8月29日、薬価収載と同日付で3製品が発売されています。
3つとも注射剤なので、薬局でお目にかかることはなさそうです。
イミフィンジ点滴静注
販売名(一般名) | 会社名 | 備考 |
イミフィンジ点滴静注120mg・500mg (デュルバルマブ(遺伝子組換え)) |
アストラゼネカ | 抗PD-L1抗体 適応:切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法 |
(アストラゼネカwebサイトより)
異色の免疫チェックポイント阻害薬、収載即発売。
倫理供給している薬剤は、即発売が多いですね。
異色といっても他剤と違うのは効能です。他の免疫チェックポイント阻害薬はステージ4の非小細胞肺がんに使うのに対し、イミフィンジはステージ3の非小細胞肺がんに使います。
こういったところで差別化するのは大歓迎。
ちなみにイミフィンジは「根治的化学放射線療法後の維持療法」に使う薬剤です。
根治的化学放射線療法は、化学療法(薬物治療)と放射線療法のダブルアタックでがんの治癒を目指す治療法です。4)
「ケモラジ」って略します。ケモは化学療法(chemotherapy)、ラジは放射線療法(radiotherapy、radiation therapy)ですね。
ガザイバ点滴静注
販売名(一般名) | 会社名 | 備考 |
ガザイバ点滴静注1000mg (オビヌツズマブ(遺伝子組換え)) |
中外=日本新薬 ※併売 |
抗CD20抗体 適応:CD20陽性の濾胞性リンパ腫 |
(中外製薬webサイトより)
ガザイバは、リツキサン改って感じです(雑)。
リツキサンに比べて適応は狭いですが、直接比較試験で優越性が認められたこと(GALLIUM試験)、リツキサン抵抗例にも効果を発揮すること(GADOLIN試験)から、今後標準治療になると思われます。
問題は薬価ですかね。
リツキサンは既に後続品が出ているので、それに比べるとガザイバはかなりお高め。
なので、濾胞性リンパ腫にはガザイバ、それ以外(のBSが適応を持っている疾患)にはリツキシマブBSを使うのが、医療経済的にはベターかなと思います。
シグニフォーLAR筋注用10mg・30mg
販売名(一般名) | 会社名 | 備考 |
シグニフォーLAR筋注用キット10mg・筋注用キット30mg (パシレオチドパモ酸塩) |
ノバルティス | ソマトスタチンアナログ 適応:クッシング病 |
ソマトスタチンアナログのシグニフォーに、新しい規格が追加です。
ソマトスタチンは、成長ホルモン(GH)や副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌を抑制するホルモンです。
シグニフォーはソマトスタチンと同じような働きを持っているため、GHが過剰分泌される先端巨大症・下垂体性巨人症の治療薬として20mg・40mg・60mg製剤が発売されました。
その後2018年3月に、ACTHが過剰分泌されるクッシング病の適応が追加。
クッシング病の用量は1回10mg(適宜増量)なので、そのための規格である10mg製剤と、増量用の30mg製剤が、このたび追加されました。
なお、規格毎にじみーに適応が違うのでご注意ください。
規格 | 先端巨大症・下垂体性巨人症 | クッシング病 |
10mg | - | ○ |
20mg | ○ | ○ |
30mg | - | ○ |
40mg | ○ | ○ |
60mg | ○ | - |
2)抗悪性腫瘍剤/ヒト化抗CD20モノクローナル抗体「ガザイバ」の発売について, 中外製薬(株), https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20180829150001.html.
3)ノバルティス、クッシング病の治療薬「シグニフォーLAR」の新剤形、10mgおよび30mgを発売, ノバルティスファーマ(株), https://www.novartis.co.jp/news/media-releases/prkk20180829.
4)EBMの手法による肺がん診療ガイドライン, 日本肺癌学会, https://www.haigan.gr.jp/guideline/2014/2/140002040100.html.