7・8月の第一・第二部会で審議・報告された品目が適応追加されたようなので、まとめました。
効能等追加品目の一覧
今回承認された効能等追加品目の一覧です。
会社名をクリックすると、各社のニュースリリースに飛びます。
(直PDFのリンクもありますので、ご注意ください。)
効能等追加品目
販売名(一般名) | 会社名 | 効能等追加事項 |
タグリッソ錠40mg・80mg (オシメルチニブメシル酸塩) |
アストラゼネカ | EGFR阻害薬 追加適応:EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌 ※1次治療へ適応拡大 |
バリキサ錠450mg (バルガンシクロビル塩酸塩) |
田辺三菱 | 抗サイトメガロウイルス化学療法剤 追加用法:臓器移植(造血幹細胞移植を除く)におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制 *2018.2.2付で公知申請が了承済3) |
リンゼス錠0.25mg (リナクロチド) |
アステラス | グアニル酸シクラーゼC受容体アゴニスト 追加用法:慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く) |
オプジーボ点滴静注20mg・100mg (ニボルマブ(遺伝子組換え) |
小野 | 免疫チェックポイント阻害薬:抗PD-1抗体 追加適応: ・悪性黒色腫の術後補助療法 ・がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫 追加用法: ・全適応、体重換算から固定用量に変更 ・根治切除不能又は転移性の腎細胞癌のヤーボイとの併用 |
ヤーボイ点滴静注液50mg (イピリムマブ(遺伝子組換え)) |
BMS | 免疫チェックポイント阻害薬:抗CTLA-4抗体 追加適応:根治切除不能又は転移性の腎細胞癌 |
トルツ皮下注80mgオートインジェクター・シリンジ (イキセキズマブ(遺伝子組換え)) |
リリー 販売提携:鳥居 |
抗IL-17A抗体 追加用法:効果不十分時、2週間間隔で投与可能に |
ポテリジオ点滴静注20mg (モガムリズマブ(遺伝子組換え)) |
協和発酵キリン |
抗CCR4抗体 追加適応:再発又は難治性の皮膚T細胞性リンパ腫 *「CCR4陽性」の限定解除 |
雑感:気になるのは…
オプジーボ:
色々ありますが、最大の焦点は固定用量への変更でしょう。
これ、用量の「追加」じゃなくて「変更」なんですよ。
ということは、今後は既存の用量では使えなくなるということ。
結構オオゴトなんですよね。
ただ、いきなり「今日から全レジメン変えろ!」と言われても無理なので、経過措置期間が設けられているんじゃないかしら。
この辺は今日発出の留意事項通知に載っているはず・・・。(←入手できていない)
入手したら追記しますね。
個人的には、240mgバイアル製剤が収載されるまでは、経過措置で良いんじゃないの?と思います。
あと、悪性胸膜中皮腫の適応が追加されています。
こちらは肺癌学会さんが早期承認の要望を出されていました。
なので、多分肺癌学会さんが何かしら指針を出してくれるはず(希望)。
患者要件・施設要件は、最適使用推進ガイドラインをご参照ください。
参考 最適使用推進ガイドライン(医薬品)PMDA
タグリッソ:
一次治療に適応拡大。
この子、イレッサ&タルセバとの直接比較試験が実施されていて、PFSで勝っております。
なので、ザーコリvsアレセンサで勝ったアレセンサのように、一次治療の第一選択になるのではないでしょうか。
これも肺癌学会さんが何らかの指針を出してくれるはず・・・!(切望)
肺癌診療ガイドライン2018年版のパブコメ中なのは知ってるのですが!何卒指針をお恵みください!
リンゼス:
待ちに待った?慢性便秘症への適応追加。
これでようやく「作用機序の違うアミティーザです~。」と言えるようになりました。
個人的には便秘型IBSと慢性便秘症の違いがイマイチわからないのですが、この追加によってプロモーションコード違反やレセプト返戻は減りそうですね。
雑談:楽しみ!明日の中医協
何が楽しみって、初めての期中薬価再算定になるんじゃないかとワクワクしてるのです。
ご存じのとおり、2018年度薬価改定から、薬価改定のタイミング以外での薬価の再算定が実施されるようになりました。
で、オプジーボの用量変更。これが用法用量変化再算定になるんじゃないの!?と思っているのです。
体重50kgの患者に投与する場合、1.5倍以上投与量増えてますからね。
むしろ明日俎上にのせるために、今日適応追加した説を提唱したい。
ついでにタグリッソも結構市場拡大する気がするので、俎上に上がってもおかしくないんじゃないかなー。
というわけで、明日の中医協は要注目です!
全然違ってたらスミマセン。
(2018.8.24追記)
中医協でオプジーの用法用量変化再算定来ましたね!4)
在庫の影響を踏まえ、薬価が下がるまでに猶予期間があるのは、以前の緊急薬価引き下げ時と同様です。
というわけで、2018/11/1から薬価が下がる予定です。
今後も薬価収載日の3月後に適用される運用なのかな~。
次回に要注目です。
留意事項通知が発出(2018.8.24追記)
今回は、いつもの効能等追加に伴う留意事項通知5)だけでなく、オプジーボの用量変更に関する通知6)も出ています。
内容をさらっと見ていきましょう。
オプジーボ点滴静注20mg・100mg
1. 今回の承認事項一部変更承認において、本剤の既承認の全ての効能又は効果に関する用法又は用量を「1回3mg/kg(体重)を2週間間隔」から「1回240mgを2週間間隔」に、「1回1mg/kg(体重)を3週間間隔」から「1回80mgを3週間間隔」に改め、化学療法既治療の根治切除不能な悪性黒色腫の場合の用法又は用量に関する記載における「1回2mg/kg(体重)を3週間間隔」を削除したこと(別紙の新旧対照表参照)。
2. 今回の承認事項一部変更承認に伴う本剤の添付文書の改訂及び表示の訂正については、製造販売業者に対し、本日から遅くとも平成30年10月31日までに医療機関等に対する訂正文書の送付及び周知を徹底するよう指示したこと。
「10/31までに、用法変更したこと周知してね!」という感じ。
日本肺癌学会さんのリリース7)によると、この通知をもって「旧用量である3mg/kgが認められる期間につきましては、10月31日まで」としているようです。
肺癌学会さんが言うなら間違いないですね(盲信)。
それはともかく。
通知を穿った見方で見ると、10/31までは「用量変更知りませんでした~。」と言っても許されるという風にも取れるので、10/31までは体重換算投与OKなのでしょう。
日本肺癌学会さん以外では、日本臨床腫瘍学会さんが通知のPDF貼ってくれております。わーい。
リンゼス錠0.25mg
本製剤の器質的疾患による便秘を除く慢性便秘症への使用に当たっては、他の便秘症治療薬(ルビプロストン製剤及びエロビキシバット水和物製剤を除く。)で効果不十分な場合に使用すること。
これはアミティーザ&グーフィスにもある注釈ですね。
「いきなり高いの使わないで、安いヤツから使えよ?」というお上からのお達しですかね。
ちなみにアミティーザとグーフィスの留意事項もマイナーチェンジしてます。
そっと「及びリナクロチド製剤」と追記されている模様。
トルツ皮下注80mgオートインジェクター・シリンジ
1. 本製剤はイキセキズマブ製剤であり、本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は、診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という。)区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
2. 本製剤は針付注入器一体型のキットであるので、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合、医科点数表区分番号「C151」注入器加算及び「C153」注入器用注射針加算は算定できないものであること。
3. 本製剤の用法・用量に「12週時点で効果不十分な場合には、1回80mgを2週間隔で皮下投与できる。」とされ、これに関連する使用上の注意に「投与開始から12週以降に2週間隔投与で治療反応が得られた場合は、4週間隔投与への変更を検討すること。」、「20週以内に治療反応が得られない場合は、本剤の治療計画の継続を慎重に再考すること。」及び「4週間隔投与への変更後に効果不十分となった患者に対する投与間隔短縮の有効性は確立していない。」と記載されているので、使用に当たっては十分留意すること。
4. 12週以降において、2週間隔で投与する場合、2週間隔で投与することが適切と判断した理由を、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
1&2. 自己注射OK、算定の注意点
3. 注意して使ってね!
4. 2週間隔で投与するなら、レセプトの摘要欄に理由を書いてね!
という感じ。
タグリッソ錠40mg・80mg、ポテリジオ点滴静注20mg
本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において、「十分な経験を有する病理医又は検査施設において、承認された体外診断薬を用い、EGFR 遺伝子変異が確認された患者に投与すること。」及び「他のEGFR チロシンキナーゼ阻害薬による治療歴を有し、病勢進行が確認されている患者では、EGFR T790M変異が確認された患者に投与すること。」とされているので、EGFR 遺伝子変異を確認した検査の実施年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記入すること。
なお、当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし、本剤の初回投与に当たっては、必ず実施年月日を記載すること。
本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において、「CCR4 陽性の成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)、再発又は難治性のCCR4 陽性の末梢性T 細胞リンパ腫(PTCL)の場合、CCR4 抗原は、フローサイトメトリー(FCM)又は免疫組織化学染色(IHC)法により検査を行い、陽性であることが確認されている患者のみに投与すること。」とされているので、CCR4 陽性を確認した検査の実施年月日を診療報酬明細書に記入すること。
なお、当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし、本剤の初回投与に当たっては、必ず実施年月日を記載すること。
どちらももともとあった「検査実施日を、レセプトの摘要欄に書いてね!」という記載が変更されました。
タグリッソは、EGFR T790M変異の記載のみでしたが、今回の適応拡大に伴いEGFR変異の記載が追加されています。
逆に、ポテリジオは皮膚T細胞リンパ腫の「CCR4陽性」の制限が取れたため、「CCR4 陽性のATL、再発又は難治性のCCR4陽性のPTCLの場合、」という注釈が追加されています。
2)各製品添付文書
3)薬事・食品衛生審議会において公知申請に係る事前評価が終了し、薬事承認上は適応外であっても保険適用の対象となる医薬品, PMDA, http://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/p-drugs/0017.html.
4) 中央社会保険医療協議会 総会(第398回)資料, 厚生労働省, https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000345683.pdf.
5) 医薬品医療機器等法上の効能・効果等の変更に伴う留意事項の一部改正等について, 保医発0821第1号, 2018年8月21日.
6) ニボルマブ(遺伝子組換え)製剤の使用に当たっての留意事項について, 薬生薬審発0821第1号, 2018年8月21日.
7) ニボルマブ(遺伝子組換え)製剤の留意事項及び最適使用推進ガイドライン改正について, 日本肺癌学会, https://www.haigan.gr.jp/modules/important/index.php?content_id=110.