11月18日、新医薬品が薬価収載されました

11月11日に開催された中医協で、新医薬品の薬価収載が了承されました。
11月17日に告示され、11月18日に薬価収載されました。

2020年11月18日収載の新医薬品

販売名(一般名) 規格単位 薬価
エナロイ錠2mg・4mg
(エナロデュスタット)
2mg1錠
4mg1錠
275.90円
486.10円
ジセレカ錠100mg・200mg
(フィルゴチニブマレイン酸塩)
100mg1錠
200mg1錠
2,550.90円
4,972.80円
ゼジューラカプセル100㎎
(ニラパリブトシル酸塩水和物)
100mg1カプセル 10,370.20円
リベルサス錠3mg・7mg・14mg
(セマグルチド(遺伝子組換え))
3mg1錠
7mg1錠
14mg1錠
143.20円
334.20円
501.30円
エクロックゲル5%
(ソフピロニウム臭化物)
5%1g 243.70円
ブコラム口腔用液2.5mg・5mg・7.5mg・10mg
(ミダゾラム)
2.5mg0.5mL1筒
5mg1mL1筒
7.5mg1.5mL1筒
10mg2mL1筒
1,125.80円
1,977.80円
2,750.00円
3,474.60円
アキャルックス点滴静注250㎎
(セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組換え))
250mg50mL1瓶 1,026,825円
ゼオマイン筋注用50単位・100単位・200単位
(インコボツリヌストキシンA)
50単位1瓶
100単位1瓶
200単位1瓶
18,707円
34,646円
68,922円
ゼプリオンTRI水懸筋注175mg・263mg・350mg・525mgシリンジ
(パリペリドンパルミチン酸エステル)
175mg1キット
263mg1キット
350mg1キット
525mg1キット
64,540円
84,829円
102,748円
134,858円

 

留意事項通知が発出

薬価収載の告示と同日付で、何品目か留意事項通知が出ています。

ジセレカ:既存薬の効果不十分時に使用

オルミエントやスマイラフ、リンヴォックと一緒の内容です。
第一選択じゃ無いよ~という記載。

3 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(2)ジセレカ錠100mg及び同錠200mg
本製剤の効能又は効果に関連する注意において「過去の治療において、メトトレキサートをはじめとする少なくとも1剤の抗リウマチ薬等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与すること。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。

ゼジューラ:レセプトに検査実施日記載

3 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(3)ゼジューラカプセル100mg
本製剤を「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の相同組換え修復欠損を有する再発卵巣癌」に用いる場合は、効能又は効果に関連する使用上の注意において、「3つ以上の化学療法歴のある患者を対象とすること。」及び「承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いた検査により、相同組換え修復欠損を有することが確認された患者に投与すること。」とされているので、過去に実施した化学療法歴及び相同組換え修復欠損を有することを確認した検査の実施年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記入すること。
なお、検査実施年月日は、当該検査を実施した月のみ記載すること。ただし、本剤の初回投与に当たっては、必ず実施年月日を記載すること。

リベルサス:他経口薬を投与していない場合、レセプトに本剤の投与が必要と判断した理由を記載

3 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(1)リベルサス錠3mg、同錠7mg及び同錠14mg
1.本製剤の効能又は効果に関連する注意において、「本剤の適用は、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮すること。」とされており、また、用法及び用量に関連する注意において、「本剤14mgを投与する際には、本剤の7mg錠を2錠投与することは避けること。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。

2.本製剤の重要な基本的注意において「本剤とDPP-4阻害剤はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。」とされているので、DPP-4阻害剤との併用は避けること。

3.関係学会のガイドライン等におけるGLP-1受容体作動薬の位置付けに留意することとし、他の経口血糖降下薬を投与していない患者に本剤を投与する場合は、本剤の投与が必要と判断した理由を診療報酬明細書に記載すること。

エクロック:レセプトに多汗症疾患重症度評価尺度(HDSS)記載

3 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(6)エクロックゲル5%
本製剤の効能又は効果は「原発性腋窩多汗症」であることから、原発性腋窩多汗症の確定診断が行われた場合にのみ投与すること。
また、本製剤の投与開始に当たっては、多汗症疾患重症度評価尺度(HDSS)を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

アキャルックス:レセプトに本剤の投与が必要と判断した理由を記載

3 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(5)アキャルックス点滴静注250mg
本製剤の効能又は効果に関連する注意に、「化学放射線療法等の標準的な治療が可能な場合にはこれらの治療を優先すること。」と記載されているので、本剤の投与が必要と判断した理由を診療報酬明細書に記載すること。

ゼオマイン:上肢痙縮に使用した場合に限り算定可

3 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(4)ゼオマイン筋注用50単位、同筋注用100単位及び同筋注用200単位
本製剤は、ボツリヌス菌によって産生されるA型ボツリヌス毒素製剤であり、警告において、「A型ボツリヌス毒素を緊張筋以外の部位に投与すると、一時的に周辺筋肉群の筋力低下等が発現することがあるため、本剤の投与は、講習を受けた医師で、本剤の安全性及び有効性を十分理解し、高度な解剖学的知識、筋電図、超音波検査、又はスティミュレーター等の測定技術及び本剤の施注手技に関する十分な知識・経験のある医師が行うこと。
また、本剤の使用上の注意を熟読した上で、用法及び用量を厳守し、上肢痙縮以外には使用しないこと。」とされているので、使用に当たっては十分留意し、上肢痙縮に使用した場合に限り算定するものであること。

薬価の決めかた

エナロイ:バフセオと薬価合わせ

エナロイは、同じHIF-PH阻害薬のバフセオの1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(II)。

エナロイ錠4mg:486.10円(1日薬価:457.00円)
バフセオ錠300mg:376.20円(1日薬価:457.00円)

ジセレカ:類似薬の平均1日薬価と薬価合わせ

ジセレカは5剤目のJAK阻害薬なので、過去10年間に収載された薬理作用類似薬の平均1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(II)。

ジセレカ錠200mg:4,972.80円(1日薬価:4,972.80円)
薬理作用類似薬の平均1日薬価:4,972.80円

ゼジューラ:リムパーザと薬価合わせ

ゼジューラは、同じPARP阻害薬のリムパーザの1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

ゼジューラカプセル100mg:10,370.20円(1日薬価:20,740.40円)
リムパーザ錠150mg:5,185.10円(1日薬価:20,740.40円)

リベルサス:オゼンピックと薬価合わせ【加算あり】

リベルサスは、同一有効成分のGLP-1受容体作動薬のオゼンピックの1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

リベルサス錠7mg:334,20円(1日薬価:334.20円)
オゼンピック皮下注0.5mgSD:3,094円(1日薬価:442円)

外国平均価格調整と規格間調整で、ちょっと(結構?)薬価が下がってます。

なお、企業から剤形間比を1にして、有用性加算(II)を5%欲しいという不服意見が出されました。
剤形間比は却下されましたが、有用性加算は受理されました。
久々の受理な気がする!

というわけで投与時の侵襲性が著しく軽減されるため、有用性加算が5%つきました。良かったね。

エクロック:原価計算方式で算定

エクロックは、類似薬が無いため原価計算方式で算定されました。

ボトックスやプロ・バンサインが類似薬になるそうですが、どちらも収載から10年以上経っているので薬価算定上の最類似薬になりませんでした。

ブコラム:ミダフレッサと薬価合わせ【加算あり】

ブコラムは、同一有効成分のミダフレッサの1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

ブコラム口腔用液5mg:1,977.80円(1日薬価:1,977.80円)
ミダフレッサ静注0.1%:3,392.00円(1日薬価:1,273.90円)

ガイドラインに標準治療として記載があることから有用性加算(II)がが10%、希少疾病用医薬品であることから市場性加算(I)が10%つけられています。
それに外国平均価格調整で引き上げられています。

結構薬価上がったけど、それでも外国の方が高いんですよねぇ。
まぁ毎日使うようなクスリでは無いので、多少高くても仕方ないかな、と思います。

アキャルックス:原価計算方式で算定【加算あり】

アキャルックスは、類似薬が無いため原価計算方式で算定されました。

新規作用機序の医薬品であることから、有用性加算(II)が5%。
先駆け審査指定制度の指定品目であることから、市場性加算(I)が10%ついてます。

加算係数は1.0!素晴らしい。

ゼオマイン:原価計算方式で算定【加算あり】

ゼオマインは、類似薬が無いため原価計算方式で算定されました。

市場規模が小さいことから、市場性加算(II)が5%ついてます。
はじめて見た気がする。

28 市場性加算(II)
市場性加算(II)とは、次の要件を全て満たす新規収載品(市場性加算(I)又は小児加算の対象となるものを除く。)に対する別表2に定める算式により算定される額の加算をいう。
イ 当該新規収載品の主たる効能及び効果が、日本標準商品分類に定められている薬効分類のうち、市場規模が小さいものとして別に定める薬効に該当すること。
ロ 当該新規収載品の比較薬が市場性加算(I)又は市場性加算(II)の適用を受けていないこと。

ゼプリオンTRI:規格間調整で算定【加算あり】

ゼプリオンTRIは、ゼプリオン水懸筋注との規格間調整で算定されました。

ゼプリオンTRI水懸筋注525mg1キット:134,858円(1日薬価:1,605円)
ゼプリオン水懸筋注150mgシリンジ:61,493円(1日薬価:2,196円)

ゼプリオンよりも投与回数が減るため、医療上有用であるとして、規格間調整のみによる新薬の薬価算定の特例で5%加算がついています。
これが適用された品目、はじめて見た。

3 規格間調整のみによる新薬の薬価算定
イ 算定の特例
第1部第1節2(2)2の規定の適用を受けたもののうち、当該新薬が次の(イ)の要件を満たす場合には、当該規定により算出される額に、別表2に定める市場性加算(II)の算式を準用して算定される額を加えた額を、当該新薬が次の(ロ)の要件を満たす場合には、当該規定により算出される額に、別表2に定める小児加算の算式を準用して算定される額を加えた額を当該新薬の薬価とする。

(イ)類似薬に比して、投与回数の減少等高い医療上の有用性を有することが、客観的に示されていること。
(ロ)第1章29の小児加算の要件。

参考文献
1)中央社会保険医療協議会 総会(第468回) 医薬品の新規薬価収載について, 厚生労働省, https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00083.html.
2)薬価算定の基準について, 保医発0207第1号, 2020年2月7日.
3)使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について, 保医発1117第3号, 2020年11月17日.

2020.11.12 公開
2020.11.26 留意事項通知の内容を追記