ビジンプロ、レルミナが発売されました

3月1日、非小細胞肺がん治療薬のビジンプロと子宮筋腫治療薬のレルミナが発売されました。

ビジンプロ錠

販売名(一般名) 製造販売会社 備考
ビジンプロ錠15mg・45mg
(ダコミチニブ水和物)
ファイザー EGFR阻害剤
適応:EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌

 
 
(ファイザーwebサイトより)

15mg錠と45mg錠の、見分けのつかなさ加減がスゴい。

参考 EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん治療薬「ビジンプロ錠15mg、同45mg」(一般名:ダコミチニブ水和物)本日発売ファイザー

ビジンプロは、国内5剤目のEGFR阻害薬です。
イレッサ、タルセバ、ジオトリフ、タグリッソ…うん、5剤目ですね。

臨床的な位置づけは、ジオトリフと一緒です。
比較的体調の良い(PS 0~1)のEGFR遺伝子変異陽性患者に使う旨が提案されています。3)

以前は、既存薬4剤が横並びで推奨されていましたが、2018年11月の改訂でタグリッソが「推奨」、その他が「提案」になりました。
なので、ビジンプロはタグリッソが使えない or 使いたくない患者に使用されると思われます。

個人的には、次世代シーケンサーブームに乗り遅れてるので、ビジンプロの今後がちょっと心配。
Foundation Oneもオンコマインも、既存薬4剤のコンパニオン診断には使えるのに、ビジンプロは使えないんですよね。4), 5)
今後ビジンプロも入れてもらえるんでしょうか…?

 

レルミナ錠

販売名(一般名) 製造販売会社 備考
レルミナ錠40mg
(レルゴリクス)
武田
*販売:あすか製薬
ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)受容体拮抗薬
適応:子宮筋腫に基づく諸症状(過多月経、下腹痛、腰痛、貧血)の改善


(あすか製薬webサイトより)

参考 GnRHアンタゴニスト「レルミナ錠40mg」新発売のお知らせ[PDF]あすか製薬

レルミナは、国内初の経口GnRH受容体拮抗薬です。
ゴナックスの経口剤的な感じ。(雑)(有効成分は違います)

症状がある子宮筋腫の第一選択は手術です。
基本は子宮全摘で、将来子どもが欲しい人等は筋腫だけを取る手術を行います。6)

第一選択が子宮全摘って、個人的には結構衝撃でした。
子宮の扱いが雑で、私は悲しい…。

ただ、子宮筋腫は女性ホルモンによって大きくなるので、閉経が近い患者さんは女性ホルモンを抑えるクスリを使って閉経までやり過ごす方法を選択することもあります。
そういった場合に使われるのが、リュープリンやレルミナのようなGnRHアゴニスト・アンタゴニストです。

アゴニスト(作動薬)はネガティブフィードバックを介して、アンタゴニスト(拮抗薬)は直接的に、女性ホルモンを抑えます。
この辺は乳がんや前立腺がんのホルモン療法と一緒の考え方ですね~。

レルミナは1日1回食前、リュープリンは4週1回皮下注なので、どっちが良いかは好みかと。
月1回病院で注射してもらうのが楽か、毎日クスリ飲むのが楽か…。

あとはレルミナ(アンタゴニスト)はフレアアップが無いとされているので、薬が毎日飲めそうだったらレルミナの方が良いかもしれません。

*一時的に女性ホルモンが多く分泌されることで、子宮筋腫の症状が悪化したり更年期のような症状がでたりすること

薬剤師としては、治療の選択肢が増えた点を評価したい。
患者さんによって続けられる剤形はさまざまだと思いますので、どうにか楽に続けられる薬剤を選んでもらえると良いな~と思ってます。

 

参考文献
1)GnRHアンタゴニスト「レルミナ錠40mg」新発売のお知らせ, あすか製薬(株), https://ssl4.eir-parts.net/doc/4514/tdnet/1679468/00.pdf.
2)EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん治療薬「ビジンプロ錠15mg、同45mg」(一般名:ダコミチニブ水和物)本日発売, ファイザー(株), https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2019/2019_03_01.html.
3)肺癌診療ガイドライン 2018年版, 日本肺癌学会, https://www.haigan.gr.jp/modules/guideline/index.php?content_id=3.
4)遺伝子変異解析プログラム 「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」の承認を取得, 中外製薬(株), https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20181227163001_802.html.
5)コンパニオン診断システム一部変更承認取得 NSCLCの4遺伝子変異検出可能に, ミクスオンライン, https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/67105/Default.aspx.
6)子宮筋腫, 日本産科婦人科学会, http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=8.