11月1日、血友病B治療薬の「レフィキシア」が発売されました。
レフィキシア静注用
販売名(一般名) | 会社名 | 備考 |
レフィキシア静注用500・1000・2000 (ノナコグ ベータ ペゴル(遺伝子組換え)) |
ノボ | ペグ化遺伝子組換え血液凝固第9因子製剤 適応:血液凝固第IX因子欠乏患者における出血傾向の抑制 |
参考 ノボ ノルディスク ファーマ、半減期延長型 血友病B治療薬 レフィキシア(一般名:ノナコグ ベータ ペゴル(遺伝子組換え))、本日、11月1日より発売[PDF]ノボ ノルディスク ファーマ
血友病は、血液凝固因子が無かったり、あっても機能が低下していたりして、血が止まりにくくなる病気です。
怪我をしたときに血が止まりにくい点が目に付きやすいですが、実は目に見えない出血(関節内、消化管、頭蓋内など)の方が問題になりやすいです。2)
特に頭蓋内出血は症状が出ないこともあり、後遺症の原因にもなるため、迅速な処置が求められます。2)
血友病の治療の基本は「補充療法」です。
欠乏・機能低下している血液凝固因子を注射薬で補います。
以前は、出血時に薬剤を投与する方法が主でしたが、最近は出血予防のために定期的に薬剤を投与する「定期補充療法」が広まっています。
この傾向は薬剤の用法・用量にも表れています。
2009年に薬価収載されたベネフィクスには定期補充療法の記載はありませんが、2014年薬価収載のオルプロリクスには定期補充療法の記載があります。3)
ベネフィクス静注用 用法及び用量
本剤は製剤に添付された溶解液を全量用いて溶解し、数分かけて緩徐に静脈内に注射する。初回用量は通常、本剤50国際単位/kgとするが、患者の状態に応じて適宜増減できる。また、次回以降は患者の状態、血液凝固第IX因子の上昇値[(国際単位/dL)/(国際単位/kg)]に応じて適宜増減する。
オルプロリクス静注用 用法及び用量
本剤を添付の溶解液全量で溶解し、数分かけて緩徐に静脈内に注射する。
通常、1回体重1kg当たり50国際単位を投与するが、患者の状態に応じて適宜増減する。
定期的に投与する場合、通常、体重1kg当たり50国際単位を週1回投与、又は100国際単位を10日に1回投与から開始する。以降の投与量及び投与間隔は患者の状態に応じて適宜調節するが、1回の投与量は体重1kg当たり100国際単位を超えないこと。
レフィキシアにも当然、定期補充療法の用法が記載されています。
現状、週1回定期投与の用法があるのは、オルプロリクスとイデルビオンとレフィキシア。
オルプロリクスは週1回か10日に1回、イデルビオンは7日に1回か14日に1回投与が、用法に記載されています。
用法だけみると、レフィキシアよりも他の2剤の方が長い間隔で投与できる分楽そうですが、どっちかというとメーカーや輸注キットの使い勝手で選ぶ感じなんですかね…?
続けられるかどうかが一番大事なので、出来るだけめんどくさくなく生活に取り入れられる薬剤を使ったほうが良いかと思います。
薬剤師的には血液凝固第9因子がペグ化されてるのが好きか(レフィキシア)、抗体のFc領域に結合してるのが好きか(オルプロリクス)、アルブミンに結合してるのが好きか(イデルビオン)で選んでも良さそう。
血友病薬は色んな方法で半減期延長に挑戦しているので、薬学的興味をそそられますね。
蛇足:シャイアーの輸注記録紹介ページがすごい
スーパー蛇足なんですけど、シャイアーさんのWebサイトが動きすぎて面白かったので、ヒマな方はゼヒ。
PC画面でスクロールしていくと、めっちゃ動くよ!
次のページもめっちゃ動くよ!
めっちゃ動くのにイマドキっぽいのはセンスのなせるワザですねぇ…。
見習いたい。
個人的には、一番最後の先生がぴょんぴょこジャンプするのが可愛くて好きです。
あ、輸注記録っていうのは注射した日や本数、ロット、日々の症状などを記録するためのノートです。
最近はアプリもあるので、続けやすい媒体で続けるのが良いかと~。
2)血友病の症状, ヘモフィリアナビゲーター(CSLベーリング), https://www.hemophilia-navi.jp/disease/symptom.html.
3)各製品添付文書, インタビューフォーム.