4月22日、新医薬品が薬価収載されました

4月8日に開催された中医協で、新医薬品の薬価収載が了承されました。
4月21日に告示され、4月22日に薬価収載されました。

2020年4月22日収載の新医薬品

フィコンパ細粒は、14日処方日数制限の適応外です。

販売名(一般名) 規格単位 薬価
デエビゴ錠2.5mg・5mg・10mg
(レンボレキサント)
2.5mg1錠
5mg1錠
10mg1錠
57.30円
90.80円
136.20円
ニュベクオ錠300mg
(ダロルタミド)
300mg1錠 2,311.00円
ノクサフィル錠100mg
(ボサコナゾール)
100mg1錠 3,109.10円
フィコンパ細粒1%
(ペランパネル水和物)
1%1g 1,068.90円
ユリス錠0,5mg・1mg・2mg
(ドチヌラド)
0.5mg1錠
1mg1錠
2mg1錠
30.00円
54.80円
100.20円
リンヴォック錠7.5mg・15mg
(ウパダシチニブ水和物)
7.5mg1錠
15mg1錠
2,550.90円
4,972.80円
コレクチム軟膏0.5%
(デルゴシチニブ)
0.5%1g 139.70円
チラーヂンS静注液200mg
(レボチロキシンナトリウム水和物)
200μg1mL1管 20,211円
ノクサフィル点滴静注300mg
(ボサコナゾール)
300mg16.7mL1瓶 28,508円

留意事項通知が発出

薬価収載の告示と同日付で、何品目か留意事項通知が出ています。

フィコンパ細粒:14日投薬期間制限の対象外

フィコンパ細粒は、既に錠剤が薬価収載されているため、14日処方制限の対象外になりました。

2 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(1)フィコンパ細粒1%
本製剤は、既に薬価収載後1年以上を経過している「フィコンパ錠2mg、同錠4mg」(以下「既収載品」という。)と有効成分が同一であり、今般、錠剤である既収載品において小児における効能・効果及び用法・用量が追加されたことに伴い、小児等が服用しやすい細粒剤として承認された剤形追加医薬品であることから、掲示 事項等告示第10第2号(一)に規定する新医薬品に係る投薬期間制限(14日間を限度とする。)は適用されないものであること。

リンヴォック:既存薬の効果不十分時に使用

オルミエントやスマイラフと一緒の内容ですね。
第一選択じゃ無いよ~という記載です。

2 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(2) リンヴォック錠7.5mg及び同錠15mg
本製剤の効能又は効果に関連する注意において「過去の治療において、メトトレキサートをはじめとする少なくとも1剤の抗リウマチ薬等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与すること。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。

コレクチム:漫然と使用しないこと

2 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(4)コレクチム軟膏0.5%
本製剤の用法及び用量に関連する注意において「治療開始4週間以内に皮疹の改善が認められない場合は、使用を中止すること。」及び「症状が改善した場合には継続投与の必要性について検討し、漫然と長期にわたって使用しないこと。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。

チラーヂンS:レセプトに経口剤が不適の理由を記載

甲状腺機能低下症に使う場合は、経口剤が使えない理由を記載する必要があります。
粘液水腫性昏睡に使う場合は不要。

2 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(3)チラーヂンS静注液200µg
本製剤を甲状腺機能低下症の患者に投与する際は、レボチロキシンナトリウム経口製剤による治療が適さない場合に限ること。
また、甲状腺機能低下症の患者に対する本製剤の投与開始に当たっては、レボチロキシンナトリウム経口製剤による治療が適さないと判断した理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

薬価の決めかた

デエビゴ:ベルソムラと薬価合わせ

デエビゴは、同じオレキシン受容体拮抗薬のベルソムラ錠の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

デエビゴ錠5mg:90.80円(1日薬価:90.80円)
ベルソムラ錠15mg:90.80円(1日薬価:90.80円)

市場規模予測、ピーク時90万人/178億円って結構強気。
(ベルソムラは140万人/190億円予測)

ニュベクオ:アーリーダと薬価合わせ

ニュベクオは、同じアンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬のアーリーダ錠の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

ニュベクオ錠300mg:2,311.00円(1日薬価:9,244.00円)
アーリーダ錠60mg:2,311.00円(1日薬価:9,244.00円)

ノクサフィル:原価計算方式で算定

ノクサフィルは、薬価算定に使用可能な類薬が無いため、原価計算方式で算定されました。
フルコナゾールとボリコナゾールは、薬価収載から10年以上経っているので新薬の算定には使えないのだ。

フィコンパ細粒:フィコンパ錠と薬価合わせ【加算あり】

フィコンパ細粒は、フィコンパ錠の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

フィコンパ細粒1%:1,068.90円(1日薬価:855.10円)
フィコンパ錠2mg:193.20円(1日薬価:772.80円)

剤形間比で薬価を整えた後に、小児加算が5%ついております~。

ユリス:フェブリクと薬価合わせ

ユリスは、同じ高尿酸血症治療薬のフェブリク錠の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

ユリス錠2mg:100.20円(1日薬価:100.20円)
フェブリク錠20mg:50.10円(1日薬価:100.20円)

最類似薬はフェブリクなんですねぇ。

リンヴォック:類似薬効比較2で算定

リンヴォックは、過去10年間に薬価収載された薬理作用類似薬の平均1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(II)。

リンヴォック錠15mg:4,972.80円(1日薬価:4,972.80円)
過去10年間に薬価収載された薬理作用類似薬の平均1日薬価:4,972.80円)

参考)
スマイラフ錠50mg:1,725.70円(1日薬価:5,177.10円)
オルミエント錠4mg:5,274.90円(1日薬価:5,274.90円)
ゼルヤンツ錠5mg:2,659.90円(1日薬価:5,319.80円)

4成分目のJAK阻害薬なので、類似薬効比較方式2で算定されております。
平均一日薬価の算定方法がイマイチわかりませんでしたが(実際使われている1日量で算定してるのかな?)、既存薬よりは安めに算定されてるっぽい。

コレクチム:原価計算方式で算定

コレクチムは、類薬が無いため原価計算方式で算定されました。

139.70円/gは高いような気もするけど、プロトピック軟膏が99.90円/gなので、難治症例に使う分には許容範囲なのかな…?
まぁプロトピックは後発品(54.00円/g)があるのですが。

チラーヂンS:原価計算方式で算定【加算あり】

チラーヂンS静注液は、類薬が無いため原価計算方式で算定されました。
粘液水腫性昏睡の適応を有する初めての薬剤であること、海外で標準治療として使用されていることから、有用性加算が5%ついています。

加算係数は0.6。ボチボチ。

 

参考文献
1)中央社会保険医療協議会 総会(第453回) 医薬品の薬価収載等について, 厚生労働省, https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00068.html.
3)使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について, 保医発0421第3号, 2020年4月21日.