかからないはず・・・!

また、パブコメ如何によっては内容が変わるかも知れません。
正式版が出たら追記する予定です~。

適用範囲等

対象者は?

  • 製薬会社(コ・プロ含む)
  • 医薬品卸

つまり、医療機関に情報を持っていく可能性のある企業は全部含まれるってことです。

ちなみに、雇用される全ての者に対して適用されます。
MR、MSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)、MSなど、医療機関を訪問する職種はもちろん、PMS担当の人、学術、人事、経理など営業部門ではない人も対象になります。

 

「販売情報提供活動」って?

  • 特定の医療用医薬品の名称又は有効性・安全性の認知の向上により、
    特定の医療用医薬品の販売促進を期待して、関連情報を提供・伝達すること

能動的・受動的は問いません。
なので、「先生に聞かれたから答えました!」という場合や、昔問題になった「製品名入りボールペン」なども情報提供活動に含まれると思われます。

なお、医薬品だけでなく、効能・効果に関連する疾患啓発も該当します。
こちらは一般人向けのものも対象
良くあるのは「今後糖尿病治療薬が出るから、糖尿病の動画作ろう~」とか、「CM流そう~」とかですね。
薬剤師がCMや電車の中づり公告を見て「このメーカーが糖尿病について公告を出していると言うことは・・・あのクスリの公告か!」ってわかるものは全部該当するかと。
あとは「糖尿病.jp(仮称)」のような、一般向けのメーカーサイトも該当すると思われます。

 

「販売情報提供活動の資材等」とは?

  • 販売情報提供活動に使用される資料及び情報

こちらは提供方法・媒体は問いません。
紙媒体はもちろん、口頭による説明、PCを見せながらの説明、動画、Webサイトなども該当します。

 

販売情報提供活動の原則

販売情報提供活動で守るべきこと

  • 効能・効果、用法・用量等は、承認された範囲内で提供

なお、未承認薬・適応外薬の情報は、求めがあった場合にその人へ提供することは差し支えありません。
ただし、情報提供にあたっては、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 通常の販売情報提供活動とは切り分ける
  • 内容は、要求内容に沿ったものに限定
  • 情報提供先は要求者に限定
  • 情報提供を求められたかのように装わない
  • 情報は、科学的・客観的かつ正確でなければならない
  • 要約、省略、強調等を行わない
  • 不利な情報も適切に提供する
    (副作用の危険性が高まること、臨床試験において有意差を証明できなかったことなど)
  • 未承認であることを明確に伝える
  • 経緯、提供先、提供内容等、情報提供に関する記録を作成し、保管する

「情報提供を求められたかのように装わない」って文面ちょっと好きです。
記載せざるをえないほど、横行してるんですね・・・。

記録の作成・保管がちょっぴりめんどくさいね。
今後、メーカーさんに未承認薬の情報を聞くと、色々聞かれたり念押しされたりするかと思いますが、ガイドラインに沿った行動かと思われます。
経緯って「個人的に知りたいから」とかじゃ教えてくれないのかなぁ。

 

  • 提供する情報を恣意的に選択しない

これは有効性だけでなく、安全性についても提供するってことですね。

恣意的な選択は止めて欲しいですが、スーパー細かい字で画面下にビッシリ安全性情報を書かれるのも見づらいので、良いフォーマットを作成していただきたいです。

海外の医薬品動画だと、最後に安全性情報のスライドが1分くらい続くことが多いですかねぇ。
あれで良いのかはわかりませんが・・・。

 

  • 科学的・客観的な根拠に基づく、正確な内容を提供
  • 引用情報は、その引用元を明記

これは当然ですね。

科学的根拠の例として「第三者による客観的評価及び検証が可能なもの」「論文の査読等を経たもの」「承認審査に用いられた評価資料や審査報告書」等があげられています。

また、引用情報の調査・作成の際に、メーカーからの物品・金銭・労務等の提供があった場合は、その具体的内容を明記しなければいけません。
たまにある「引用元、調べてみたら全部メーカー社員が共同執筆者じゃん・・・!」対策かと。

 

販売情報提供活動でしちゃいけないこと

  • 虚偽・誇大な表現や、誤認を誘発させるような表現等の使用
  • 承認された効能・効果、用法・用量等以外の使用方法を推奨(外国で承認されていても×)
  • 科学的・客観的な根拠なく、恣意的に、特定の医療用医薬品の処方、使用等に誘引する
  • 他社製品を誹謗・中傷等し、自社製品を優れたものと訴える
  • 疾患の罹患や疾病の症状を過度に強調し、不安を煽る
  • (一般人向けの疾患啓発)医療用医薬品による診断・予防・治療のみを推奨
  • (一般人向けの疾患啓発)医療用医薬品による治療以外に、治療の手段がないかのように誤認させる

まーそうだよね。という感じ。
「こういった患者さんは、半量から試しても良さそうです。」とか「適応はありませんが、薬理学的にはこういった病態にも効きます。」とか「海外ではこのような症例にも使われています。」といった情報は、今後はメーカーが関連していない学会・勉強会でしかできなくなりそうですね。

 

なお、ここに記載されていなくても、不適切な使用を誘発させることはすべてダメです。
ガイドライン(案)にも、キチンと以下のように記載されています。

本ガイドラインに明示されていない事項医薬品製造販売業者等は、本ガイドラインで定められていないこと(禁じられていないこと)であれば自由に行ってもよいとの誤った認識を持つことなく、医薬品製造販売業者等に求められる本来の責務とは何かという原点を判断の基軸として、自らを厳しく律した上で、販売情報提供活動を行うこと。

 

販売情報提供活動でした方が良いこと

  • 正確な理解に必要な情報を提供(試験研究の試験方法も示す等)
  • 比較試験の設計(優越性試験、非劣性試験等)と結果を正確に明示
  • 優位性を示せなかったことなど、ネガティブな情報も提供
  • 厚生労働省やPMDAから要求された事項に関する情報を提供(副作用の発生率の調査を指示された等)

これはゼヒゼヒやっていただきたいですね!

特に試験の設計は冒頭に書いていただきたい。
特に、非劣性試験なのに、ポジティブだったら優越性試験だったかのように公表するヤツ。優越性試験なのに、ネガティブだったら「同等でした~」って公表するヤツ。
勘違いしちゃうんで、ホントに止めてください・・・。

できれば、インタビューフォームに必須記載にしてもらえると嬉しいですねぇ。

 

医薬品製造販売業者等の責務

この章以降は、企業の内部体制の話がメインなので、現場にはあまり関係ないかも。
「へぇ~」と思っていただければ。

資材について

  • 資材等は、関係法令や本ガイドラインを遵守して作成
  • 最新の知見等を得たときは、適宜、更新・修正する
  • 国際機関や関係業界団体が作成するガイドライン等も遵守して作成するよう努める
  • 使用前に、予め、販売情報提供活動監督部門が審査

こちらも当然のことかと。
むしろ関係法令や学会作成のガイドラインに沿ってない資料って何だろう。

経営陣の責務

  • 自社の販売情報提供活動に対して責任を負う
  • 販売情報提供活動監督部門を社内に設ける
  • 審査・監督委員会を設け、販売情報提供活動監督部門の活動について助言させる
  • 販売情報提供活動の担当部門・担当者に、手順書・業務記録を作成・保管させる
  • 販売情報提供活動について苦情を受け付ける外部から認識可能な窓口を設ける

言いたいことは、「全責任は経営陣が負いなさい」ということかと。
あとは色々な部門を設置するよう求められていますね。

販売情報提供活動監督部門の責務

  • 担当者が適切な販売情報提供活動を行っているか、定期的にモニタリングを行う
  • 販売情報提供活動の担当部門・担当者に対して必要な監督指導を行う
  • 経営陣に対し、販売情報提供活動の実施状況を報告し、必要がある場合には審査・監督委員会の助言を踏まえ、意見具申を行う

販売情報提供活動監督部門は、「自社が販売情報提供活動を適切に行っていることを確認するため、販売情報提供活動の資材等や販売情報提供活動自体の適切性等をモニタリングする部門」です。

審査・監督委員会の責務

  • 販売情報提供活動の実施状況の報告を販売情報提供活動監督部門から定期的に受ける
  • 販売情報提供活動監督部門に対して、必要な助言を行う

販売情報提供活動の担当者の責務

  • 本ガイドラインに反する活動をしない
  • 審査で適切と認められた資材に沿って、正確で科学的・客観的な根拠に基づく販売情報提供活動を行う
  • 意図的か否かにかかわらず、誤解を招くおそれのある販売情報提供活動を行わない
  • 不適正使用又は誤使用を誘発するおそれのあるあらゆる表現を用いない
  • 必要な知識の習得や倫理観の涵養をはじめとした自己研鑽に努める
  • 審査で適切と認められた資材以外は用いない

これは、ガイドラインのおさらい的な内容ですね。
各医療機関に合わせた営業オリジナル資料は、今後は審査を通さないとNGになるんですねぇ。

 

コ・プロメーカーの特例

以下の条件で情報提供活動を実施する場合、コ・プロメーカー側で審査・監督委員会を設ける必要はありません。

  • 委託元・提携元の販売情報提供活動監督部門による審査を経た販売情報提供活動の資材等(作成企業名が明示されたものに限る)のみを使用
  • 委託元・提携元の定めるところに従って販売情報提供活動を行う

これは、「製造販売元の企業でキチンとチェックしてるから、もう一回チェックする必要はないよ!」ということですね。
コ・プロメーカー側で独自に資料を作成したり、情報提供活動を実施したりする場合は、特例は適用されません。

 

医薬品卸の特例

審査・監督委員会は、出来る限り設置するのが望ましい旨が、記載されています。
販売情報提供活動監督部門については記載がないので、メーカー同様に設置しなければならないかと。

メーカー資材をそのまま使って情報提供活動を実施する場合

メーカー資材を医薬品卸側で審査する必要はありません。

独自資料を使って情報提供活動を実施する場合

当該資料は、販売情報提供活動監督部門の審査を受ける必要があります。

独自資料(複数の医療用医薬品を公平かつ客観的に比較することを目的としたもの)を使って情報提供活動を実施する場合

当該資料は、販売情報提供活動監督部門の審査を受ける必要があります。
しかし、以下の条件に該当する場合、事後の審査でも差し支えありません。

  • 複数の医療用医薬品について特定の項目を比較するよう医薬関係者から求めがあり、当該求めに応じて作成されたものであること
  • あらかじめ販売情報提供活動監督部門の了承を得た基準であって、社内で十分周知されたものに則って作成されたものであること
  • 求めのあった項目に関する添付文書又は厚生労働省の告示若しくは通知の内容を、変更することなく正確に記述されたものであること

ここの解釈が一番悩みました。
ガイドラインの趣旨を鑑みるに、「特定の医療用医薬品の販売促進を期待して、複数の医療用医薬品を公平かつ客観的に比較することを目的とした独自資料を用いて情報提供する場合、この条件を満たす必要がある」と考えるに至ったのですが、これで合ってますかね・・・。

「どれでも良いから、うちから糖尿病薬買ってください!」という場合(不特定多数の医薬品の販売促進を期待)は、このガイドラインに沿う必要があるのでしょうか?

この辺は正式版かQ&Aで補足が欲しいところです。

 

参考文献
1)「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(案)」に関する御意見の募集について, e-GOV, http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495180093&Mode=0.