先日、東京都病院薬剤師会のセミナーに行ってきたので、講義のメモを起こしてみました。
参考 バイオシミラーを正しく理解するために 東京都病院薬剤師会ご講演は、昭和大学の佐々木先生です。
講義メモ
文責はわたし、小石まり子にあります。
間違っている部分を発見されましたら、ツイッターや当ブログの問合せページ等にて、ご指摘いただけると幸いです。
バイオ医薬品の特性を知る
・バイオ医薬品とは、バイオテクノロジーを応用して製造された医薬品
・高次構造を取ることで、初めて機能する
・一次構造:平面構造、アミノ酸の配列順序
・二次構造:タンパクの部分構造(αへリックス、βシート)
・三次構造:タンパクの立体構造(フィルグラスチムなど)
・四次構造:複数のタンパクの複合体(インフリキシマブなど)
・アミノ酸配列が同じ、違う医薬品を「バイオシミラー」、アミノ酸配列の違う医薬品を「アナログ」と言う。
・フィルグラスチムなどの単純なタンパクは大腸菌で産生可能(糖鎖が無い)
・インフリキシマブなどの複雑なタンパクは、動物細胞で産生させる

薬剤の立体構造のこと、きちんと考えてなかったな~と反省。

言われてみればそのとおり。

同等/同質とは
・バイオシミラーの同等性/同質性は、品質特性・非臨床試験・臨床試験で証明される
・セルバンクは、メーカーによって違う
=培養条件の変化が、構造に影響する可能性がある
⇒バイオシミラーの製造方法は、新薬に準じたデータが必要
・そのため製造工程が変更された場合、たとえ先発品でも「同一」とはいえない
・バイオシミラーの製造には、独自製法の確立(製法は開示されていない)と臨床試験が必須。


バイオシミラーの臨床試験
・臨床試験は、効果を反映するPDマーカーがあるかどうかで決まる。
・PDマーカーがある場合:先発品とのPK/PDの比較(クロスオーバー試験)でOK
・PDマーカーがない場合:有効性を評価する臨床試験(先発品との非劣勢試験)が必要
・安全性は、免疫原性を含む評価、新薬と同基準のPMSの実施、RMPの作成などが求められる。
・先発品とバイオシミラーの代替処方・混用は基本的に避ける
・切り替えはOK

医療費抑制への期待
・25年時点で、高額バイオ医薬品の60%の特許が切れる
・Orange Book(ジェネリックの比較リスト)と同様、Purple Book(バイオ医薬品の比較リスト)も活用

Interchangeability(互換性)の記載があるのが特徴!

免疫原性
・免疫原性は、バイオ医薬品の特性
・大型で、T細胞エピトープとB細胞エピトープを有するタンパクで見られることが多い。
・要因は多種多様(アミノ酸配列の違い、抗体の生物種(マウスorヒト)、タンパクの折り畳み方、糖化、翻訳後修飾、混合物の組成、併用薬、投与期間、未知の要因etc)
バイオ医薬品の経済的意義
・バイオ医薬品が高価で、治療を断念した患者の選択肢のひとつ
・国民医療費の削減に寄与
雑談:オススメサイト
バイオシミラーについて検索中に、お役立ちなサイト見つけたのでご紹介します!
日本化薬さんのBS online journalってサイトです。
「そもそもBSとはなにか?」のような、BSの基礎的なことは各メーカーwebサイトやバイオシミラー協議会、日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会あたりが詳しいです。
一方、BSの現状について調べたい場合は、このBS online journalが便利。
個人的なイチオシは、学会の記録集です。
BSが世界の学会でどのような評価を受けているのかがパッとわかって勉強になります。
BSの動向が気になっている方はゼヒ。