新薬雑感:ジェミーナ配合錠 | ぼうそう医薬情報室

新薬雑感:ジェミーナ配合錠

まずは基本情報

販売名 ジェミーナ配合錠
名前の由来 特になし
一般名 レボノルゲストレル/エチニルエストラジオール
会社名 ノーベルファーマ(株)
コ・プロ:あすか製薬(株)
薬効 卵胞ホルモン・黄体ホルモン混合製剤
効能・効果 月経困難症
用法・用量 1回1錠 21日間連続経口投与し、7日間休薬
29日目から次の周期を開始し、以後同様に繰り返す
または
1回1錠 77日間連続経口投与し、7日間休薬
85日目から次の周期を開始し、以後同様に繰り返す

月経困難症ってこういう疾患

  • 月経に伴って起こる病的な症状
  • 女性全体の1/3は、症状に対してクスリなどによる治療が必要
  • 治療には、主にNSAIDs(鎮痛薬)や低用量ピルが使われる

月経困難症は、月経に伴って起こる病的症状のことです。5)
月経困難症の症状は人によってさまざまで、下腹部痛、腰痛、腹部膨満感、吐き気、頭痛、疲労、脱力感、食欲不振、いらいら、下痢、憂うつなどがあらわれます。5)

月経痛自体は、成熟女性の70~80%が経験します。
しかし症状の重さにはかなり個人差が大きく、重症例では横にならざるをえず、ショックで緊急治療が必要になる場合もあります。6)

おおむね生殖可能な女性の1/3は、月経に伴う症状に対して、医学的介入が必要だといわれています。

月経困難症は、器質性(子宮内膜症のように、原因があるもの)と、機能性(原因が見つからないもの)に分けられます

器質性月経困難症の原因のひとつが、子宮内膜症です。
子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が子宮の外にできることで、月経時に痛みを生じさせる疾患です。
生殖可能な年齢の女性の約7~10%が罹患していると推定されています。5)

治療は薬物療法と手術療法がありますが、いずれも再発率が高く、閉経期まで長期に渡る管理が必要です。5)

一方、機能性月経困難症は、特に原因が見つからなかった場合に診断されます。
初経後2~3年からはじまり、一般に年齢とともに、また妊娠・出産によって症状が軽快していきます。5)

月経困難症はプロスタグランジンの関与が大きいため、NSAIDsが有効です。
また、排卵を抑え月経痛を軽減する作用を持つ、低用量ピル(卵胞ホルモン・黄体ホルモン混合製剤)も良く用いられます
その他、年齢や症状、生活状況によっては、ミレーナ、漢方薬、ブスコパンなどを使うこともあります。

ジェミーナってこういうくすり

  • 国内初の、第二世代黄体ホルモンを含む月経困難症治療薬
  • 周期投与と連続投与が選べる

ジェミーナは、国内初の、第二世代黄体ホルモン(レボノルゲストレル)を含む月経困難症治療薬です。3)

レボノルゲストレルを含む低用量ピルは以前からありましたが、今回初めて月経困難症の治療薬として正式に開発されました。

参考)エチニルエストラジオールとレボノルゲストレルの配合剤

製品名 成分 適応
アンジュ

トリキュラー

ラベルフィーユ

(赤褐色錠/白色錠/黄色錠)
エチニルエストラジオール:0.030/0.040/0.030mg
レボノルゲストレル:0.050/0.075/0.125mg
避妊(薬価未収載)

また、周期投与(28日で1周期)と連続投与(84日周期)が選べる薬剤のため、患者さんのニーズによって使い分けることができます。

この「周期を選べる」ってところが最大の特長かなと思います。

 

既存薬と違う点は?

ルナベルULDと違う点は?

ジェミーナはルナベルULDと比べて…

  • 月経周期が選べる(28日or84日)
  • [注]黄体ホルモンの種類が違う

ルナベルULDとジェミーナの一番の違いは、ジェミーナは月経周期が選べる点です。
ルナベルULDは周期投与(28日で1周期)で使用しますが、ジェミーナは周期投与と連続投与(84日周期)のどちらかを選ぶことができます。

一般的に、連続投与は周期投与よりも月経回数が減るため、月経痛の軽減が期待できます。3)
実際、ヤーズフレックスでは、連続投与は周期投与と比べて、同一期間での月経痛の回数を有意に減らしたことが報告されています。7)

一方、周期投与は連続投与よりも破綻出血*が少なく、自然な月経周期に近い3)ため、こちらを好む女性もいます。

*破綻出血:増殖した子宮内膜の表層が破綻し、出血すること

どちらの投与も一長一短、患者の好みや生活習慣で選ぶべきものなので、どちらも選べるのは大きなメリットかなと思います。

 

注意点として、ルナベルとジェミーナは黄体ホルモンの成分が違います
ルナベルは第一世代の黄体ホルモンであるノルエチステロン、ジェミーナは第二世代のレボノルゲストレルが使われています。
世代による違いを表にまとめました。8)

世代/成分 血栓症リスク プロゲステロン活性
:アンドロゲン活性
第一世代:ノルエチステロン 比較的低い 1:1
第二世代:レボノルゲストレル 比較的低い 5.3:8.3
第三世代:デソゲストレル、ゲストデン 少し高い 9.0:3.4
(デソゲストレル)
第四世代:ジエノゲスト、ドロスピレノン 少し高い 5.3:0
(ジエノゲスト)

第一世代と第二世代の差はほとんどありませんが、第二世代の方が少しアンドロゲン作用が強いようです。
アンドロゲン作用はニキビの発生や脂質代謝に影響を及ぼす可能性があるため、もともとコレステロール値が高い人は注意する必要があるかと思います。

販売名 ジェミーナ配合錠
ルナベル配合錠ULD
成分名 エチニルエストラジオール:0.02mg
レボノルゲストレル:0.09mg
エチニルエストラジオール:0.02mg
ノルエチステロン:1mg
用法 1日1錠
21日間連続投与、7日間休薬
または77日間連続投与、7日間休薬
1日1錠
21日間連続投与、7日間休薬
投与開始時期 月経第1~5日目 月経第1~5日目
次周期の開始時期 出血の有無に関わらず、29日目または85日目から投与開始 出血の有無に関わらず、29日目から投与開始
貯法 遮光、室温保存、気密容器 遮光、室温保存、気密容器
包装 63錠[21錠(PTP)×3]
84錠[28錠(PTP)×3]
63錠[21錠(PTP)×3]
252錠[21錠(PTP)×12]

 

ヤーズ・ヤーズフレックスと違う点は?

ジェミーナはヤーズ・ヤーズフレックスと比べて…

  • 月経周期が選べる
  • [注]黄体ホルモンの種類が違う
  • [注]適応が違う

こちらも、ポイントはルナベルと一緒です。
ヤーズは周期投与、ヤーズフレックスは連続投与(最長124日間)のみにしか使えません。

なので、薬剤師としては、1つの製剤で両方に使えるジェミーナの方が、在庫管理面で助かるかなと思います。

一方、服薬指導面では、製品で投与周期が分かるヤーズ・ヤーズフレックスと違い、ジェミーナはきちんと聴取する必要があります。

 

また、ヤーズ・ヤーズフレックスは第四世代の黄体ホルモンであるドロスピレノンを使用しています。
ドロスピレノンは2014年に血栓症に関する安全性速報(ブルーレター)が発出されているとおり、血栓症リスクが比較的高い製剤です。(といっても発現率は0.6%位ですが。)
よって、ルナベルULDやジェミーナに比べれば、ヤーズは血栓症に対する注意が必要です。

あと適応が地味に違います。
ヤーズフレックスは、子宮内膜症に伴う疼痛の改善にも使えます。
といっても月経困難症の中に子宮内膜症も入っているので、意義のある違いなのかは不明です。。。誰か教えてください。

販売名 ジェミーナ配合錠
ヤーズフレックス配合錠ULD
成分名 エチニルエストラジオール:0.02mg
レボノルゲストレル:0.09mg
エチニルエストラジオール:0.02mg
ドロスピレノン:3mg
適応 月経困難症 月経困難症
子宮内膜症に伴う疼痛の改善
用法 1日1錠
21日間連続投与、7日間休薬
または77日間連続投与、7日間休薬
1日1錠
24日間連続投与
以降3日連続で出血が認められた場合、
または連続投与が120日に達した場合、4日間休薬
投与開始時期 月経第1~5日目 月経第1日目
次周期の開始時期 出血の有無に関わらず、29日目または85日目から投与開始 4日間休薬後、出血の有無に関わらず投与開始
貯法 遮光、室温保存、気密容器 室温保存
包装 63錠[21錠(PTP)×3]
84錠[28錠(PTP)×3]
84錠[28錠(PTP)×3]
336錠[28錠(PTP)×12]

 

注意しておきたいことは?

注意
血栓症(重要な特定されたリスク)
乳癌(重要な潜在的リスク)
良性及び悪性の肝腫瘍(重要な潜在的リスク)
子宮頸癌(重要な潜在的リスク)
器質性疾患の増悪(重要な潜在的リスク)

結構ものものしいリスクが並んでいますが、ヤーズとほぼ同じです。
むしろヤーズの方が多い。

注意すべき有害事象(RMP)

RMPが出たら追記します~。

血栓症

血栓症は、卵胞ホルモン・黄体ホルモン製剤の代表的な副作用です。
血栓症の発現には卵胞ホルモン(エストロゲン)の影響が大きく、吸収されたエストロゲンが肝臓で凝固系を活性化して、血栓症リスクを増やすといわれています。11)

ジェミーナの臨床試験では、血栓症の発現は見られませんでした。
しかし、血栓症が卵胞ホルモン・黄体ホルモン製剤共通の副作用であること、類薬のヤーズでブルーレターが配布された経歴があること等から、特定されたリスクに設定されました。3)

添付文書には、以下のように記載。

【添付文書記載事項】
禁忌(抜粋):
4. 血栓性静脈炎、肺塞栓症、脳血管障害、冠動脈疾患又はその既往歴のある患者[血液凝固能が亢進され、これらの症状が増悪することがある。]
5. 35歳以上で1日15本以上の喫煙者[心筋梗塞等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。]
7. 肺高血圧症又は心房細動を合併する心臓弁膜症の患者、亜急性細菌性心内膜炎の既往歴のある心臓弁膜症の患者[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。]
8. 血管病変を伴う糖尿病患者(糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症等)[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。]
9. 血栓性素因のある患者[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。]
10. 抗リン脂質抗体症候群の患者[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。]
11. 手術前4週以内、術後2週以内、産後4週以内及び長期間安静状態の患者[血液凝固能が亢進され、心血管系の副作用の危険性が高くなることがある。]
14. 脂質代謝異常のある患者[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。また、脂質代謝に影響を及ぼす可能性があるため、症状が増悪することがある。]
15. 高血圧のある患者(軽度の高血圧の患者を除く)[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。また、症状が増悪することがある。]

慎重投与(抜粋):
2. 40歳以上の患者[一般に心筋梗塞等の心血管系の障害が発生しやすくなる年代であるため、これを助長するおそれがある。]
5. 喫煙者(「禁忌」参照)
6. 肥満の患者[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。]
7. 血栓症の家族歴を持つ患者[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。]

重要な基本的注意(抜粋):
2. 本剤の服用により、年齢、喫煙、肥満、家族歴等のリスク因子の有無にかかわらず血栓症があらわれることがあるので、次のような症状があらわれた場合は直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
緊急対応を要する血栓症の主な症状
下肢の急激な疼痛・腫脹、突然の息切れ、胸痛、激しい頭痛、四肢の脱力・麻痺、構語障害、急性視力障害等患者に対しても、このような症状があらわれた場合は、直ちに服用を中止し、救急医療機関を受診するよう説明すること。
3. 本剤の服用中に、血栓症が疑われる症状があらわれた場合は、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
血栓症が疑われる症状
下肢の疼痛・腫脹・しびれ・発赤・熱感、頭痛、嘔気・嘔吐等
4. 血栓症のリスクが高まる状態(体を動かせない状態、顕著な血圧上昇、脱水等)が認められる場合は、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5. 患者には、投与開始時及び継続時に以下について説明すること。
・血栓症は生命に関わる経過をたどることがあること。
・血栓症が疑われる症状があらわれた場合や、血栓症のリスクが高まる状態になった場合は、症状・状態が軽度であっても直ちにに服用を中止し医師等に相談すること。
・血栓症を疑って他の医療機関を受診する際は、本剤の使用を医師に告知し、本剤による血栓症を念頭においた診察を受けられるようにすること。
6. 本剤服用中にやむを得ず手術が必要と判断される場合には、血栓症の予防に十分配慮すること。(「禁忌」参照)

その他の注意:
1. 外国の疫学調査の結果、静脈血栓症のリスクは、経口避妊薬を服用している女性は服用していない女性に比し、3.25~4.0倍高くなるとの報告がある。
また、静脈血栓症のリスクは経口避妊薬服用開始の最初の1年間において最も高くなるとの報告がある。
さらに、外国での大規模市販後調査の結果、初めて経口避妊薬の服用を開始した時だけでなく、4週間以上の中断後に服用を再開した時又は4週間以上の中断後に別の経口避妊薬へ切り替えた時にも静脈血栓症のリスクが上昇し、そのリスクは服用開始後3ヵ月間が特に高いとの報告がある。

 

まとめ

本剤投与が有用な患者像

  • 月経の回数をできるだけ減らしたい人
りんご
既存薬の中では、一番減らせる確率が高そうです。

月経回数を年12回よりも減らしたいとなると、ヤーズフレックスかジェミーナの2択になります。
で、どちらの方が間隔を伸ばせるかと考えると、現状、ジェミーナに軍配が上がるかなーと考えます。

というのも、ヤーズフレックスの1周期の長さの平均が、49.5±24.9日なんですよね。(長期継続投与(52週)対象者)10)
ヤーズフレックスの最大連続投与期間である、120日まで辿り付ける人は少なそうです。

となると、誰でも84日周期にできるジェミーナの方が、個人的にはオススメしやすいです。

あとヤーズフレックスは周期によって投与日数がずれるので、服薬管理が大変そう・・・。

血栓リスクについては、黄体ホルモンの世代によってリスクの高い低いはあるのですが、臨床的にすっごく気になるほどではないかなーと思っています。
禁忌・慎重投与に当てはまらない人なら、投与周期などの利便性を取っても良いのかなと。
この辺は患者さんの考え方によりますかね。

患者像ではないですが、1剤でも採用薬を減らしたい医療機関・薬局にも良いかも。

類薬の投与を検討すべき患者像

  • 28日周期が良い人
  • すでに既存薬を服用中の人
  • 不正出血がイヤな人
みかん
特に不便が無ければ切替えなくて良いかと。

28日周期が良い人、既存薬で特に不満が無い人は、引き続き今飲んでいる薬を使っても良いかと思います。
直接比較試験をしていないので、既存薬よりも効くかはわからないんですよね。
せめてルナベルと非劣性試験をして欲しかった。。。

また、ジェミーナは不正出血が比較的高頻度にみられます。
連続投与だと95.3%に不正子宮出血がみられ、ほぼ必発。周期投与でも67.7%に発現しています。
不正出血が好きな人はいないと思いますが、「絶対イヤ!」な人は、ヤーズフレックスの方が良いかもしれません。
(といっても、ヤーズフレックスもそこそこの頻度で発現しますが・・・。)

 

ジェミーナの価値は、個人的には「84日連続投与で月経回数が減らせる」点に集約されると思っています。
なので、それにどれくらいの価値を感じるかで、どの薬剤を使うかが自ずと決まるのではないでしょうか。

 

参考文献
1)ジェミーナ配合錠 製造販売承認取得のご案内, ノーベルファーマ(株), https://nobelpark.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/07/jemina_news_20180702-1.pdf.
2)審査報告書, PMDA, http://www.pmda.go.jp/drugs/2018/P20180704001/620095000_23000AMX00484_A100_1.pdf.
3)ジェミーナ配合錠, 添付文書, インタビューフォーム.
5)産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編2017, 日本産科婦人科学会, http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2017.pdf.
6)女性の健康推進室ヘルスケアラボ「月経困難症」, 厚生労働省, http://w-health.jp/monthly/dysmenorrhea/.
7) ヤーズフレックス審査報告書, PMDA, http://www.pmda.go.jp/drugs/2016/P20161226001/630004000_22800AMX00728_A100_1.pdf.
8) プロゲスチンの世代分類, 持田製薬(株), http://www.mochida.co.jp/dinagest/progestin/progestin02.html.
9) ルナベル配合錠LD・ULD, 添付文書.
10) ヤーズフレックス配合錠, 添付文書, 総合製品情報概要.
11) 女性ホルモン製剤が易血栓性をきたす機序, web医事新報, https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=3565.