5月の第一・第二部会で審議・報告された品目が適応追加されたようなので、まとめました。
目次
効能等追加品目の一覧
今回承認された効能等追加品目の一覧です。
会社名をクリックすると、各社のニュースリリースに飛びます。
(直PDFのリンクもありますので、ご注意ください。)
効能等追加品目
販売名(一般名) | 製造販売会社等 | 効能等追加事項 |
サムスカ錠7.5mg・15mg・30mg、同OD錠7.5mg・15mg・30mg、同顆粒1% (トルバプタン) |
大塚製薬 | 追加適応:抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)における低ナトリウム血症の改善 |
ボシュリフ錠100mg (ボスチニブ水和物) |
ファイザー | 適応:慢性骨髄性白血病 ※初発の慢性骨髄性白血病への適応拡大 |
フェントステープ0.5mg・1mg・2mg・4mg・6mg・8mg (フェンタニルクエン酸塩) |
久光= 協和キリン |
適応:非オピオイド鎮痛剤及び弱オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記における鎮痛 (ただし、慢性疼痛は他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する場合に限る。) 〇中等度から高度の疼痛を伴う各種がん 〇中等度から高度の慢性疼痛 ※オピオイド鎮痛剤未使用のがん疼痛への適応拡大 |
フルティフォーム50エアゾール56吸入用・120吸入用 (フルチカゾンプロピオン酸エステル/ホルモテロールフマル酸塩水和物) |
杏林 | 追加用法等:小児用法・用量の追加 |
オノアクト点滴静注用50mg・150mg (ランジオロール塩酸塩) |
小野 | 追加適応:敗血症に伴う下記の頻脈性不整脈:心房細動、心房粗動、洞性頻脈 |
留意事項通知・適正使用に関する通知が出ています
フェントス:他剤未使用例に投与する場合、他剤より本剤が有益であると考えられる場合にのみ投与
フェントスは、いままで他剤からの切替えで使われる薬剤でした。
しかし、今回の適応拡大で、がん疼痛に関しては初回から使えるようになりました。3)
(慢性疼痛の場合は、今までどおり他剤からの切替えでしか使えません。)
適応追加に伴い、以下の留意事項が出ています。
特にレセプトになんか書いてね!というわけではありませんが、聞かれたら答えられるようにしておいた方が良さそうですね。
2 がん疼痛
本製剤の効能又は効果に関連する注意において「本剤貼付前にオピオイド鎮痛剤を使用していないがん疼痛患者に対しては、経口オピオイド鎮痛剤に比べ本剤による治療が有益であると考えられる場合(経口投与が困難な患者、経口剤による副作用発現のおそれがある患者、多剤併用等により貼付剤の投与が望まれる患者など)にのみ使用すること。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。
ちなみに、同じフェンタニル貼付剤のデュロテップとワンデュロは適応拡大していません。
よって、こちらは他剤からの切替えでしか使えません。注意。
ものすごい間違えそうなので、早く適応拡大して欲しい。
そしてフェントスの後発品もまだ適応拡大してません。
こっちは切実に早く対応して欲しい。
慢性疼痛の適応拡大もまだなのに…!
サムスカ:血清ナトリウム濃度を頻回に測定すること
SIADHの適応追加に伴い、以下の留意事項が出ています。
また、SIADHにおける低ナトリウム血症については、「本剤投与により、急激な血清ナトリウム濃度の上昇による浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがあることから、入院下で投与を開始、増量又は再開し、急激な血清ナトリウム濃度の上昇がみられた場合には適切な処置を行うこと。特に投与開始日、増量日又は再開日には水分制限を解除し、血清ナトリウム濃度を頻回に測定すること。」と記載されている。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)は、抗利尿ホルモン(バソプレシン)が過剰に分泌された状態です。4)
がんや神経疾患、肺疾患などに伴って生じ、バソプレシンが水の再吸収を促進することで低ナトリウム血症をきたします。3),4)
サムスカはバソプレシンの受容体(V2受容体)への結合を阻害して水の再吸収を抑制し、症状を改善します。3)
作用機序的にはいつものサムスカですね。
シンプルな薬はわかりやすいね。好き。
ちなみに浸透圧性脱髄症候群は、低ナトリウム血症の治療時にみられる合併症です。5)
ヒトでは脳内の橋でよくみられるため、橋中心髄鞘崩落症とも呼ばれています。5)
字面からして怖い。
血清ナトリウム濃度が急速に上昇により血液の浸透圧が急速に変化し、血管内皮細胞が損傷を受けることで神経細胞の脱髄を引き起こすと考えられています。6)
発症したら特異的な治療法はないため、発症の予防が肝心です。6)
そんなわけで入院下で投与開始して、頻回のNa測定をするんですね。
先発品と後発品の適応違いがわからない?良いサイトがありますよ!
フェントステープとその後発品のように、適応が違う先発品と後発品って色々ありますよね。
それを追うのって結構大変じゃないですか。
安心してください。
あなたの代わりに追ってくれてる神サイトがあるんです。
というわけでジャジャーン!
日本ジェネリック製薬協会~!(秘密道具のノリで)
このリストの神な点は、更新の速さですよ。
6/29の適応追加が7/2にはもう更新されてるの。
すごくないですか。
なんなら7/1の後発品の適応追加も更新できとるからね。
すごすぎる。
しかもですよ。更新情報をメールでお知らせしてくれるんですよ!
タダで!
しかもしかも一緒に製品の供給状況のお知らせも来るからね。
すごすぎない?(何回言うんだ)
というわけで私の激推しサイトの紹介でした。
知ってると便利なので、ぜひ業務にご活用ください!
2)各製品添付文書
3) 医薬品医療機器等法上の効能・効果等の変更に伴う留意事項の一部改正等について, 保医発0629第1号, 令和2年6月29日.
4) 低ナトリウム血症, MSDマニュアル プロフェッショナル版, https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/10-内分泌疾患と代謝性疾患/電解質障害/低ナトリウム血症hu fm、.
5) ミノサイクリンはミクログリアの活性化を抑制することによって浸透圧性脱髄症候群を予防する, 名古屋大学, https://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical_J/research/pdf/2011.01.13_sugimura.pdf .
6) 「一目瞭然!目で診る症例」, 日内会誌 2009, https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/98/10/98_2645/_pdf .