5月20日、新医薬品が薬価収載されました

5月13日に開催された中医協で、新医薬品の薬価収載が了承されました。
5月19日に告示され、5月20日に薬価収載されました。

2020年5月20日収載の新医薬品

キャブピリン配合錠、アイラミド配合懸濁性点眼液、ソリクア配合注ソロスターは、14日処方日数制限の適応外です。

販売名(一般名) 規格単位 薬価
カボメティクス錠20mg・60mg
(カボザンチニブリンゴ酸塩)
20mg1錠
60mg1錠
8,007.60円
22,333.00円
キャブピリン配合錠
(アスピリン/ボノプラザンフマル酸塩)
1錠 130.30円
テプミトコ錠250mg
(テポチニブ塩酸塩水和物)
250mg1錠 14,399.00円
ベレキシブル錠80mg
(チラブルチニブ塩酸塩)
80mg1錠 5,067.40円
メラトベル顆粒小児用0.2%
(メラトニン)
0.2%1g 207.80円
ラツーダ錠20mg・40mg・60mg・80mg
(ルラシドン塩酸塩)
20mg1錠
40mg1錠
60mg1錠
80mg1錠
178.70円
328.90円
469.90円
493.40円
ロケルマ懸濁用散分包5g・10g
(ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物)
5g1包
10g1包
1,095.20円
1,601.00円
アイラミド配合懸濁性点眼液
(ブリモニジン酒石酸塩/ブリンゾラミド)
1mL 492.20円
アネレム静注用50mg
(レミマゾラムベシル酸塩)
50mg1瓶 2,218円
エンハーツ点滴静注用100mg
(トラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え))
100mg1瓶 165,074円
オゼンピック皮下注0.25mgSD・0.5mgSD・1.0mgSD
(セマグルチド(遺伝子組換え))
0.25mg0.5mL1キット
0.5mg0.5mL1キット
1mg0.5mL1キット
1,547円
3,094円
6,188円
オニバイド点滴静注43mg
(イリノテカン塩酸塩水和物)
43mg10mL1瓶 128,131円
ステボロニン点滴静注バッグ9000mg/300mL
(ボロファラン(10B))
9,000mg300mL1袋 444,215円
ソリクア配合注ソロスター
(インスリン グラルギン(遺伝子組換え)/リキシセナチド)
1キット 6,497円
ビルテプソ点滴静注250mg
(ビルトラルセン)
250mg5mL1瓶 91,136円
ベオビュ硝子体内注射用キット120mg/mL
(ブロルシズマブ(遺伝子組換え))
6mg0.05mL1筒 142,784円
ボンベンディ静注用1300
(ボニコグ アルファ(遺伝子組換え))
1,300国際単位1瓶(溶解液付) 146,288円
ルムジェブ注カート・ミリオペン・ミリオペンHD・注100単位/mL
(インスリン リスプロ(遺伝子組換え))
300単位1筒
300単位1キット
300単位1キット
100単位1mLバイアル
1,175円
1,400円
1,400円
277円

留意事項通知が発出

薬価収載の告示と同日付で、何品目か留意事項通知が出ています。

キャブピリン:14日投薬期間制限の対象外

キャブピリンは配合剤なので、14日処方制限の対象外になりました。

2 療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(平成18年厚生労働省告示第107号。以下「掲示事項等告示」という。)の一部改正について
(2)新医薬品(医薬品医療機器等法第14条の4第1項第1号に規定する新医薬品をいう。)については、掲示事項等告示第10第2号(1)に規定する新医薬品に係る投薬期間制限(14日分を限度とする。)が適用されるが、掲示事項等告示の改正によって、新たにキャブピリン配合錠、ソリクア配合注ソロスター、アイラミド配合懸濁性点眼液が当該制限の例外とされた

テプミトコ:レセプトに検査実施日記載

4 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(3)テプミトコ錠250mg
本製剤の効能又は効果に関連する注意において、「十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異が確認された患者に投与すること。」とされているので、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性を確認した検査の実施年月日を診療報酬明細書に記載すること。
なお、当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし、本剤の初回投与に当たっては、必ず実施年月日を記載すること。

メラトベル:対象患者に関する留意

対象患者に関する留意事項が出ています。
基準を満たしていて、かつ非薬物療法(睡眠衛生指導・行動療法etc)などで効果が出ている患者に投与しましょうね、という内容です。
なんでもかんでも処方しちゃダメよ~ということですかね。

4 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(1)メラトベル顆粒小児用0.2%
本製剤の効能又は効果に関連する注意に、「神経発達症の診断は、米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5)に基づき慎重に実施し、基準を満たす場合にのみ投与すること。」及び「入床を一定の時間帯にするなどの睡眠衛生指導や、可能な場合には行動療法的治療を実施し、入眠潜時の延長のある患者に投与すること。」と記載されているので、使用に当たっては十分留意すること。

ロケルマ:効果発現時期に関する留意

「効果発現がゆっくりだから、緊急時には使わないでね。」「投与して3日経っても目標値に届かなかったら、他の治療法を検討してね。」とのこと。

4 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(2)ロケルマ懸濁用散分包5g及び同懸濁用散分包10g
本製剤の効能又は効果に関連する注意に、「本剤は効果発現が緩徐であるため、緊急の治療を要する高カリウム血症には使用しないこと。」及び用法及び用量に関連する注意に、「本剤投与開始3日後にも血清カリウム値が治療目標値に達していない場合は、他の治療方法を検討すること(血液透析施行中を除く)。」と記載されているので、使用に当たっては十分留意すること。

アイラミド:14日投薬期間制限の対象外

アイラミドは配合剤なので、14日処方制限の対象外になりました。

2 療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(平成18年厚生労働省告示第107号。以下「掲示事項等告示」という。)の一部改正について
(2)新医薬品(医薬品医療機器等法第14条の4第1項第1号に規定する新医薬品をいう。)については、掲示事項等告示第10第2号(1)に規定する新医薬品に係る投薬期間制限(14日分を限度とする。)が適用されるが、掲示事項等告示の改正によって、新たにキャブピリン配合錠、ソリクア配合注ソロスター、アイラミド配合懸濁性点眼液が当該制限の例外とされた。

エンハーツ:レセプトに治療歴記載

エンハーツは、ハーセプチン・カドサイラ・タキサン系抗がん剤のいずれかの治療歴がある患者に投与する薬剤です。
なので、どの治療歴があるかを、レセプトに記載する必要があります。

4 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(9)エンハーツ点滴静注用100mg
本製剤の効能又は効果に関連する注意に、「トラスツズマブ(遺伝子組換え)、タキサン系抗悪性腫瘍剤及びトラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)による治療歴のない患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない。」と記載されているので、トラスツズマブ(遺伝子組換え)、タキサン系抗悪性腫瘍剤及びトラスツズ マブエムタンシン(遺伝子組換え)の治療歴を有する患者に投与することとし、その旨を診療報酬明細書に記載すること。

オゼンピック:在宅自己投与可能

4 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(5)オゼンピック皮下注0.25mgSD、同皮下注0.5mgSD及び同皮下注1.0mgSD
1.本製剤はグルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニストであり、本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は、診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という。)区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。

2.本製剤は針付注入器一体型のキットであるため、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合、医科点数表区分番号「C151」注入器加算及び「C153」注入器用注射針加算は算定できないものであること。

3.本製剤の自己注射を行っている者に対して、血糖自己測定値に基づく指導を行うために血糖自己測定器を使用した場合には、インスリン製剤の自己注射を行っている者に準じて、医科点数表区分番号「C150」血糖自己測定器加算を算定できるものであること。

オニバイド:既存のイリノテカン製剤の代替として使用不可等

添付文書の警告欄をしっかり読んで使ってね!という感じですね。

4 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(8)オニバイド点滴静注43mg
本製剤の警告に、「従来のイリノテカン塩酸塩水和物製剤の代替として本剤を投与しないこと。」及び「本剤の投与にあたっては、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。」と記載されているので、使用に当たっては十分留意すること。

ステボロニン:レセプトに投与判断理由記載

ステボロニンを投与する(=標準治療ができない)と判断した理由を記載してね!とのこと。

4 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(10)ステボロニン点滴静注バッグ9000mg/300mL
本製剤の効能又は効果に関連する注意に、「化学放射線療法等の標準的な治療が可能な場合にはこれらの治療を優先すること。」と記載されているので、本剤の投与が必要と判断した理由を診療報酬明細書に記載すること。

ソリクア:14日投薬期間制限の対象外、在宅自己投与可能

ソリクアは配合剤なので、14日処方制限の対象外になりました。
あと在宅自己投与もできます。

2 療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(平成18年厚生労働省告示第107号。以下「掲示事項等告示」という。)の一部改正について
(2)新医薬品(医薬品医療機器等法第14条の4第1項第1号に規定する新医薬品をいう。)については、掲示事項等告示第10第2号(1)に規定する新医薬品に係る投薬期間制限(14日分を限度とする。)が適用されるが、掲示事項等告示の改正によって、新たにキャブピリン配合錠、ソリクア配合注ソロスター、アイラミド配合懸濁性点眼液が当該制限の例外とされた。

4 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(7)ソリクア配合注ソロスター
1.本製剤はインスリン及びグルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニストの配合製剤であり、本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。

2.本製剤は注入器一体型のキットであるため、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する患者に対して処方した場合には、医科点数表区分番号「C151」注入器加算は算定できないものであること。

3.本製剤の自己注射を行っている者に対して、血糖自己測定値に基づく指導を行うために血糖自己測定器を使用した場合には、インスリン製剤の自己注射を行っている者に準じて、医科点数表区分番号「C150」血糖自己測定器加算を算定できるものであること。

ビルテプソ:レセプトに検査実施日記載、対象患者に関する留意

正常なX染色体を有する患者には投与しない旨などが記載されています。
(正常なジストロフィン発現が低下するおそれがあるため)

4 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(4)ビルテプソ点滴静注250mg
1.本製剤の効能又は効果に関連する注意に、「遺伝子検査により、エクソン53スキッピングにより治療可能なジストロフィン遺伝子の欠失(エクソン43-52、45-52、47-52、48-52、49-52、50-52、52欠失等)が確認されている患者に投与すること。」と記載されているので、遺伝子欠失を確認した検査の実施年月日を診療報酬明細書に記載すること。
なお、当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし、本剤の初回投与に当たっては、必ず実施年月日を記載すること。

2.本製剤の効能又は効果に関連する注意に、「正常なX染色体を有する女性ジストロフィン異常症患者に本剤を投与した場合、正常なジストロフィン発現を低下させるおそれがあるため、このような患者には投与しないこと。」と記載されているので、使用に当たっては十分留意すること。

ボンベンディ:在宅自己投与可能

2 療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(平成18年厚生労働省告示第107号。以下「掲示事項等告示」という。)の一部改正について
(1)遺伝子組換えヒトvon Willebrand因子製剤について、掲示事項等告示第10第1号の「療担規則第20条第2号ト及び療担基準第20条第3号トの厚生労働大臣が定める保険医が投与することができる注射薬」として定めたものであること。

3 特掲診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第63号)の一部改正について
遺伝子組換えヒトvon Willebrand因子製剤について、特掲診療料の施設基準等別表第9「在宅自己注射指導管理料、注入器加算、間歇注入シリンジポンプ加算、持続血糖測定器加算及び注入器用注射針加算に規定する注射薬」として定めたものであること。

4 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(11)ボンベンディ静注用1300
1.本製剤は、遺伝子組換えヒトvon Willebrand因子製剤であり、本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。

2.本製剤は針及び注入器付きの製品であるため、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合、医科点数表区分番号「C151」注入器加算及び「C153」注入器用注射針加算は算定できないものであること。

ルムジェブ:在宅自己投与可能

4 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(6)ルムジェブ注カート、同注ミリオペン、同注ミリオペンHD及び同注100単位/mL
1.本製剤はインスリン製剤であり、本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。

2.ルムジェブ注ミリオペン及び同注ミリオペンHDは注入器一体型のキットであるため、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合、医科点数表区分番号「C151」注入器加算は算定できないものであること。

 

薬価の決めかた

カボメティクス:スーテントと薬価合わせ【加算あり】

カボメティクスは、同じマルチキナーゼ阻害薬のスーテントカプセルの1日薬価に合わせて算定されました。
(カボメティクスってマルチキナーゼ阻害薬で合ってますよね…?)
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

カボメティクス錠60mg:22,333.00円(1日薬価:22,333.00円)
スーテントカプセル12.5mg:7,613.70円(1日薬価:20,302.70円)

スニチニブ等の血管新生阻害剤の治療後増悪した患者を対象にした海外第3相試験にて、エベロリムスに対する優越性が検証されたことなどから、有用性加算(II)が10%ついています。

キャブピリン:新医療用配合剤の特例で算定

キャブピリンは、「タケキャブの薬価×0.8+バイアスピリンGEの薬価」で算定されました。
新医療用配合剤の特例です。

キャブピリン配合錠:130.30円(1日薬価:130.30円)
タケキャブ錠10mg: 130.30円(1日薬価:130.30円)
バイアスピリン錠100mg他:5.70円(1日薬価:5.70円)

算定薬価がタケキャブの薬価を下回ったので、タケキャブと同額です。

テプミトコ:ザーコリと薬価合わせ【加算あり】

テプミトコは、同じ非小細胞肺がんに対するキナーゼ阻害薬のザーコリカプセルの1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

テプミトコ錠250mg:14,399.00円(1日薬価:28,798.00円)
ザーコリカプセル250mg:12,520.90円(1日薬価:25,041.80円)

新規作用機序の薬剤なので、有用性加算(II)が5%ついています。

類似薬がザーコリなのは、ROS1陽性とかちょっと希少な適応を持っているからですかね…?
もともとALK陽性の治療薬として華々しくデビューしたザーコリちゃんですが、最近はアレセンサにガッツリ押されて、ROS1に活路を見いだしてるイメージ。

がんに関しては、ちょっとマルチキナーゼ阻害薬気味の方が役に立つ場面もあるのかなぁと思っています。
選択性が高いシンプルな薬剤も、もちろん役に立ちますが!

結論=武器は多いほどよい(日和見結論)

ベレキシブル:イムブルビカと薬価合わせ

ベレキシブルは、同じブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬のイムブルビカカプセルの1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

ベレキシブル錠80mg:5,067.40円(1日薬価:30,404.40円)
イムブルビカカプセル140mg:10,134.80円(1日薬価:30,404.40円)

1日薬価ぴったり一緒!
イムブルビカちゃんと何が違うんだろう。勉強しなきゃ。

メラトベル:ロゼレムと薬価合わせ【加算あり】

メラトベルは、同じメラトニン受容体刺激薬のロゼレム錠の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

メラトベル0.2%1g:207.80円(1日薬価:103.90円)
ロゼレム錠8mg:86.20円(1日薬価:86.20円)

米国神経学会の自閉スペクトラム症の睡眠障害対する治療ガイドラインにて使用が推奨されていることから有用性加算(II)が5%、6歳以上の小児に対する適応を有することから小児加算が10%ついてます。

小児加算は、症例数が約300例ある(!)点が評価された模様。300例も集めたのすごい。

ラツーダ:類似薬の最低1日薬価合わせ

ラツーダは、過去6年間に薬価収載された薬理作用類似薬の最低1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(II)。

ラツーダ錠40mg:328.90円(1日薬価:328.90円)
過去6年間に薬価収載された薬理作用類似薬の最低1日薬価:328.90円)

参考)
エビリファイ錠12mg:220.90円(1日薬価:441.80円)
アリピプラゾール12mg「日医工」他:40.70円(1日薬価:81.40円)
レキサルティ錠2mg:511.60円(1日薬価:511.60円)
シクレスト舌下錠5mg:256.70円(1日薬価:513.40円)
※アリピプラゾールは、1日量を24mgとして計算

類似薬が既に3つ以上存在しているため、類似薬効比較方式(II)で算定されていますが、何と比べたのかよくわかりませんでした。
安いような気もするけれど、もうエビリファイもロナセンも後発品が出てますからねぇ…。
それに比べるとちょっとお高めに見えちゃいます。

ロケルマ:リオナと薬価合わせ

ロケルマは、高リン血症治療薬のリオナ錠の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

ロケルマ懸濁用散分包10g1包:1,601.00円(1日薬価:1,186.30円)
リオナ錠250mg:80.10円(1日薬価:874.70円)

なんで最類似薬がリオナなんでしょうか…。

薬価が全然違うのは、外国平均価格調整で引き上げられているからです。
安定の米国薬価、10g1包2,339.10円(21.35ドル)。高い。
まぁ英国も日本より高いので、いたしかたなしかも。

アイラミド:新医療用配合剤の特例で算定

アイラミドは、「(アイファガンの薬価+ブリンゾラミドGEの薬価)×0.8」で算定されました。
新医療用配合剤の特例です。
新薬メーカーでGEも作ってるところ少ないから、両方とも自社品があるって珍しい気がする。

アイラミド配合懸濁性点眼液1mL:492.20円(1日薬価:49.20円)
アイファガン点眼液0.1%1mL:454.50円(1日薬価:45.50円)
ブリンゾラミド懸濁性点眼液1%「センジュ」:160.80円(1日薬価:16.10円)

2剤の1日薬価の合計が61.60円、それを0.8倍して切り捨てて49.20円ですね。
良かった計算できた。

アネレム:原価計算方式で算定

アネレムは、類似薬が無いため原価計算方式で算定されました。

一応、同一効能を持つ既収載品(プロポフォール、ミダゾラム)がありますが、G1品目だったり収載から10年以上経っていたりで、新薬算定には使えないのでした。

個人的にも、さすがにそこと比較するのはどうだろう?と思うので妥当かと。

麻酔はね。ホントきちんとした薬価つけて欲しいよね。
全身麻酔にも局所麻酔にも硬膜外麻酔にもお世話になった身としては、麻酔はホント安全で使いやすいのを使えるようにして欲しいです…。

エンハーツ:カドサイラと薬価合わせ【加算あり】

エンハーツは、同じHER2に対する抗体薬物複合体のカドサイラ点滴静注用の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

エンハーツ点滴静注用100mg:165,074円(1日薬価:21,224円)
カドサイラ点滴静注用100mg:235,820円(1日薬価:20,213円)

カドサイラ治療歴のある患者に対して奏効が認められたことから、治療方法の改善が示されているとして、有用性加算(II)が5%ついてます。
SASAYAKA!

オゼンピック:類似薬の最低1日薬価合わせ

オゼンピックは、過去10年間に薬価収載された薬理作用類似薬の平均1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(II)。

オゼンピック皮下注0.5mgSD 0.5mg0.5mL1キット:3,094円(1日薬価:442円)
過去10年間に薬価収載された薬理作用類似薬の平均1日薬価:442円)

参考)
ビクトーザ皮下注18mg:10,396.00円
ビデュリオン皮下注用2mgペン:3,647円
トルリシティ皮下注0.75mgアテオス:3,396円

類似薬が既に3つ以上存在しているため、類似薬効比較方式(II)で算定されています。
類似薬の1日薬価が出せなかったので厳密に比較は出来ませんが、まぁ妥当…?

というかもう収載されないと思ってたよ。
まさか日本向けの規格を作ってくれるなんて。ありがとうノボさん。

とはいえ、もうすぐ経口剤が来るので、注射がどんな立ち位置になるのかちょっと気になります。

オニバイド:原価計算方式で算定【加算あり】

オニバイドは、類似薬が無いため原価計算方式で算定されました。

日米欧のガイドラインで、膵がんの二次化学療法として推奨されていること、5-FU+レボホリナートに上乗せでOS延長が検証されていることから、有用性加算(II)が10%つきました。
あと外国平均価格調整でちょこっとだけ引き上げられています。

ステボロニン:原価計算方式で算定【加算あり】

ステボロニンは、類似薬が無いため原価計算方式で算定されました。

新規作用機序であり、治療が1回で完了することから、既存治療に比べて利便性が高いとして、有用性加算(I)が35%ついてます。
素晴らしいね!

あと先駆け審査指定制度対象品目なので、加算が10%ついてます。
こっちはささやか。
国内臨床試験が30例でしかできてないからね。致し方なし。

ソリクア:新医療用配合剤の特例で算定

ソリクアは、「(ランタスの1日薬価+リキスミアの1日薬価)×0.8」で算定されました。
新医療用配合剤の特例です。

ソリクア配合注ソロスター:6,497円(1日薬価:464円)
ランタス注ソロスター:1,825円(1日薬価:129円)
リキスミア皮下注300μg:6,481円(1日薬価:463円)

ランタスの1日薬価は、1日通常最大数量の20単位を、年間販売量で加重平均して算出したそうです。
で、ランタスとリキスミアの1日薬価を足して592円。
0.8倍して473.6円…あれ?

チョットヨクワカラナーイですけど、そんな感じで算定です(結論を後ろに放り投げる)。

ビルテプソ:原価計算方式で算定【加算あり】

ビルテプソは、類似薬が無いため原価計算方式で算定されました。

希少疾病用医薬品なので市場性加算が10%。
また、先駆け審査指定制度の指定を受けているので、さらに加算が10%ついてます。
(臨床試験の症例数が少ないこと、対照群が設定されてないことから、評価は限定的)

ベオビュ:アイリーアと薬価合わせ

ベオビュは、同じVEGF阻害薬のアイリーア硝子体内注射液の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

ベオビュ硝子体内注射用キット120mg/mL 6mg0.05mL1筒:142,784円(1日薬価:1,958円)
アイリーア硝子体内注射液40mg/mL 2mg0.05mL1瓶:137,292円(1日薬価:1,956円)

アイリーアの二番煎じかと思ったけど、ブロルシズ「マブ」とアフリベル「セプト」で全然違う成分でした。
ごめんベオビュ。どっちかというとルセンティスの二番煎じだったわ(酷い)。

適応はアイリーアの方が広いけど、投与間隔はベオビュの方が長いんですね。
個人的には、目に注射をするなんて所業は1回でも少なくしたいので、その一点だけでベオビュを推したい。

ボンベンディ:原価計算方式で算定【加算あり】

ボンベンディは、類似薬が無いため原価計算方式で算定されました。

コンファクトFやコンコエイト-HTが同効薬ですが、薬価収載から10年以上経ってるので、薬価算定上の類似薬にはなりませんでした。
第VIII因子製剤といえばノボエイトあるやろ、と思ったけど適応が全然違った。

遺伝子組み換えVWF製剤のため感染症リスクが低いこと、VWF単独製剤のため量の調節がしやすく、治療効果の改善が示されていることから、有用性加算(II)が5%ついてます。
あとオーファンなので市場性加算が10%。

※von Willebrand factor:フォン・ヴィレブランド因子4)

ルムジェブ:ヒューマログと同薬価

ルムジェブは、別の銘柄として算定しない、とされたため、ヒューマログと同じ薬価です。
フィアスプと一緒の考え方ですね。

 

参考文献
1)中央社会保険医療協議会 総会(第458回) 医薬品の薬価収載等について, 厚生労働省, https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00073.html.
3)使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について, 保医発0519第3号, 2020年5月19日.
4)フォン・ヴィレブランド病, 日本血液製剤協会, http://www.ketsukyo.or.jp/disease/solidification/sol_03.html.