9月25日、先天性トキソプラズマ症の発症抑制薬『スピラマイシン「サノフィ」』が発売されました。
スピラマイシン錠「サノフィ」
販売名(一般名) | 会社名 | 備考 |
スピラマイシン錠150万単位「サノフィ」 (スピラマイシン) |
サノフィ | 抗トキソプラズマ原虫薬 適応:先天性トキソプラズマ症の発症抑制 |
(サノフィwebサイトより)
先天性トキソプラズマ症は、妊婦がトキソプラズマに初めて感染した際に、胎児に発症する先天性疾患です。
トキソプラズマは生肉やネコの糞中、土の中などに存在する、原虫と呼ばれる小さな生きものです。3)
健康な人に感染した場合はほとんど症状が出ません。
一方、妊婦が初めて感染した場合は、胎児に感染して先天性トキソプラズマ症を発症することがあります。2)
重症度は妊娠期間のどのタイミングで初感染したかによって異なるとされ、重症の場合は水頭症、視力障害、精神運動機能障害などが現れることがあります。2)
詳しく知りたい方は、患者会の資料がめっちゃ充実しているのでゼヒ!
生ハム・パテ大好きなわたしは熟読してしまいました。抗体検査しよう。。。
今回発売された、スピラマイシン「サノフィ」は、16員環のマクロライド系抗生物質です。2)
妊婦のトキソプラズマ感染症に対し、胎児への感染を防ぐ目的で投与します。4)(妊婦の感染をふせぐわけではないので注意!)
海外では標準治療薬として推奨されていますが、日本では長い間開発されず、アセチルスピラマイシンの適応外使用等が行われていました。4)
ただ、やはり海外での使用実績&エビデンスがあるのはスピラマイシン、ということで、日本産婦人科学会から開発要請され、今回発売となりました。
サノフィさん自体は「アセチルスピラマイシンがあるから良いじゃん。」と乗り気でなかったみたいですが5)、結局開発してくれてありがたい限り。
なお、予防薬(トキソプラズマの増殖抑制作用)であって治療薬ではない(殺原虫作用はない)ですし、1日3回投与を感染発覚から分娩まで飲み続けるという、結構大変な治療なので、感染しないにこしたことはありません。
妊娠前~妊娠中に気をつけたほうが良い感染症って山ほどある割には、中高の保健の授業でほとんど習いませんよね。(習わなかった・・・ですよね?)
学校でもっと啓発していった方が良い疾患だなぁと感じました。
2)スピラマイシン錠150万単位「サノフィ」, 添付文書, インタビューフォーム.
3)先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症 患者会「トーチの会」, http://toxo-cmv.org/index.html.
4)未承認薬・適応外薬の要望, 厚生労働省, https://www.mhlw.go.jp/topics/2012/03/dl/youbousyo-134.pdf.
5)未承認薬・適応外薬の要望に対する企業見解, 厚生労働省, https://www.mhlw.go.jp/topics/2012/03/dl/kigyoukenkai-118.pdf.