ゾフルーザ、フォシーガの効能等が追加されました(2020年11月)

10月の第一・第二部会で審議・報告された品目が適応追加されたようなので、まとめました。

効能等追加品目の一覧

今回承認された効能等追加品目の一覧です。
会社名をクリックすると、各社のニュースリリースに飛びます。
(直PDFのリンクもありますので、ご注意ください。)

効能等追加品目

販売名(一般名) 製造販売会社等 効能等追加事項
エベレンゾ錠20mg・50mg・100mg
(ロキサデュスタット)
アステラス 追加適応:腎性貧血
*透析導入前(保存期)のCKDに伴う貧血の適応追加
カボメティクス錠20mg・60mg
(カボザンチニブリンゴ酸塩)
武田 追加適応:がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞癌
ゾフルーザ錠20mg、顆粒2%分包
(バロキサビル マルボキシル)
塩野義 追加適応:A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の予防
ゼローダ錠300
(カペシタビン)
中外 追加用法:乳癌と結腸直腸癌に関する、新しい用法の追加
ビラフトビカプセル50mg・75mg
(エンコラフェニブ)
小野 追加適応BRAF 遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
メクトビ錠15mg
(ビニメチニブ)
小野 追加適応BRAF 遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
フォシーガ錠5mg・10mg
(ダパグリフロジンプロピレングリコール)
アストラゼネカ
販売:小野
追加適応:慢性心不全
ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。
テリルジー100エリプタ14吸入用・30吸入用
(フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩)
GSK 追加適応:気管支喘息(吸入ステロイド剤、長時間作用性吸入抗コリン剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
オプジーボ点滴静注20mg・100mg・240mg
(ニボルマブ(遺伝子組換え))
小野
コ・プロ:BMS
追加用法:オプジーボと「ヤーボイand/orプラチナ製剤を含む化学療法」との併用療法(非小細胞肺がん)
ヤーボイ点滴静注液50mg
(イピリムマブ(遺伝子組換え))
BMS
コ・プロ:小野
追加用法:オプジーボと「ヤーボイand/orプラチナ製剤を含む化学療法」との併用療法(非小細胞肺がん)
サイラムザ点滴静注液100mg・500mg
(ラムシルマブ(遺伝子組換え))
リリー 追加用法:投与時間短縮(全適応)
ゲフィチニブとの併用療法(非小細胞肺がん)
ダラザレックス点滴静注100mg・400mg
(ダラツムマブ(遺伝子組換え))
ヤンセン 追加用法:ダラザレックスとカルフィルゾミブ、デキサメタゾンとの併用療法、初回分割投与を追加
ヒュミラ皮下注20mgシリンジ0.2mL・40mgシリンジ0.4mL・80mgシリンジ0.8mL・40mgペン0.4mL・80mgペン0.8mL
(アダリムマブ(遺伝子組換え))
アッヴィ
販売:エーザイ
コ・プロ:EAファーマ
追加適応:壊疽性膿皮症
ルミセフ皮下注210mgシリンジ
(ブロダルマブ(遺伝子組換え))
協和キリン 追加適応:X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎

 

留意事項通知・適正使用に関する通知が出ています

ゾフルーザ:治療目的で使用したときのみ算定可能

インフルエンザ治療薬共通の留意事項ですね。
予防は保険適用外です。

1 効能・効果等の一部変更承認に伴う留意事項について
(2)ゾフルーザ錠20mg
1 本製剤については、抗ウイルス薬の投与が全てのA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療に必須でないことを踏まえ、本製剤の使用の必要性を慎重に検討した上で、A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の発症後の治療を目的として使用した場合に限り算定できる。
2 本製剤の使用上の注意に、治療にあたっては「症状発現から48時間経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない。」旨が記載されているので、使用に当たっては十分留意する。

ビラフトビ:メクトビと併用する場合、併用理由をレセプトに記載

ビラフトビを直腸・結腸がんに使う場合、セツキシマブとの2剤併用か、セツキシマブ+メクトビの3剤併用かを選択することができます。

どうやって選ぶかについては、大腸癌研究会がコメントしています。早い!ステキ!

以上より、実地診療では、3剤併用療法および2剤併用療法で有効性が期待できる集団と副作用プロファイルが異なる点、ならびに治療コスト等を総合的に考慮してレジメンを選択し、週1回のセツキシマブ投与のための来院の際に注意深く患者を観察するとともに、適正使用ガイド等を参考に適切に減量・休薬しながら治療を進めることが推奨される。

参考 大腸癌治療ガイドライン医師用2019年版の「切除不能進行再発大腸癌に対する薬物療法」に追記すべきエビデンス~BRAF遺伝子変異を有する大腸癌に対するエンコラフェニブ+ビニメチニブ+セツキシマブ療法、エンコラフェニブ+セツキシマブ療法(2020年11月)大腸癌研究会

 

2 「使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について」(平成31年2月25日付け保医発0225第9号)の記の2の(3)を次のように改める。
(3)ビラフトビカプセル50mg、同カプセル75mg
1 本製剤の効能・効果に関連する注意において、「十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、BRAF遺伝子変異が確認された患者に投与すること。」とされているので、BRAF遺伝子変異を確認した検査の実施年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記入すること。
なお、当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし、本剤の初回投与に当たっては、必ず実施年月日を記載すること。
2 がん化学療法後に増悪した BRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
本製剤の用法・用量に関連する注意において、「併用する他の抗悪性腫瘍剤の選択に際しては、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、関連学会の最新のガイドライン等を参考にした上で、患者の状態に応じて、ビニメチニブの併用の必要性を判断すること。」とされているので、本剤とビニメチニブを併用する場合には、関連学会の最新のガイドライン等を踏まえ、併用する理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
その場合は、併用が必要とした判断に用いた情報(ECOG PS、転移臓器数、CRP値等)を具体的に記載すること。

フォシーガ:レセプトに左室駆出率の計測年月日及び左室駆出率の値を記載

1 効能・効果等の一部変更承認に伴う留意事項について
(1)フォシーガ錠5mg、同錠10mg
本製剤を「慢性心不全」に用いる場合は、効能又は効果において、「ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。
また、効能又は効果に関連する注意において、「左室駆出率が保持された慢性心不全における本薬の有効性及び安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること。」とされているので、投与開始に当たっては、左室駆出率の計測年月日及び左室駆出率の値を診療報酬明細書に記載すること。
なお、他の医療機関で左室駆出率を測定した場合には、当該測定結果及び医療機関名を記載することで差し支えない。

オプジーボ:最適使用推進ガイドライン追加

非小細胞肺がんの用法追加に伴い、非小細胞肺がんの最適使用推進ガイドラインが改訂されてます。
ついでに?他のガイドラインも改訂されてます。

参考 最適使用推進ガイドライン(医薬品)PMDA

ヤーボイ:非小細胞肺がんに使う場合の投与回数制限が解除

ヤーボイは最大4回までしか使えない薬剤だったのですが、今回の用法追加で、非小細胞肺がんについては回数制限が無くなっています。

【添付文書記載事項】
用法及び用量

〈根治切除不能な悪性黒色腫〉
通常、成人にはイピリムマブ(遺伝子組換え)として1回3mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注する。
なお、他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合は、ニボルマブ(遺伝子組換え)と併用すること。

〈根治切除不能又は転移性の腎細胞癌,がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌〉
ニボルマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはイピリムマブ(遺伝子組換え)として1回1mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注する。

〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはイピリムマブ(遺伝子組換え)として1回1mg/kg(体重)を6週間間隔で点滴静注する。

 

3 「使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について」(平成27年8月31日付け保医発0831第1号)の記の4の(5)を次のように改める。
(5)ヤーボイ点滴静注液50mg
本製剤を「根治切除不能な悪性黒色腫」、「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」又は「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」に用いる場合は、本製剤の用法及び用量において「3週間間隔で4回点滴静注する」とされていることから、4回を超えて投与しないこと。

 

参考文献
1)各社プレスリリース
2)各製品添付文書
3)医薬品医療機器等法上の効能・効果等の変更に伴う留意事項の一部改正等について, 令和2年11月27日, 保医発1127第3号.
4)抗PD-1抗体抗悪性腫瘍剤に係る最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事項の一部改正について, 令和2年11月27日, 保医発1127第4号.