2018年11月8日、日本病院薬剤師会から新しいインタビューフォーム記載要領が発表されました。
わーい!めっちゃ待ってました!!
嬉しすぎてサクッとまとめたので、共有しま~す。
参考 「医薬品インタビューフォーム記載要領2018」策定と合意について日本病院薬剤師会目次
いつから新しくなるの?
「2019年4月以降に製造販売承認され、添付文書が新記載要領に対応した新医薬品から」だそうです。
既に発売されている薬剤が全面的に変わるわけではないので注意。
個人的には全面改訂して欲しいけど~そこは企業の皆様の努力に期待をば。(チラッチラッ)
何が変わったの?
日本病院薬剤師会からは、以下のようなお知らせが出ておりました。
添付文書記載要領の変更対応以外の「IF記載要領2018」の主要な改定点は以下のとおりです。
1. 概要:適正使用に関して周知すべき特性や資材類、流通や使用上の制限事項に関する記載を充実、医薬品リスク管理計画の概要の転載、巻頭に略語表の記載
2. 製剤:外観や同梱物、形態および取り扱いについての記載を充実
3. 治療:用法用量の設定根拠に関する記載を充実、使用成績調査(一般使用成績調査、特定使用成績調査、使用成績比較調査)、製造販売後データベース調査、製造販売後臨床試験についての記載の充実
4. 薬物動態:活性代謝物に関する記載を明示
5. 管理的事項:各種コード類、留意事項通知等に関連する記載内容の明確化
これに沿って、私の独断で紹介させていただきます~。
表紙の販売開始年月日が、当初の販売開始年月日になった
すんごい地味なんですけどすんごい嬉しかったので取り上げてみました。
今まで販売名変更品の表紙の発売日って、販売名を変更した日だったんですよ!
「いやキミもっと前からいるでしょ!」ってなってたんですよ!
今後は当初の販売開始年月日を書いてもらえるようです。わーい。
医薬品インタビューフォーム記載要領2018(抜粋)
(表紙)
15.販売開始年月日
販売名変更や承継品目については,初回承認時からの販売期間を示す観点から当初の販売開始年月日を記載.
販売名変更等に伴う発売年月日の履歴は,後段の「X. 管理的事項に関する項目」に記載.
治療学的特性と製剤学的特性が分けられた
いままでは一緒になっていた製品の治療学的・製剤学的特性が、それぞれ別の項目に分けられました。
製品の特徴がもっと見やすくわかりやすくなりますね!
医薬品インタビューフォーム記載要領2018(抜粋)
I. 概要に関する項目
2. 製品の治療学的特性
当該薬剤の有効性に関する特性,安全性に関する特性,リスクベネフィットバランスを最適化するために必要な投与対象,投与法等に関する特性を記載するとともに,薬理学的な活性・選択性等に関する特性,治療上重要となる位置付けや特性について記載.
なお,特性の記載にあたっては,当該特性がIFのどの項(ページ)に詳述されているか分かるように注釈をつける.3. 製品の製剤学的特性
当該薬剤の製剤学的な工夫や特性,使用・取扱い上の注意点等の特性について記載.
なお,特性の記載にあたっては,当該特性がIFのどの項(ページ)に詳述されているか分かるように注釈をつける.
使用時の制限をわかりやすく表記
今までは「I. 概要に関する項目」の「2. 製品の治療学的・製剤学的特性」にチョロッと書いてあった、使用時の制限事項(処方医の登録が必要、とかね。)が、きちんと項目に設定されました。
医薬品インタビューフォーム記載要領2018(抜粋)
I. 概要に関する項目
5. 承認条件及び流通・使用上の制限事項
(1)承認条件
承認にあたって付された試験の実施等の条件を記載.(2)流通・使用上の制限事項
「使用の制限あり」とされている場合に具体的内容や必要な手続きを記載.
RMPの内容と関連資材が記載
IFにRMPの概要と関連資材が記載されるようになります。
これでRMPももっと活用されるはずじゃ…!
医薬品インタビューフォーム記載要領2018(抜粋)
I. 概要に関する項目
4. 適正使用に関して周知すべき特性
医薬品リスク管理計画(以下,RMPと略す),追加のリスク最小化活動として作成されている資材,最適使用推進ガイドライン,留意事項通知の有無を記載.6. RMPの概要
RMPの概要を記載.X. 管理的事項に関する項目
5. 患者向け資材
患者向医薬品ガイド,くすりのしおりの有無を記載.
その他の患者用資料が作成されている場合, その名称等を示し,XIII. 項に転載あるいは閲覧できる企業ウェブサイトURLを提示する.
最適使用推進ガイドラインと留意事項通知の有無が記載
ついでに最適使用推進ガイドラインと留意事項通知の有無も記載されるようになります。
これは嬉しい…!
特に通知はいちいち調べるの大変だったので、見落しがなくなりそうでとってもありがたいです。
IFを見れば、関連資料が網羅出来るようになりますね~。ありがたい~。
医薬品インタビューフォーム記載要領2018(抜粋)
I. 概要に関する項目
4. 適正使用に関して周知すべき特性
医薬品リスク管理計画(以下,RMPと略す),追加のリスク最小化活動として作成されている資材,最適使用推進ガイドライン,留意事項通知の有無を記載.X. 管理的事項に関する項目
14. 保険給付上の注意
保険適用に係る留意事項通知(最適使用推進ガイドラインを含む)の内容について記載.
保険外併用療法費の指定の有無についても記載.
デバイスに関する情報が増えた
コンビネーション製品の場合、その旨の記載とデバイスの概説が入るようになります。
コンビネーション製品というのは、ザックリいうと医薬品と医療機器が一体になった製品のことです。
なんちゃらキットとかなんちゃらペンとか喘息の吸入器とかね。
そういうわかりやすいのは良いんですけど、プレフィルドシリンジ製剤等は「君はコンビネーション製品なのかい…?」と戸惑うことが多かったので、明記いただけるのはありがたいです。
デバイスも、現状吸入器は結構書いてくれてるイメージがあるのですが、なんちゃらペンはあんまり詳細な機構を書いてくれてないことが多い気がするので、説明してくれるとありがたい限り。
他にも記載が充実する予定です~。
特に注射液のフィルタ透過性は、良く聞かれるけど適切なデータがお示しできなかったので、IFに記載してもらえるのは大変助かります。
医薬品インタビューフォーム記載要領2018(抜粋)
IV. 製剤に関する項目
1. 剤形
(1)剤形の区別
特殊なものを除き,日本薬局方に準拠した剤形区分を明示する.
コンビネーション製品の場合はその旨を記載し,デバイス(医療機器)部分も概説する.(略)10. 容器・包装
(1)注意が必要な容器・包装,外観が特殊な容器・包装に関する情報
チャイルドプルーフ等,使用に際して注意が必要な容器,あるいは特殊な製剤について,具体的な取扱い方法を含めて記載.
PTPシートや製剤外観に注意事項記載等を行っている製剤では,画 像等を示し,別途その内容を記載.(2)包装
形態,規格,製品に同梱される物の内容,数量について記載.(3)予備容量
輸液製剤の予備容量のデータを記載.
気体を吸引せずに追加できる液量,置換して追加できる最 大液量を明示.(4)容器の材質
部位別に材質を記載.特に廃棄に際し注意をすべき情報がある場合には記載.11. 別途提供される資材類
提供可能な服薬(施用)補助器具やフレーバー,資材類の内容や請求法に関する情報等を記載.12. その他
調製後注射液のフィルタ通過性,点眼液の1滴の容量等の情報がある場合に記載.
用量の設定根拠が記載
今まで審査報告書を見にいかないとわからな(いことが多)かった、用量の設定根拠が記載されるようになりました。
特に海外と用量が違う薬剤は「なんでこの用量になったんじゃい!」ってことがあったので、IFで手軽にわかるのは嬉しいですね。
医薬品インタビューフォーム記載要領2018(抜粋)
V. 治療に関する項目
3. 用法及び用量
(1)用法及び用量の解説
承認を受けた用法及び用量を記載.
・内用剤は食前・食後・食間,空腹時,~時間毎,就寝前等の服用時間とその理由を記載.
・注射剤は希釈,溶解方法,施用速度及び投与ルートとその理由を記載.
・その他の剤形は可能な限りその投与方法と理由を記載.
・腎機能・肝機能障害時の投与量について,具体的な投与量設定基準があれば記載する.(2)用法及び用量の設定経緯・根拠
・用量反応試験等の概要を示し,承認用量の設定経緯や根拠を記載する.
・副作用等による減量・中止規定がある場合には,その内容と設定経緯や根拠を記載する.
臨床試験の記載内容が充実
みなさまお待ちかねの、「試験デザイン」「主要評価項目」「副次評価項目」が明確に記載されます。
試験デザインの記載はホントに嬉しい…!
これで優越性試験だったのに「非劣性であった」って着地しているヤツとか、非劣性試験だったのに「優越性を示した」って言ってるヤツとかが白日の下に晒されますね。
自分で発見する力がないので、明記してもらえるのは本当にありがたい!
主要評価項目と副次評価項目は、いまでも一応書いてありますが1ページだけパッと見るとわからないこともあるので、しっかり記載してもらえるのは嬉しいです。
医薬品インタビューフォーム記載要領2018(抜粋)
V. 治療に関する項目
5. 臨床成績
承認申請資料及び公表文献に基づき試験方法と試験結果の概要を記載(ただし,承認事項と異なる場合はその旨を記載).
・「臨床試験の一般指針」(平成10年4月21日)に基づいて記載.
・「臨床試験の一般指針」以前のものは該当項目に記載.(1)臨床データパッケージ
臨床データパッケージを提示できる製品の場合は,模式図的に簡略に記載.
各試験の症例数,日本人を含む国際試験の場合は日本人症例数,試験デザイン,患者背景等を明示する.(2)臨床薬理試験
忍容性試験(単回,反復),薬力学的試験及びQT/QTc評価試験について対象者,試験方法,試験結果を記載.(3)用量反応探索試験
用量反応探索試験(用法・用量設定試験)について対象者,試験方法,試験結果を記載.承認外の用量についても検討された結果を記載する.(4)検証的試験
1)有効性検証試験:二重盲検比較試験等について対象疾患,対照薬名,用法・用量,試験結果 を記載.
主要評価項目,副次評価項目を明確にする.
2)安全性試験:長期投与・薬物依存性試験について対象者,試験方法,試験結果を記載.(5)患者・病態別試験
高齢者及び様々な病態対象の臨床試験について対象者・病態,試験方法,試験結果を記載.(6)治療的使用
1)使用成績調査(一般使用成績調査,特定使用成績調査,使用成績比較調査),製造販売後データベース調査,製造販売後臨床試験の内容
2)承認条件として実施予定の内容又は実施した調査・試験の概要(7)その他
活性代謝物のADMEが記載
「言われてみれば、何で今までなかったんだろう…?」と思う、活性代謝物のADMEが記載されました。
プロドラッグ製剤は結構書いてくれてる印象がありますが、代謝物にも薬効があるタイプの薬剤は情報が手薄なことがあるので、この変更はありがたいですね。
ついでに肝代謝・胆汁排泄・腎排泄をパキッと書いてくれると嬉しいなぁと…!悩ましい子がいるので…!
医薬品インタビューフォーム記載要領2018(抜粋)
VII. 薬物動態に関する項目(略)
1. 血中濃度の推移
(略)活性代謝物の存在する医薬品については,各活性成分について記載.(略)5. 分布
体組織(臓器を含む)への分布(分布部位),分布率を記載.特に特定の組織での濃度が重要な薬剤では,血漿中(血清中)濃度のみでなく,組織中濃度を提示する.
活性代謝物の存在する医薬品については,各活性成分について記載.6. 代謝
活性代謝物の存在する医薬品では,各活性成分について記載.
(1)代謝部位及び代謝経路
(2)代謝に関与する酵素(CYP等)の分子種,寄与率
代謝寄与率の推定方法についても記載.
(3)初回通過効果の有無及びその割合
(4)代謝物の活性の有無及び活性比,存在比率
活性代謝物の親化合物に対する活性の比率,及びAUCの比率などについて記載.7. 排泄
排泄部位及び経路,各経路の排泄率について記載.
活性代謝物の存在する医薬品では,各活性成分について記載.
(略)
雑談:色々変わるぜ2019年!
2019年に変わるもの、色々ありますね~。
添付文書の記載要領でしょ。インタビューフォームの記載要領でしょ。
製品情報概要の作成要領も変わる予定と聞いております。
2019年度当初は、新旧の記載要領が混在してちょっと混乱すると思いますが、より良い情報提供をしていただけるということでワクワクしながら待ちたいと思います~。
2)コンビネーション製品の承認申請における取扱いについて, 薬食審査発1024第2号, 薬食機参発1024第1号, 薬食安発1024第9号, 薬食監麻発1024第15号, 平成26年10月24日, https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000074196.pdf.
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