ファムビル、ジカディアの用法等が追加・変更されました(2019年2月)

1月の第一・第二部会で審議・報告された品目が適応追加されたようなので、まとめました。

効能等追加品目の一覧

今回承認された効能等追加品目の一覧です。
会社名をクリックすると、各社のニュースリリースに飛びます。
(直PDFのリンクもありますので、ご注意ください。)

効能等追加品目

販売名(一般名) 会社名 効能等追加事項
アザニン錠50mg
イムラン錠50mg
(アザチオプリン)
田辺三菱
アスペン
追加適応:自己免疫性肝炎
*事前評価済み公知申請
(2018.7.27より保険適用)
ジカディアカプセル150mg
(セリチニブ)
ノバルティス 用法変更:1回450mg 1日1回食後投与に変更
タウリン散98%「大正」
(タウリン)
大正製薬=大正富山 追加適応:ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作(MELAS)症候群における脳卒中様発作の抑制
テモダールカプセル20mg・100mg、点滴静注100mg
(テモゾロミド)
MSD 追加適応:再発又は難治性のユーイング肉腫
*事前評価済み公知申請
(2018.8.3より保険適用)
テモゾロミド錠20mg・100mg「NK」
(テモゾロミド)
日本化薬 追加適応:再発又は難治性のユーイング肉腫
ファムビル錠250mg
(ファムシクロビル)
旭化成ファーママルホ 追加用法:再発性の単純疱疹に対し、1回1000mg 2回投与の用法追加
ゴナールエフ皮下注75・150・300、皮下注ペン300・450・900
(ホリトロピンアルファ(遺伝子組換え))
メルクセローノ 追加適応:生殖補助医療における調節卵巣刺激(保険適用外5)
用法変更:精子形成誘導に対する用法・用量変更
ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.4mL・80mgシリンジ0.8mL、皮下注40mgペン0.4mL・80mgペン0.8mL
(アダリムマブ(遺伝子組換え))
アッヴィエーザイ 追加適応:化膿性汗腺炎

気になるのは…

ファムビル:新しい使い方が登場!

これねー使い方が新しいんですよ!
プレスリリースがわかりやすいので、下の引用ボックスをご一読ください。

本日、承認を取得した用法・用量は、あらかじめ処方された本剤を再発性の単純疱疹の患者さんが初期症状を自覚した時点で服用する Patient Initiated Therapy として認められた日本で初めての治療法です。
海外では1day treatment ともいわれ、再発性の単純疱疹の標準的な治療法として位置付けられています。

再発性の単純疱疹の初期症状が発現している期間に、あらかじめ処方された本剤を1回1000mg×2回服用することで、発症早期の治療が可能となります。
また、服薬回数も2回のため患者さんの利便性の向上も期待できます。

というわけで、再発用にファムビルを予め処方してもらえる、という使い方です。
知らないと疑義照会しちゃいそうなのでご注意を。

ただし、誰でも処方してもらえるわけではありません。
「同じ病型の再発を3回以上繰り返している」「初期症状が正確に判断できる」「きちんと指示通りに服用できる」などの条件を満たした患者さんだけが、処方してもらえます。

また、1回の処方量は「初期症状発現から6時間以内に受診及び服用可能な場合はその1回の再発分、それ以外の場合は次回1回の再発分の処方に留めること」とされています。
(これって6時間以内に受診・服用可能⇒1回分の処方(4錠)、それ以外⇒2回分の処方(8錠)ってことで合ってますかね。違ってたら修正します。。。)

(2019.3.14追記)
メーカーさんに聞いたところ、
6時間以内に受診・服用可能⇒その再発分の処方(8錠)
それ以外→次回再発時の処方(8錠)という意味でした。

用法・用量(抜粋):
単純疱疹
通常、成人にはファムシクロビルとして1回250mgを1日3回経口投与する。また、再発性の単純疱疹の場合は、通常、成人にはファムシクロビルとして1回1000mgを2回経口投与することもできる。

用法及び用量に関連する使用上の注意(抜粋):
<単純疱疹に対して1回1000mgを2回投与する場合>
・単純疱疹(口唇ヘルペス又は性器ヘルペス)の同じ病型の再発を繰り返す患者であることを臨床症状に基づき確認すること。
同じ病型の再発頻度が年間3回以上の患者であることを確認すること。
再発の初期症状(患部の違和感、灼熱感、そう痒等)を正確に判断可能な患者であることを確認すること。
・再発頻度及び患者の腎機能の状態等を勘案し、本剤の処方時に、服用時の適切な用法・用量が選択可能な場合にのみ処方すること。
初期症状発現から6時間以内に受診及び服用可能な場合はその1回の再発分、それ以外の場合は次回1回の再発分の処方に留めること。
・国内臨床試験は、口唇ヘルペス又は性器ヘルペスの患者を対象に本剤の有効性及び安全性の検討を目的として実施された。(〔臨床成績〕の項参照)
・本剤の服用は、初期症状発現後、速やかに開始することが望ましい。[初期症状発現から6時間経過後に服用を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない。]また、臨床試験において、2回目の投与は、初回投与後12時間後(許容範囲として6~18時間後)に投与された。

 

ジカディア:用法変わりました

ジカディアは用法・用量が変わっています。
追加じゃ無くて変更なのでご注意を。
今日からは「1回450mg(3カプセル)、1日1回食後」です。

変更の理由は「悪心、嘔吐、下痢といった消化器症状の軽減」だそうです。

用法・用量:
通常、成人にはセリチニブとして450mgを1日1回、食後に経口投与する。
なお、患者の状態により適宜減量する。

(変更前)
通常、成人にはセリチニブとして750mgを1日1回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

今回の用法変更は、ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者を対象とした海外第1相試験(A2112試験)のデータに基づいています。3)

上記試験で450mg低脂肪食群と750mg空腹群との間で、奏効率が同程度であったこと、、減量・休薬に至った有害事象の発現率が750mg空腹時投与群と比較して低い傾向にあることから、今回の用法変更が承認されました。3)
(ちなみに、食事の脂肪含有量の差異が臨床上問題となる影響を及ぼす可能性は低いそうです。)3)

確かに重篤な有害事象は減ってる感じ。

消化器毒性の発現状況3)
海外第1相試験
(A2112試験)
450mg低脂肪食群(89例):
下痢50例(Grade3以上:1例)
悪心40例(Grade3以上:0例)
嘔吐31例(Grade3以上:0例)750mg空腹群(90例):
下痢68例(Grade3以上:7例)
悪心45例(Grade3以上:5例)
嘔吐50例(Grade3以上:4例)

有効性が一緒なら、副作用が少ない方が良いですものね。
これでジカディアもちょっとは使いやすくなるかもしれません。

なお「前の投与方法がいつまでOKなのか」については、以下の通知が出ているので、恐らく今年度中は査定されないと思われます。(されたらスミマセン。)

(セリチニブ製剤の医薬品医療機器法上の用法及び用量の一部変更について)
1.今回の承認事項一部変更承認において、用法及び用量の「セリチニブ750mgを1日1回、空腹時に経口投与する。」は「セリチニブ450mgを1日1回、食後に経口投与する。」に改めたこと(別紙の新旧対照表参照)。

2.今回の承認事項一部変更承認に伴う本剤の添付文書の改訂及び表示の訂正については、製造販売業者に対し、本日から遅くとも平成31年3月31日までに医療機関等に対する訂正文書の送付及び周知を徹底するよう指示したこと。

 

参考文献
1)各社プレスリリース
2)各製品添付文書
3)ジカディアカプセル150mg審査報告書, PMDA, http://www.pmda.go.jp/drugs/2019/P20190213001/300242000_22800AMX00384_A100_1.pdf.
4)セリチニブ製剤の医薬品医療機器法上の用法及び用量の一部変更について, 保医発0221第2号, 平成31年2月21日.
5)ゴナールエフ皮下注用75、同皮下注用150、同皮下注ペン300、同皮下注ペン450及び同皮下注ペン900の医薬品医療機器等法上の効能・効果等の変更に伴 う留意事項の一部改正等について, 保医発0221第3号, 平成31年2月21日.