ゾレアの効能等が追加されました(2019年12月)

12月11日、承認留保になっていた、ゾレアのアレルギー性鼻炎の適応が追加されました。

参考 ノバルティス ゾレアの季節アレルギー性鼻炎の効追取得を留保 最適使用推進GL周知に力ミクスOnline

効能等追加品目の一覧

会社名をクリックすると、ニュースリリースに飛びます。

効能等追加品目

販売名(一般名) 会社名 効能等追加事項
ゾレア皮下注75mg・150mg、皮下注75mg・150mgシリンジ
(オマリズマブ(遺伝子組換え))
ノバルティス 追加適応:季節性アレルギー性鼻炎(既存治療で効果不十分な重症又は最重症患者に限る)

 

留意事項通知・適正使用に関する通知が出ています

ゾレア:最適使用推進ガイドライン作成、レセプト記載事項あり

適応追加に伴い、最適使用推進ガイドラインが作成されました。3)

参考 最適使用推進ガイドライン最新版PMDA

また、留意事項通知も出ています。4)
診療報酬明細書の摘要欄に記載する事項が、すごくいっぱいあります…。

(1)ゾレア皮下注用75mg、同皮下注用150mg、同皮下注75mgシリンジ及び同皮下注150mgシリンジについては、最適使用推進ガイドラインに従い、有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間、国内臨床試験の結果等から本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに、副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件を満たす医療機関で使用するよう十分留意すること。

(2)本製剤の投与によって合併する他のアレルギー性疾患の症状が変化する可能性があることから、本製剤の投与状況を合併する他のアレルギー性疾患を担当する医師に連絡する等、適切な連携体制を取れる施設であって、その疾患管理に関して指導及び支援を受ける体制が整っている施設で投与すること。

(3)本製剤をスギ花粉による季節性アレルギー性鼻炎に投与する場合、本製剤の12週以降の使用経験は無いため、12週以降も継続して投与する場合は患者の状態や原因花粉抗原の飛散時期を考慮し、その必要性を慎重に判断すること。

(4)本製剤の投与前に、既存治療を行ってもコントロール不十分な鼻症状が1週間以上持続することを同一の医療機関で確認すること。
その後、血清中総IgE濃度を検査し、当該濃度を基に投与量を設定すること。
なお、スギ花粉抗原に対する血清特異的IgE抗体がクラス3以上(FEIA法で3.5UA/mL以上又はCLEIA法で13.5ルミカウント以上)の患者が本剤の投与対象である。

(5)本製剤を含む薬物療法は対症療法であるが、アレルゲン免疫療法(減感作療法)は長期寛解も期待できる治療であることから、その年に本製剤を新たにスギ花粉による季節性アレルギー性鼻炎の患者へ投与する際は、アレルゲン免疫療法(減感作療法)に関する説明を十分に行うこと。

(6)当該スギ花粉シーズン中における本製剤の投与開始に当たっては、次の事項を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
1 次に掲げる医師が本製剤に関する治療の責任者として配置されている施設(「医師要件ア」から「医師要件エ」までのうち該当するもの
【成人季節性アレルギー性鼻炎患者に投与する場合】
ア 医師免許取得後2年の初期研修を修了した後に、4年以上の耳鼻咽喉科診療の臨床研修を行っていること。
イ 医師免許取得後2年の初期研修を修了した後に、4年以上の臨床経験を有し、そのうち3年以上は季節性アレルギー性鼻炎を含むアレルギー診療の臨床研修を行っていること。
【小児季節性アレルギー性鼻炎患者に投与する場合】
ウ 医師免許取得後2年の初期研修を修了した後に、4年以上の耳鼻咽喉科診療の臨床研修を行っていること。
エ 医師免許取得後2年の初期研修を修了した後に、3年以上の小児科診療の臨床研修かつ3年以上の季節性アレルギー性鼻炎を含むアレルギー診療の臨床研修を含む4年以上の臨床経験を有していること。
2 投与量の設定に用いた血清中総IgE濃度及び当該検査の実施年月日
3 患者がスギ花粉による季節性アレルギー性鼻炎であると判断した理由
4 前スギ花粉シーズンにおける鼻症状及び本製剤の投与時における鼻症状。なお、鼻症状としては、くしゃみ発作の1日回数、擤鼻の1日回数及び鼻閉の状態をそれぞれ記載すること。
5 前スギ花粉シーズンに治療に用いた鼻噴霧用ステロイド及びケミカルメディエーター受容体拮抗薬の成分名及び一日投与量
6 既存治療で効果不十分と判断した理由
7 アレルゲン免疫療法(減感作療法)に関する説明内容

(7)当該スギ花粉シーズン中における本製剤の継続投与に当たっては、次の事項を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
1 本製剤の前回投与時及び当該継続投与時における鼻症状。なお、鼻症状としては、くしゃみ発作の1日回数、擤鼻の1日回数及び鼻閉の状態をそれぞれ記載すること。
2 本製剤と併用しているヒスタミンH1受容体拮抗薬の成分名及び一日投与量
3 12週間を超えて本製剤を投与する場合は、継続して投与することが必要かつ適切と判断した理由

 

あと、効能は「アレルギー性鼻炎(略)」ですが、AY先生ご指摘のとおり、現状スギ花粉症にしか使えないですね。

審査報告書にはヒノキにも効きそうって書いてあるので5)、ちょっと残念…。
でも第3相の対象患者がスギ花粉症患者だから、致し方ない気もする。
この辺の縛りは、学会と協議しつつ変わっていくかもしれませんね。

本薬は作用機序からスギ花粉以外の花粉特異的IgEにも結合することが想定され、成人でスギ花粉に次いでアレルゲンテストの陽性率が高いとされるヒノキ花粉についても、F1301試験に組入れられたヒノキ花粉症合併被験者において、ヒノキ花粉によるアレルギー性鼻炎症状に対する本剤の有効性が示唆されている(7.R.4参照)。
以上を踏まえると、花粉抗原の種類を限定せず季節性アレルギー性鼻炎に対する本剤の有効性は期待できると判断した(効能・効果については7.R.4参照)。

 

参考文献
1)プレスリリース
2)製品添付文書
3)オマリズマブ(遺伝子組換え)製剤の最適使用推進ガイドライン(季節性アレルギー性鼻炎)について, 薬生薬審発1211第1号, 令和元年12月11日.
4)ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤に係る最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事項について, 保医発1211第2号, 令和元年12月11日.
5)審査報告書, PMDA, http://www.pmda.go.jp/drugs/2019/P20191119001/300242000_22300AMX01262_A100_1.pdf.