リムパーザ、レパーサ等の効能等が追加されました(2019年6月)

5月の第一・第二部会で審議・報告された品目が適応追加されたようなので、まとめました。

効能等追加品目の一覧

今回承認された効能等追加品目の一覧です。
会社名をクリックすると、各社のニュースリリースに飛びます。
(直PDFのリンクもありますので、ご注意ください。)

効能等追加品目

販売名(一般名) 会社名 効能等追加事項
インチュニブ錠1mg・3mg
(グアンファシン塩酸塩)
塩野義
*コ・プロ:武田
適応小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
(打ち消し線部削除)
リムパーザ錠100mg・150mg
(オラパリブ)
アストラゼネカ 追加適応BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法
サイラムザ点滴静注液100mg・500mg
(ラムシルマブ(遺伝子組換え))
リリー 追加適応:がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌
ジェムザール注射用200mg・1g
(ゲムシタビン塩酸塩)

リリー 追加用法:非小細胞肺癌におけるシスプラチンと併用時の用法等追加
ポートラーザの承認に伴う用法等追加)
レパーサ皮下注140mgシリンジ・ペン、420mgオートミニドーザー
(エボロクマブ(遺伝子組換え))
AABPアステラス 適応:家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症
ただし、以下のいずれも満たす場合に限る。
・心血管イベントの発現リスクが高い
・HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分、又はHMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない
(下線部追加)
ロミプレート皮下注250μg
(ロミプロスチム(遺伝子組換え))
協和発酵キリン 追加適応:既存治療で効果不十分な再生不良性貧血

 

留意事項通知・適正使用に関する通知が出ています

サイラムザ:AFPの検査値と検査実施年月日をレセプトに記載

適応に「血清AFP値が400ng/mL以上の」と記載があるので、その検査をした旨などをレセプトに記入する必要があります。
よくある留意事項ですね。

1 効能・効果等の一部変更承認に伴う留意事項について
サイラムザ点滴静注液100mg及び同点滴静注液500mg
本製剤をがん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌に用いる場合は、効能・効果に関連する使用上の注意において、「本剤の使用にあたっては、初回投与時の血清AFP値に基づき、適応患者の選択を行うこと。」とされているので、本製剤の投与開始に当たっては、AFPの検査値及び当該検査の実施年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記入すること。

 

リムパーザ:BRCA遺伝子変異の検査実施年月日をレセプトに記載

今回適応追加になった適応でも、BRCA遺伝子変異検査実施日をレセプトに記入する必要があります。
下の(1)が今回適応追加になった部分ですね。

1 リムパーザ錠100mg、同錠150mg
本製剤を(1)「BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法」又は(2)「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」に用いる場合は、効能・効果に関連する使用上の注意において、(1)の場合「承認された体外診断薬等を用いた検査により、BRCA遺伝子変異を有することが確認された患者に投与すること。」、(2)の場合「承認された体外診断薬等を用いた検査により、生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異(病的変異又は病的変異疑い)を有することが確認された患者に投与すること。」とされているので、BRCA遺伝子変異を確認した検査の実施年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記入すること。
なお、当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし、本剤の初回投与に当たっては、必ず実施年月日を記載すること。

レパーサ:使用可能なHMG-CoA還元酵素阻害剤がないと判断した理由をレセプトに記載

今回の適応追加では「スタチンが使用不適と判断した理由をレセプトに書いてね!」という内容が追加されました。

というわけで、スタチン使用不適の患者に使う場合のレセプト記載事項は以下のとおりです。
・施設要件
・LDLーコレステロールの検査値・検査実施年月日
・食事療法等を行っている旨
・使用可能なHMG-CoA還元酵素阻害剤がないと判断した理由
・リスク因子(家族性高コレステロール血症以外の患者)

最適使用推進ガイドライン対象品目だけあって、書くこといっぱいですね。

2 レパーサ皮下注420mgオートミニドーザーの留意事項について
(1)(略)

(2)本製剤の効能・効果は「家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症。ただし、以下のいずれも満たす場合に限る。
・心血管イベントの発現リスクが高い
・HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分、又はHMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない
であることから、心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害剤の最大耐用量を服用しているが、十分な治療効果が得られていない患者、又はHMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適切ではない患者(副作用の既往等によりHMG-CoA還元酵素阻害剤の使用が困難な患者又はHMG-CoA還元酵素阻害剤の使用が禁忌とされる患者)に限り使用すること。
また、本製剤の使用上の注意において、「本剤投与にあたっては、あらかじめ高コレステロール血症治療の基本である食事療法を行い、更に運動療法、禁煙、他の虚血性心疾患のリスクファクター(糖尿病、高血圧症等)の軽減等も十分考慮すること」とされているので、患者に対して必要な治療及び指導を十分に行った上で、本製剤の使用を考慮すること。

(3)本製剤の投与開始に当たっては、次の事項を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。本製剤の継続投与に当たっては、投与開始時の情報を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
1)次に掲げる施設のうち、該当するもの(「施設要件ア」又は「施設要件イ」と記載)
ア 医師免許取得後、満6年以上の臨床研修歴を有し、このうち3年以上は循環器診療に関する臨床研修歴を有する医師が所属する施設
イ 医師免許取得後、満6年以上の臨床研修歴を有し、このうち3年以上は動脈硬化学に関する臨床研修歴を有する医師が所属する施設
2)本製剤の使用が必要と判断するに当たって参照したLDLーコレステロールの検査値及び当該検査の実施年月日
3)食事療法を行っている旨、及び患者の状況に応じて、運動、喫煙等に関する指導又は糖尿病、高血圧症等の虚血性心疾患の危険因子に対する治療若しくは指導を行っている旨
4)HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分な患者に投与する場合には、投与中のHMG-CoA還元酵素阻害剤の成分名及び1日投与量。なお、1日投与量が最大用量でない場合は、最大耐用量である旨もあわせて記載すること。
5)本製剤をHMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない患者(副作用の既往等によりHMG-CoA還元酵素阻害剤の使用が困難な患者又はHMG-CoA還元酵素阻害剤の使用が禁忌とされる患者)に投与する場合には、使用可能なHMG-CoA還元酵素阻害剤がないと判断した理由
6)家族性高コレステロール血症以外の患者では、以下の心血管イベントのリスク因子のいずれに該当するか(「リスク因子ア」から「リスク因子オ」までのうち該当するものを記載)。
ア 冠動脈疾患(安定狭心症に対する冠動脈形成術を含む)の既往歴
イ 非心原性脳梗塞の既往歴
ウ 糖尿病
エ 慢性腎臓病
オ 末梢動脈疾患
7)家族性高コレステロール血症以外の患者で、6)の「リスク因子ウ」から「リスク因子オ」までのいずれかに該当し、HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分な患者に投与する場合、投与中のHMG-CoA還元酵素阻害剤の投与期間

(4)・(5) (略)

 

参考文献
1)各社プレスリリース
2)各製品添付文書
3)医薬品医療機器等法上の効能・効果等の変更に伴う留意事項の一部改正等について, 保医発0618第6号, 令和元年6月18日, https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T190619S0030.pdf.

4)抗PCSK9抗体製剤に係る最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事項の一部改正について, 保医発0618第7号, 令和元年6月18日, https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T190619S0040.pdf.

2019.6.18 公開
2019.6.19 ミニリンメルトを承認の記事に移動(新規格のため)、留意事項通知の内容を追記