2019年薬機法改正の気になるところをまとめてみた

2019年3月、国会に薬機法改正案が提出されました。
概要と、個人的に気になった点をまとめてみました~。

主な改正内容

施行日は、現時点では不明です。
公布日の官報に記載されると思うので、公布されたら追記します~。

主な改正内容(関係する法令) 施行日
薬局業務にかかわること
1. 薬剤師の義務・努力義務が追加
(薬機法第1条の5、第9条の3)(薬剤師法第25条の2、第28条)
公布日から
1年以内
2. 覚せい剤原料の携行輸入等が麻薬と同じ取扱いに
(覚取法第30条)
3. 機能別薬局の導入(地域連携薬局・専門医療機関連携薬局)
(薬機法第6条)
公布日から
2年以内
4. 遠隔服薬指導の規定追加(薬機法第9条の3)
5. 添付文書の同梱廃止(薬機法第52条、第63条の2)
医薬品の承認等にかかわること
1. 先駆け審査指定制度・条件付き早期承認制度の法制化
2. 特定用途医薬品の区分追加
(薬機法第2条、第14条、第23条、第77条)
公布日から
1年以内
その他
1. AI等に対応した医療機器承認制度の導入
(薬機法第23条の2の10の2)
2. 個人輸入に関する規制の見直し(麻取の捜査対象に)
(薬機法第56条の2、麻向法第54条)
3. 医薬品等行政評価・監視委員会の設置(薬機法第14章)
4. 採血の制限の緩和(血液法)
公布日から
1年以内
5. 虚偽・誇大広告による医薬品等の販売に対する課徴金制度の創設(薬機法第75条の5)
6. メーカーの法令遵守体制の整備義務化
(薬機法第18条2、第23条の2の15の2)
7. 製造承認の一部変更について、事前確認済みの事項は届出制に見直し(薬機法第14条の7の2、第23条の32の2)
公布日から
2年以内
8. 医薬品等の包装等に、バーコード表示が義務化
(薬機法第68条の2の5)
公布日から
3年以内

なんで改正するの?

もともと2013年に薬事法が薬機法に名称変更した際に、施行後5年を目途に法律の見直しを実施することになっていたからです。1)
そのため、2018年4月の医薬品医療機器制度部会にて、以下の3テーマについて検討することになりました。1)

テーマ1:革新的な医薬品・医療機器等への迅速なアクセス確保・安全対策の充実
AI、核酸医薬、ゲノム創薬、がんゲノムによる個別化医療、ビッグデータ利活用の進展等により画期的な医薬品・医療機器等が創出されると同時に、国際共同開発等が広がり、開発主体が規制環境等を踏まえて開発や承認申請を行う国・地域を選択する時代に移行しつつある。
一国内で患者に医療上必要な製品をより早く提供するには、技術革新に柔軟かつ効率的に対応した規制の実施が課題となっている。
承認審査の予見可能性の向上に加え、品質・安全性確保の観点での企業負担軽減や国際整合性確保に向けて、一層の制度の見直し・明確化が必要ではないか。

 

テーマ2:医薬品・医療機器等の適切な製造・流通・販売を確保する仕組みの充実
近年、承認書と異なる製造方法での医薬品製造、偽造医療用医薬品の流通、チェーン薬局における処方箋付け替えなどの問題事案が発生し、国民の医薬品・医療機器等の品質・安全性に対する国民の信頼が揺らいでいる。
薬害の発生及び拡大防止の観点からも、法令に違反する事案の再発防止策が重要であり、各事業者が確実に法令遵守に取り組み、医薬品等が適切に製造・流通・販売されるような仕組みを検討する必要があるのではないか。

 

テーマ3:薬局・薬剤師のあり方・医薬品の安全な入手
処方箋受取率が70%を超えて医薬分業が進展する一方で、患者が医薬分業の利益を実感できていないとの指摘がある。
平成27年に「患者のための薬局ビジョン」を策定し、かかりつけ薬剤師・薬局を推進しているが、地域包括ケアシステムの中でかかりつけ薬剤師・薬局が医療・介護の一翼を担い、地域の住民・患者が、品質の確保された医薬品を安全かつ有効に使用できるような取組の強化及び体制作りが一層求められているのではないか。
インターネットを利用した個人輸入の増加など医薬品等の流通をめぐる状況を踏まえ、国民の入手する医薬品の安全性確保のために取組を強化する必要があるのではないか。

検討した結果が2018年12月の医薬品医療機器制度部会でとりまとめられ、薬機法改正案として2019年3月に国会に提出されました。
ちなみに法律案提出の理由は以下のとおり。2)

医薬品、医療機器等が安全かつ迅速に提供され、適正に使用される体制を構築するため、医療上特に必要性が高い医薬品及び医療機器について条件付きで承認申請資料の一部省略を認める仕組みの創設、虚偽・誇大広告による医薬品、医療機器等の販売に係る課徴金制度の創設、医薬品等行政評価・監視委員会の設置、薬剤師による継続的服薬指導の実施の義務化、承認等を受けない医薬品、医療機器等の輸入に係る確認制度の創設等の措置を講ずる必要がある。
これが、この法律案を提出する理由である。

 

気になる改正内容

薬剤師の義務・努力義務が追加(施行:公布後1年以内)

勤務薬剤師は服薬指導等の情報を他の医療機関に連携してね~。
薬局開設者は円滑に情報提供できるように配慮してね~。
というのが第一条の五の改正内容。

薬局開設者は勤務薬剤師に継続的に服薬状況を把握させて、必要なら情報提供・指導させなきゃダメだよ~。
情報提供・指導させたときは、その薬剤師に記録をつけさせないとダメだよ~。
というのが第九条の三の改正内容です。

具体的にどういうときなの?とかどうやって記録するの?とかは、薬機法施行令や施行規則に記載されるものと思われます。
薬機法上、「厚生労働省令で定めるところにより」となっている部分ですね。

 

ついでに薬剤師法も改正されます。2)
薬機法との違いは、薬機法では薬局開設者の義務、薬剤師法では薬剤師の義務として記載されている点です。

調剤録の記載事項もちょっと変わりそうな感じ。
調剤録のただし書き(ただし、その調剤により当該処方せんが調剤済みとなつたときは、この限りでない)が削除されるのは、どれ位影響があるんですかね。
これまで薬機法上は調剤録の記入は義務ではなかったようですが、療養担当規則上は義務だった(保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則第五条)ので大勢に影響はないような気がします。

ちょっとこの辺疎いので、法律に詳しい薬局薬剤師さんの記事UPをお待ちしてます。。。

【薬機法変更部分(下線部追加改訂)】
(医薬関係者の責務)
第一条の五
医師、歯科医師、薬剤師、獣医師その他の医薬関係者は、医薬品等の有効性及び安全性その他これらの適正な使用に関する知識と理解を深めるとともに、これらの使用の対象者(動物への使用にあつては、その所有者又は管理者。第六十八条の四、第六十八条の七第三項及び第四項、第六十八条の二十一並びに第六十八条の二十二第三項及び第四項において同じ。)及びこれらを購入し、又は譲り受けようとする者に対し、これらの適正な使用に関する事項に関する正確かつ適切な情報の提供に努めなければならない。

2 薬局において調剤又は調剤された薬剤若しくは医薬品の販売若しくは授与の業務に従事する薬剤師は、薬剤又は医薬品の適切かつ効率的な提供に資するため、医療を受ける者の薬剤又は医薬品の使用に関する情報を他の医療提供施設(医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第一条の二第二項に規定する医療提供施設をいう。以下同じ。)において診療又は調剤に従事する医師若しくは歯科医師又は薬剤師に提供することにより、医療提供施設相互間の業務の連携の推進に努めなければならない。

3 薬局開設者は、医療を受ける者に必要な薬剤及び医薬品の安定的な供給を図るとともに、当該薬局において薬剤師による前項の情報の提供が円滑になされるよう配慮しなければならない。

(調剤された薬剤に関する情報提供及び指導等)
第九条の三
(略)
5 第一項又は前項に定める場合のほか、薬局開設者は、医師又は歯科医師から交付された処方箋により調剤された薬剤の適正な使用のため必要がある場合として厚生労働省令で定める場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その薬局において薬剤の販売又は授与に従事する薬剤師に、その調剤した薬剤を購入し、又は譲り受けた者の当該薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握させるとともに、その調剤した薬剤を購入し、又は譲り受けた者に対して必要な情報を提供させ、又は必要な薬学的知見に基づく指導を行わせなければならない。

6 薬局開設者は、その薬局において薬剤の販売又は授与に従事する薬剤師に第一項又は前二項に規定する情報の提供及び指導を行わせたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該薬剤師にその内容を記録させなければならない。

【薬剤師法変更部分(下線部追加改訂、取消線部削除)】
(情報の提供及び指導)
第二十五条の二
薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たつている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。

2. 薬剤師は、前項に定める場合のほか、調剤した薬剤の適正な使用のため必要があると認める場合には、患者の当該薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握するとともに、患者又は現にその看護に当たつている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。

(調剤録)
第二十八条 薬局開設者は、薬局に調剤録を備えなければならない。
2 薬剤師は、薬局で調剤したときは、厚生労働省令で定めるところにより、調剤録に厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。
ただし、その調剤により当該処方せんが調剤済みとなつたときは、この限りでない。
3 薬局開設者は、第一項の調剤録を、最終の記入の日から三年間、保存しなければならない。

 

覚醒剤原料の携行輸入等が麻薬と同じ取扱いに(施行:公布後1年以内)

医療用覚醒剤原料の取扱いが見直されます。
ほぼ医療用麻薬の取扱いと同じになる模様。2), 3)
わかりやすくなったかな?

あと「覚せい剤取締法」から「覚醒剤取締法」に変更になりますよ。

主な改正内容
輸出入 自己の疾病の治療目的の医薬品なら、輸出入可能に
(医療用麻薬と同様)
所持 患者死亡時の、相続人等による所持が可能に
(医療用麻薬と同様)
譲渡・譲受 不要になった場合、患者や相続人等から医療機関・薬局への返却が可能に
(医療用麻薬と同様)
廃棄の届出 都道府県職員の立ち合いがなくでも廃棄可能に
(事後30日以内に届出。患者や相続人等から返却されたものを廃棄する場合は、事前に届出)
(医療用麻薬と同様)
帳簿 医療機関や薬局も帳簿の設置と記録が義務に
(医療用麻薬と同様))

【覚醒剤取締法変更部分(下線部追加改訂)】
(輸入及び輸出の制限及び禁止)
第三十条の六
覚醒剤原料輸入業者が、厚生労働省令の定めるところにより厚生労働大臣の許可を受けて、その業務のため覚醒剤原料を輸入する場合のほかは、何人も、覚醒剤原料を輸入してはならない。
ただし、本邦に入国する者が、厚生労働大臣の許可を受けて、自己の疾病の治療の目的で携帯して医薬品である覚醒剤原料を輸入する場合は、この限りでない。

2. 前項ただし書の規定により、医薬品である覚醒剤原料を携帯して輸入した者は、第三十条の七(所持の禁止)、第三十条の九第一項(譲渡及び譲受の制限及び禁止)又は第三十条の十一(使用の禁止)の規定の適用については、病院若しくは診療所において診療に従事する医師若しくは歯科医師又は医療法第五条第一項(往診医師等に関する特例)に規定する医師若しくは歯科医師(以下「往診医師等」という。)から施用のため医薬品である覚醒剤原料の交付を受けた者とみなす。

3. 覚醒剤原料輸出業者が、厚生労働省令の定めるところにより厚生労働大臣の許可を受けて、その業務のため覚醒剤原料を輸出する場合のほかは、何人も、覚醒剤原料を輸出してはならない。
ただし、本邦から出国する者が、厚生労働大臣の許可を受けて、自己の疾病の治療の目的で携帯して医薬品である覚醒剤原料を輸出する場合は、この限りでない。

4. 覚醒剤原料輸入業者又は覚醒剤原料輸出業者は、前一項本文または前項本文の規定により覚醒剤原料の輸入又は輸出の許可を受けようとするときは、厚生労働省令の定めるところにより、その業務所の所在地の都道府県知事を経て厚生労働大臣に申請書を出さなければならない。

(所持の禁止)
第三十条の七
次の各号に掲げる場合のほかは、何人も、覚醒剤原料を所持してはならない。
(略)
十三 病院若しくは診療所において診療に従事する医師若しくは歯科医師、往診医師等若しくは飼育動物の診療に従事する獣医師から施用のため医薬品である覚醒剤原料の交付を受け、又は薬局開設者若しくは病院若しくは診療所の開設者から医師、歯科医師若しくは獣医師の処方箋により薬剤師が調剤した医薬品である覚醒剤原料を譲り受けた者が、死亡した場合において、その相続人又は相続人に代わつて相続財産を管理する者が、現に所有し、又は管理するその医薬品である覚醒剤原料を所持する場合
(略)

(譲渡及び譲受の制限及び禁止)
第三十条の九
次の各号に掲げる場合のほかは、何人も、覚醒剤原料を譲り渡し、又は譲り受けてはならない。
(略)
六 病院若しくは診療所において診療に従事する医師若しくは歯科医師、往診医師等若しくは飼育動物の診療に従事する獣医師から施用のため医薬品である覚醒剤原料の交付を受け、又は薬局開設者若しくは病院若しくは診療所の開設者から医師、歯科医師若しくは獣医師の処方箋により薬剤師が調剤した医薬品である覚醒剤原料を譲り受けた者について、次のいずれかに該当する場合
イ 当該医薬品である覚醒剤原料を譲り受けた者が、その医薬品である覚醒剤原料を施用する必要がなくなつた場合において、その医薬品である覚醒剤原料を薬局開設者又はその医薬品である覚醒剤原料を譲り渡した病院、診療所、若しくは飼育動物診療施設の開設者に譲り渡す場合
ロ 当該医薬品である覚醒剤原料を譲り受けた者が、死亡した場合において、その相続人又は相続人に代わつて相続財産を管理する者が、現に所有し、又は管理するその医薬品である覚醒剤原料を薬局開設者又はその医薬品である覚醒剤原料を譲り渡した病院、診療所、若しくは飼育動物診療施設の開設者に譲り渡す場合

七 第三十条の七第六号又は第七号に規定する者が、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の許可を受けて、全部又は一部が不潔な物質又は変質若しくは変敗した物質から成つている医薬品である覚醒剤原料を当該医薬品である覚醒剤原料を譲り渡した同条第一号又は第三号から第五号までに規定する者に譲り渡す場合その他の厚生労働省令で定める場合

2. 前項第六号の規定により、医薬品である覚醒剤原料を譲り受けた薬局開設者又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者は、第三十条の十四第三項(覚醒剤原料の譲受の届出)に基づく届出の後、厚生労働省令で定めるところにより、速やかにその医薬品である覚醒剤原料を廃棄しなければならない。

(廃棄)
第三十条の十三
第三十条の七(所持の禁止)第一号から第七号までに規定する者は、その所有する覚醒剤原料を廃棄しようとするときは、当該覚醒剤原料の保管場所の所在地の都道府県知事に届け出て当該職員の立会いの下に行わなければならない。
ただし、薬局開設者又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者が、厚生労働省令で定めるところにより、病院若しくは診療所において診療に従事する医師若しくは歯科医師、往診医師等若しくは飼育動物の診療に従事する獣医師が施用のため交付した医薬品である覚醒剤原料又は医師、歯科医師若しくは獣医師の処方箋により薬剤師が調剤した医薬品である覚醒剤原料を廃棄する場合には、この限りでない。

(事故等の届出)
第三十条の十四
第三十条の七(所持の禁止)第一号から第七号までに規定する者は、その所有し、又は所持する覚醒剤原料を喪失し、盗み取られ、又はその所在が不明となつたときは、速やかにその覚醒剤原料の品名及び数量その他事故の状況を明らかにするため必要な事項を、同条第一号から第三号までに規定する者にあつては当該覚醒剤原料の保管場所の所在地の都道府県知事を経て厚生労働大臣に、その他の者にあつては当該覚醒剤原料の保管場所の所在地の都道府県知事に届け出なければならない。

2. 薬局開設者又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者が、厚生労働省令で定めるところにより、病院若しくは診療所において診療に従事する医師若しくは歯科医師、往診医師等若しくは飼育動物の診療に従事する獣医師が施用のため交付した医薬品である覚醒剤原料又は医師、歯科医師若しくは獣医師の処方箋により薬剤師が調剤した医薬品である覚醒剤原料を廃棄したときは、三十日以内に、その医薬品である覚醒剤原料の品名及び数量その他厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。

3. 第三十条の九第一項(譲渡及び譲受の制限及び禁止)第六号の規定により、医薬品である覚醒剤原料を譲り受けた薬局開設者又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者は、速やかにその医薬品である覚醒剤原料の品名及び数量その他厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。

4. 都道府県知事は、第三十条の七第一号から第三号までに規定する者以外の者から第一項の届出を受けたときは、速やかに厚生労働大臣に報告しなければならない。

(帳簿)
第三十条の十七
第三十条の七(所持の禁止)第一号又は第二号に規定する者は、それぞれその業務所ごとに帳簿を備え、次に掲げる事項を記入しなければならない。
一 輸入し、輸出し、譲り渡し、譲り受け、又は廃棄した覚醒剤原料の品名及び数量並びにその年月日
二 覚醒剤原料の輸入又は輸出の相手方の氏名又は名称及び住所
第三十条の十四第一項から第三項まで(事故等の届出)の規定により届出をした覚醒剤原料の品名及び数量

2. 第三十条の七第三号から第五号までに規定する者は、それぞれその業務所、製造所又は研究所ごとに帳簿を備え、次に掲げる事項を記入しなければならない。
一製造し、譲り渡し、譲り受け、業務若しくは研究のため使用し、又は廃棄した覚醒剤原料の品名及び数量並びにその年月日
第三十条の十四第一項から第三項までの規定により届出をした覚醒剤原料の品名及び数量

3. 第三十条の七第六号又は第七号に規定する者は、それぞれその病院、診療所、飼育動物診療施設又は薬局ごとに帳簿を備え、次に掲げる事項を記入しなければならない。
一 譲り渡し、譲り受け、施用し、施用のため交付し、又は廃棄した医薬品である覚醒剤原料の品名及び数量並びにその年月日
二 第三十条の十四第一項から第三項までの規定により届出をした医薬品である覚醒剤原料の品名及び数量

4. 前三項に規定する者は、前三項の帳簿を最終の記入をした日から二年間保存しなければならない。

 

機能別薬局の導入(地域連携薬局・専門医療機関連携薬局)(施行:公布後2年以内)

個人的にはこれが一番目玉の改正です。
薬局の分類が増えました。

みなさま、患者のための薬局ビジョンのイメージ図を良くご覧になっているかと思います。
あの図のうち、「かかりつけ薬剤師・薬局機能」を担うのが「地域連携薬局」「高度薬学管理機能」を担うのが「専門医療機関連携薬局」です。3)

認定は各都道府県知事が行い、1年ごとに更新です。2)
申請時の資料の一部は、薬局機能情報提供制度の報告内容を活用できるようにするようです。2)

認定には構造や体制の要件があるので、概要資料の内容を記載します。3)

[地域連携薬局]
・プライバシーに配慮した構造設備(パーティションなど)
・入院時の持参薬情報の医療機関への提供
・退院時カンファレンス等への参加
・地域包括ケアに関する研修を受けた薬剤師の配置(健康サポート薬局の研修制度を活用可能)
・夜間・休日対応を含めた地域の調剤応需体制の構築・参画
・麻薬調剤・無菌調剤を含む在宅医療に必要な薬剤の調剤
・在宅への訪問

[専門医療機関連携薬局]
・プライバシーに配慮した構造設備(パーティション、個室その他相談ができるスペース)
・入院時の持参薬情報の医療機関への提供
・退院時カンファレンス等への参加
・専門医療機関の医師・薬剤師との治療方針等の共有
・専門医療機関等との合同研修の実施
・患者が利用する地域連携薬局等との服薬指導の共有
・学会認定等の専門性が高い薬剤師の配置

*地域の医療需要等を踏まえた判断も可

 

こうやって見ると、地域連携薬局は在宅対応が必須ですね~。
あと2年で体制整えるのは大変そうです…が、やらないとその他大勢の下請け薬局になってしまうような気がします。
会営薬局が地域連携薬局になって、会員の小規模薬局と連携するのが理想ですが、最近会営薬局って流行らないんですかね…。

専門医療機関連携薬局は、敷地内薬局が適任すぎます。
これを見据えて敷地内薬局を作ったのかなぁ…。

でも薬学生が実習に行くなら、こういった薬局の方が楽しそうですね。

 

ちなみに、概要資料にこんな↓記載が…。3)
・医療用麻薬については薬局間の受け渡しに関するルールの見直しを行う。
・改正法の施行までに、薬剤師自らが実施すべき業務と薬剤師の監督下において薬剤師以外の者に実施させることが可能な業務の考え方について、有識者の意見を聴きつつ整理を行う。

麻薬はありがとう!
しかしもう一個のほう!不穏すぎます…。
この2年で何が起こるんでしょうか…。激動の時代です。

(2019.4.3追記)
もう通知出ました!はやーい!
記事にまとめましたのでご参考までです。

調剤業務のあり方通知をまとめました

 

【薬機法変更部分(下線部追加改訂)】
(名称の使用制限)
第六条
医薬品を取り扱う場所であつて、第四条第一項の許可を受けた薬局(以下単に「薬局」という。)でないものには、薬局の名称を付してはならない。ただし、厚生労働省令で定める場所については、この限りでない。

(地域連携薬局)
第六条の二
薬局であつて、その機能が、医師若しくは歯科医師又は薬剤師が診療又は調剤に従事する他の医療提供施設と連携し、地域における薬剤及び医薬品の適正な使用の推進及び効率的な提供に必要な情報の提供及び薬学的知見に基づく指導を実施するために必要な機能に関する次に掲げる要件に該当するものは、その所在地の都道府県知事の認定を受けて地域連携薬局と称することができる。

一 構造設備が、薬剤及び医薬品について情報の提供又は薬学的知見に基づく指導を受ける者(次号及び次条第一項において「利用者」という。)の心身の状況に配慮する観点から必要なものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。
二 利用者の薬剤及び医薬品の使用に関する情報を他の医療提供施設と共有する体制が、厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。
三 地域の患者に対し安定的に薬剤を供給するための調剤及び調剤された薬剤の販売又は授与の業務を行う体制が、厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。
四 居宅等(薬剤師法(昭和三十五年法律第百四十六号)第二十二条に規定する居宅等をいう。以下同じ。)における調剤並びに情報の提供及び薬学的知見に基づく指導を行う体制が、厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。

2. 前項の認定を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、次の各号に掲げる事項を記載した申請書をその薬局の所在地の都道府県知事に提出しなければならない。
一氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二その薬局の名称及び所在地
三前項各号に掲げる事項の概要
四その他厚生労働省令で定める事項

3. 地域連携薬局でないものは、これに地域連携薬局又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。

4. 第一項の認定は、一年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。

(専門医療機関連携薬局)
第六条の三
薬局であつて、その機能が、医師若しくは歯科医師又は薬剤師が診療又は調剤に従事する他の医療提供施設と連携し、薬剤の適正な使用の確保のために専門的な薬学的知見に基づく指導を実施するために必要な機能に関する次に掲げる要件に該当するものは、厚生労働省令で定めるがんその他の傷病の区分ごとに、その所在地の都道府県知事の認定を受けて専門医療機関連携薬局と称することができる。

一 構造設備が、利用者の心身の状況に配慮する観点から必要なものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。
二 利用者の薬剤及び医薬品の使用に関する情報を他の医療提供施設と共有する体制が、厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。
三 専門的な薬学的知見に基づく調剤及び指導の業務を行う体制が、厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。

2. 前項の認定を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、次の各号に掲げる事項を記載した申請書をその薬局の所在地の都道府県知事に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 その薬局において専門的な薬学的知見に基づく調剤及び指導の業務を行うために必要なものとして厚生労働省令で定める要件を満たす薬剤師の氏名
三 その薬局の名称及び所在地
四 前項各号に掲げる事項の概要
五 その他厚生労働省令で定める事項

3. 第一項の認定を受けた者は、専門医療機関連携薬局と称するに当たつては、厚生労働省令で定めるところにより、同項に規定する傷病の区分を明示しなければならない。

4. 専門医療機関連携薬局でないものは、これに専門医療機関連携薬局又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。

5. 第一項の認定は、一年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。

 

遠隔服薬指導の規定追加(施行:公布後2年以内)

薬機法9条の3の「対面」のところに、カッコ書きで遠隔服薬指導のことが記載されます。2)
ルールの基本的な考え方は以下のとおり。3)

● 患者側の要請と患者・薬剤師間の合意
● 初回等は原則対面
● かかりつけ薬剤師による実施
● 緊急時の処方医、近隣医療機関との連絡体制確保
● テレビ電話等の画質や音質の確保 等

具体的な方法は施行令・施行規則で定められるかと~。

【薬機法変更部分(下線部追加改訂)】
(調剤された薬剤に関する情報提供及び指導等)
第九条の三
薬局開設者は、医師又は歯科医師から交付された処方箋により調剤された薬剤の適正な使用のため、当該薬剤を販売し、又は授与する場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その薬局において薬剤の販売又は授与に従事する薬剤師に、対面(映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが可能な方法その他の方法により薬剤の適正な使用を確保することが可能であると認められる方法として厚生労働省令で定めるものを含む。)により、厚生労働省令で定める事項を記載した書面(当該事項が電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下第三十六条の十までにおいて同じ。)に記録されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものを含む。)を用いて必要な情報を提供させ、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わせなければならない。

 

添付文書の同梱廃止(施行:公布後2年以内)

医療用医薬品の添付文書の同梱が廃止されます。
それに伴い、薬機法52条の記載がまるっと変更されました。2)

添付文書がつかなくなる代わりに、外箱等に添付文書へアクセスできるQRコード等が表示される予定です。3)
また、初回納入時は紙媒体で提供される予定です。3)
予定、予定…どーやるんだろう。

なお、一般消費者が購入する商品(OTC医薬品、OTC医療機器)は、今までどおり紙の添付文書がつきます2), 3)

ちなみに医療機器(薬機法63条の2)も同様に変更されます。2)

【薬機法変更部分(下線部追加改訂、取消線部削除)】
(容器等への符号等の記載)
第五十二条
医薬品(次項に規定する医薬品を除く。)は、その容器又は被包に、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて厚生労働省令で定めるものにより、第六十八条の二第一項の規定により公表された同条第二項に規定する注意事項等情報を入手するために必要な番号、記号その他の符号が記載されていなければならない。
ただし、厚生労働省令で別段の定めをしたときは、この限りでない。

2. 要指導医薬品、一般用医薬品その他の厚生労働省令で定める医薬品は、これに添付する文書又はその容器若しくは被包に、当該医薬品に関する最新の論文その他により得られた知見に基づき、次に掲げる事項が記載されていなければならない。
ただし、厚生労働省令で別段の定めをしたときは、この限りでない。
一 用法、用量その他使用及び取扱い上の必要な注意
二 日本薬局方に収められている医薬品にあつては、日本薬局方において当該医薬品の品質、有効性及び安全性に関連する事項として記載するように定められた事項
三 第四十一条第三項の規定によりその基準が定められた体外診断用医薬品にあつては、その基準において当該体外診断用医薬品の品質、有効性及び安全性に関連する事項として記載するように定められた事項
四 第四十二条第一項の規定によりその基準が定められた医薬品にあつては、その基準において当該医薬品の品質、有効性及び安全性に関連する事項として記載するように定められた事項
五 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

2. 薬局開設者、医薬品の製造販売業者若しくは製造業者又は卸売販売業者が、体外診断用医薬品を薬剤師、薬局開設者、医薬品の製造販売業者若しくは製造業者、卸売販売業者、医師、歯科医師若しくは獣医師又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者に販売し、又は授与する場合において、その販売し、又は授与する時に、次の各号のいずれにも該当するときは、前項の規定にかかわらず、当該体外診断用医薬品は、添付文書等に、添付文書等記載事項が記載されていることを要しない。
一 当該体外診断用医薬品の製造販売業者が、当該体外診断用医薬品の添付文書等記載事項について、厚生労働省令で定めるところにより、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて厚生労働省令で定めるものにより提供しているとき。
二 当該体外診断用医薬品を販売し、又は授与しようとする者が、添付文書等に添付文書等記載事項が記載されていないことについて、厚生労働省令で定めるところにより、当該体外診断用医薬品を購入し、又は譲り受けようとする者の承諾を得ているとき。

 

先駆け審査指定制度・条件付き早期承認制度の法制化、特定用途医薬品の区分追加(施行:公布後1年以内)

試験的に実施されていた「先駆け審査指定制度」と「条件付き早期承認制度」が薬機法に記載されました。2), 3)

先駆け審査指定品目と条件付き早期承認制度は、どちらも医薬品の早期承認制度のひとつです。

先駆け審査指定制度は2015年から試行的にスタートした制度です。
現在、医薬品では3品目(ラパリムスゲル、ゾフルーザ錠、ゾスパタ錠)がこの制度のもと承認されています。4), 5)
今回「先駆的」医薬品等という名称で法制化され(第2条、第77条の2の2項)、優先審査の対象になります(第14条8項)。2), 3)
対象品目は「既存品と作用機序・原理が明らかに異なり、その用途に関し、特に優れた使用価値を有することとなる医薬品等」です。

条件付き早期承認制度は、医薬品では2017年にスタートした制度です。6)
現在、ローブレナ(ALK陽性肺がん治療薬)とキイトルーダ(MSI-Highがんの適応追加)がこの制度を使って承認されています。
こちらも薬機法に記載されています~。(第14条5項、10項)
対象品目は「有効性及び安全性を検証するための十分な人数を対象とする臨床試験の実施が困難である等の希少疾病用・先駆的・特定用途医薬品等、その他の医療上特にその必要性が高いと認められるもの」です。
うーんまとまらなかった。

 

特定用途医薬品等は新しいヤツですね。
小児適応が無い医薬品や薬剤耐性菌に対する医薬品など、医療ニーズが満たされていない医薬品等について法制化されました。2), 3)
こちらも優先審査の対象です~。

【薬機法変更部分(下線部追加改訂)】
(定義)
第二条(略)
16. この法律で「希少疾病用医薬品」とは、第七十七条の二第一項の規定による指定を受けた医薬品を、「希少疾病用医療機器」とは、同項の規定による指定を受けた医療機器を、「希少疾病用再生医療等製品」とは、同項の規定による指定を受けた再生医療等製品を、「先駆的医薬品」とは、同条第二項の規定による指定を受けた医薬品を、「先駆的医療機器」とは、同項の規定による指定を受けた医療機器を、「先駆的再生医療等製品」とは、同項の規定による指定を受けた再生医療等製品を、「特定用途医薬品」とは、同条第三項の規定による指定を受けた医薬品を、「特定用途医療機器」とは、同項の規定による指定を受けた医療機器を、「特定用途再生医療等製品」とは、同項の規定による指定を受けた再生医療等製品をいう。

(医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売の承認)
第十四条(略)
5. 厚生労働大臣は、第一項の承認の申請に係る医薬品が、希少疾病用医薬品、先駆的医薬品又は特定用途医薬品その他の医療上特にその必要性が高いと認められるものである場合であつて、当該医薬品の有効性及び安全性を検証するための十分な人数を対象とする臨床試験の実施が困難であるときその他の厚生労働省令で定めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、第三項の規定により添付するものとされた臨床試験の試験成績に関する資料の一部の添付を要しないこととすることができる。
(略)
8. 厚生労働大臣は、第一項の承認の申請に係る医薬品が、希少疾病用医薬品、先駆的医薬品又は特定用途医薬品その他の医療上特にその必要性が高いと認められるものであるときは、当該医薬品についての第二項第三号の規定による審査又は前項の規定による調査を、他の医薬品の審査又は調査に優先して行うことができる。
(略)
10. 厚生労働大臣は、第一項の承認の申請に関し、第五項の規定に基づき臨床試験の試験成績に関する資料の一部の添付を要しないこととした医薬品について第一項の承認をする場合には、当該医薬品の使用の成績に関する調査の実施、適正な使用の確保のために必要な措置の実施その他の条件を付してするものとし、当該条件を付した同項の承認を受けた者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該条件に基づき収集され、かつ、作成された当該医薬品の使用の成績に関する資料その他の資料を厚生労働大臣に提出し、当該医薬品の品質、有効性及び安全性に関する調査を受けなければならない。
この場合において、当該条件を付した同項の承認に係る医薬品が厚生労働省令で定める医薬品であるときは、当該資料は、厚生労働省令で定める基準に従つて収集され、かつ、作成されたものでなければならない。
(略)

(指定等)
第七十七条の二
厚生労働大臣は、次の各号のいずれにも該当する医薬品、医療機器又は再生医療等製品につき、製造販売をしようとする者(本邦に輸出されるものにつき、外国において製造等をする者を含む。次項及び第三項において同じ。)から申請があつたときは、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、当該申請に係る医薬品、医療機器又は再生医療等製品を希少疾病用医薬品、希少疾病用医療機器又は希少疾病用再生医療等製品として指定することができる。
一 その用途に係る対象者の数が本邦において厚生労働省令で定める人数に達しないこと。
二 申請に係る医薬品、医療機器又は再生医療等製品につき、製造販売の承認が与えられるとしたならば、その用途に関し、特に優れた使用価値を有することとなる物であること。

2. 厚生労働大臣は、次の各号のいずれにも該当する医薬品、医療機器又は再生医療等製品につき、製造販売をしようとする者から申請があつたときは、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、当該申請に係る医薬品、医療機器又は再生医療等製品を先駆的医薬品、先駆的医療機器又は先駆的再生医療等製品として指定することができる。
一 次のいずれかに該当する医薬品、医療機器又は再生医療等製品であること。
イ 医薬品(体外診断用医薬品を除く。以下この号において同じ。)及び再生医療等製品にあつては、その用途に関し、本邦において既に製造販売の承認を与えられている医薬品若しくは再生医療等製品又は外国において販売し、授与し、若しくは販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列することが認められている医薬品若しくは再生医療等製品と作用機序が明らかに異なる物であること。
ロ 医療機器及び体外診断用医薬品にあつては、その用途に関し、本邦において既に製造販売の承認を与えられている医療機器若しくは体外診断用医薬品又は外国において販売し、授与し、若しくは販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列することが認められている医療機器若しくは体外診断用医薬品と原理が明らかに異なる物であること。
二 申請に係る医薬品、医療機器又は再生医療等製品につき、製造販売の承認が与えられるとしたならば、その用途に関し、特に優れた使用価値を有することとなる物であること。

3. 厚生労働大臣は、次の各号のいずれにも該当する医薬品、医療機器又は再生医療等製品につき、製造販売をしようとする者から申請があつたときは、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、当該申請に係る医薬品、医療機器又は再生医療等製品を特定用途医薬品、特定用途医療機器又は特定用途再生医療等製品として指定することができる。
一 その用途が厚生労働大臣が疾病の特性その他を勘案して定める区分に属する疾病の診断、治療又は予防であつて、当該用途に係る医薬品、医療機器又は再生医療等製品に対する需要が著しく充足されていないと認められる物であること。
二 申請に係る医薬品、医療機器又は再生医療等製品につき、製造販売の承認が与えられるとしたならば、その用途に関し、特に優れた使用価値を有することとなる物であること。
(略)

承認に関する箇所は医薬品のところ(第14条)のみ抜粋しています。
医療機器や再生医療等製品(第23条)も同じような記載が追加されています。2)

 

個人輸入に関する規制の見直し(施行:公布後1年以内)

個人輸入に関する規制がちょっぴり厳しくなります。

まず、現在局長通知で運用している薬監証明制度(薬機法第56条)が、罰則規定(薬機法第84条)とともに薬機法に記載されます。3)
3年以下の懲役 and/or 300万円以下の罰金。

加えて、輸入手続きの違反や偽造薬に関する事案が、麻薬取締官の捜査対象になります(麻向法第54条)。3)

まぁ薬監証明は個人で使用することが明らかな量の場合は不要なので…。
(処方箋薬等は1ヵ月分が目安)3)
ふつーに暮らしている人にはあんまり関係ないと思います。

【薬機法変更部分(下線部追加改訂)】
(模造に係る医薬品の販売、製造等の禁止)
第五十五条の二
模造に係る医薬品は、販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で製造し、輸入し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。

(輸入の確認)
第五十六条の二
第十四条、第十九条の二、第二十三条の二の五若しくは第二十三条の二の十七の承認若しくは第二十三条の二の二十三の認証を受けないで、又は第十四条の九若しくは第二十三条の二の十二の届出をしないで、医薬品を輸入しようとする者(以下この条において「申請者」という。)は、厚生労働省令で定める事項を記載した申請書に厚生労働省令で定める書類を添付して、これを厚生労働大臣に提出し、その輸入についての厚生労働大臣の確認を受けなければならない。

2. 厚生労働大臣は、次の各号のいずれかに該当する場合には、前項の確認をしない。
一 個人的使用に供せられ、かつ、売買の対象とならないと認められる程度の数量を超える数量の医薬品の輸入をする場合その他の申請者が販売又は授与の目的で輸入するおそれがある場合として厚生労働省令で定める場合
二 申請者又は申請者に代わつて前項の確認の申請に関する手続をする者がこの法律、麻薬及び向精神薬取締法、毒物及び劇物取締法その他第五条第三号ニに規定する薬事に関する法令で政令で定めるもの又はこれに基づく処分に違反し、その違反行為があつた日から二年を経過していない場合その他の輸入が不適当と認められる場合として厚生労働省令で定める場合

3. 第一項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合には、同項の規定による厚生労働大臣の確認を受けることを要しない。
一 覚醒剤取締法第三十条の六第一項ただし書又は麻薬及び向精神薬取締法第十三条第一項ただし書に規定する場合
二 第十四条の三第一項第二号に規定する医薬品その他の厚生労働大臣が定める医薬品で、厚生労働省令で定める数量以下のものを自ら使用する目的で輸入する場合その他のこれらの場合に準ずる場合として厚生労働省令で定める場合

(罰則)
第八十四条
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。(略)
十九 第五十五条の二(第六十条、第六十二条、第六十四条及び第六十五条の五において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
(略)
二十一 第五十六条の二第一項(第六十条、第六十二条、第六十四条及び第六十五条の五において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
(略)

【麻向法変更部分(下線部追加改訂)】
(麻薬取締官及び麻薬取締員)
第五十四条(略)
5. 麻薬取締官は、厚生労働大臣の指揮監督を受け、麻薬取締員は、都道府県知事の指揮監督を受けて、この法律、大麻取締法、あへん法、覚せい剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)若しくは国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号)に違反する罪若しくは医薬品医療機器等法に違反する罪(医薬品医療機器等法第八十三条の九、第八十四条第九号(名称、形状、包装その他の厚生労働省令で定める事項からみて医薬品医療機器等法第十四条、第十九条の二、第二十三条の二の五若しくは第二十三条の二の十七の承認若しくは医薬品医療機器等法第二十三条の二の二十三の認証を受けた医薬品又は外国において、販売し、授与し、若しくは販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列(配置を含む。以下この項において同じ。)をすることが認められている医薬品と誤認させる物品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列をする行為に係るものに限る。)、第十九号(医薬品医療機器等法第五十五条の二の規定に係る部分に限る。)、第二十一号、第二十七号(医薬品医療機器等法第七十条第一項に係る部分については、医薬品医療機器等法第五十五条の二に規定する模造に係る医薬品に係る部分に限る。)及び第二十八号、第八十五条第六号、第九号及び第十号、第八十六条第一項第二十五号及び第二十六号並びに第八十七条第十三号(医薬品医療機器等法第六十九条第四項及び第五項(医薬品医療機器等法第五十五条の二に規定する模造に係る医薬品に該当する疑いのある物に係る部分に限る。)並びに第七十六条の八第一項の規定に係る部分に限る。)及び第十五号(以下この項において「第八十三条の九等の規定」という。)並びに第九十条(第八十三条の九等の規定に係る部分に限る。)の罪に限る。)、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二編第十四章に定める罪又は麻薬、あへん若しくは覚醒剤の中毒により犯された罪について、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による司法警察員として職務を行う。
(略)

 

虚偽・誇大広告による医薬品等の販売に対する課徴金制度の創設(施行:公布後2年以内)

薬機法第66条に違反する行為に対し、課徴金が課せられるようになります。2), 3)

薬機法第66条(誇大広告等)
何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

課徴金は違反行為をしていた期間の売上の4.5%
ちなみに自首すると半額になるらしいです(薬機法第75条の5の4)。

【薬機法変更部分(下線部追加改訂)】
(課徴金納付命令)
第七十五条の五の二
第六十六条第一項の規定に違反する行為(以下「課徴金対象行為」という。)をした者(以下「課徴金対象行為者」という。)があるときは、厚生労働大臣は、当該課徴金対象行為者に対し、課徴金対象期間に取引をした課徴金対象行為に係る医薬品等の対価の額の合計額(次条及び第七十五条の五の五第八項において「対価合計額」という。)に百分の四・五を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。

2. 前項に規定する「課徴金対象期間」とは、課徴金対象行為をした期間(課徴金対象行為をやめた後そのやめた日から六月を経過する日(同日前に、課徴金対象行為者が、当該課徴金対象行為により当該医薬品等の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して誤解を生ずるおそれを解消するための措置として厚生労働省令で定める措置をとつたときは、その日)までの間に課徴金対象行為者が当該課徴金対象行為に係る医薬品等の取引をしたときは、当該課徴金対象行為をやめてから最後に当該取引をした日までの期間を加えた期間とし、当該期間が三年を超えるときは、当該期間の末日から遡つて三年間とする。)をいう。

3. 第一項の規定にかかわらず、厚生労働大臣は、次に掲げる場合には、課徴金対象行為者に対して同項の課徴金を納付することを命じないことができる。
一 第七十二条の四第一項又は第七十二条の五第一項の命令をする場合(保健衛生上の危害の発生又は拡大に与える影響が軽微であると認められる場合に限る。)
二 第七十五条第一項又は第七十五条の二第一項の処分をする場合

4. 第一項の規定により計算した課徴金の額が二百二十五万円未満であるときは、課徴金の納付を命ずることができない。

(不当景品類及び不当表示防止法の課徴金納付命令がある場合等における課徴金の額の減額)
第七十五条の五の三
前条第一項の場合において、厚生労働大臣は、当該課徴金対象行為について、当該課徴金対象行為者に対し、不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)第八条第一項の規定による命令があるとき、又は同法第十一条の規定により課徴金の納付を命じないものとされるときは、対価合計額に百分の三を乗じて得た額を当該課徴金の額から減額するものとする。

(課徴金対象行為に該当する事実の報告による課徴金の額の減額)
第七十五条の五の四
第七十五条の五の二第一項又は前条の場合において、厚生労働大臣は、課徴金対象行為者が課徴金対象行為に該当する事実を厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣に報告したときは、同項又は同条の規定により計算した課徴金の額に百分の五十を乗じて得た額を当該課徴金の額から減額するものとする。ただし、その報告が、当該課徴金対象行為についての調査があつたことにより当該課徴金対象行為について同項の規定による命令(以下「課徴金納付命令」という。)があるべきことを予知してされたものであるときは、この限りでない。
(略)

 

参考文献
1)平成30年度第6回医薬品医療機器制度部会 「改正法の施行後5年を目途とした検討」について, 厚生労働省, https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000203043.pdf.
2)第198回国会(常会)提出法律案 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(平成31年3月19日提出), 厚生労働省, https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/198.html.
3)医薬品・医療機器等の品質・有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案の概要, 日刊薬業, https://nk.jiho.jp/document/140479.
4)先駆けパッケージ戦略への対応, PMDA, http://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/0002.html.
5)医薬品の先駆け審査指定制度の対象品目一覧表, PMDA, http://www.pmda.go.jp/files/000226071.pdf.
6)医薬品条件付早期承認制度への対応, PMDA, https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/0045.html.