ジセレカ、タリージェの効能等が追加されました(2022年3月)

2月の第一・第二部会で審議・報告された品目が適応追加されたようなので、まとめました。
なお、不妊治療薬は4月1日付で保険適用なので除外しています。

効能等追加品目の一覧

今回承認された効能等追加品目の一覧です。
会社名をクリックすると、各社のニュースリリースに飛びます。
(直PDFのリンクもありますので、ご注意ください。)

効能等追加品目

販売名(一般名) 製造販売会社等 効能等追加事項
ジセレカ錠100mg・200mg
(フィルゴチニブマレイン酸塩)
ギリアド=エーザイ
※コ・プロ:EAファーマ
追加適応:中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
タリージェ錠2.5mg・5mg・10mg・15mg
(ミロガバリンベシル酸塩)
第一三共 追加適応:神経障害性疼痛
※中枢性神経障害性疼痛の適応拡大
オプジーボ点滴静注20mg・100mg・120mg・240mg
(ニボルマブ(遺伝子組換え))
小野 追加適応:尿路上皮癌における術後補助療法
スピンラザ髄注12mg
(ヌシネルセンナトリウム)
バイオジェン 追加適応:臨床所見は発現していないが遺伝子検査により発症が予測される脊髄性筋萎縮症
パージェタ点滴静注420mg/14mL
(ペルツズマブ(遺伝子組換え))
中外 追加適応:がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
ハーセプチン注射用60・150
(トラスツズマブ(遺伝子組換え))
中外 追加適応:がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
フィブリノゲンHT静注用1g「JB」
日本血液製剤機構 追加適応:産科危機的出血に伴う後天性低フィブリノゲン血症に対するフィブリノゲンの補充
※事前評価済公知申請品目
ユニタルク胸膜腔内注入用懸濁剤4g
(タルク)
ノーベル 追加適応:外科手術による治療が困難な続発性難治性気胸

留意事項通知・適正使用に関する通知が出ています

ジセレカ:投与対象患者に留意して使用

2 効能・効果等の一部変更承認に伴う留意事項の一部改正について
(1)「使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について」(令和2年11月17日付け保医発1117第3号)の記の3の(2)を次のように改める。
(2)ジセレカ錠100mg及び同錠200mg
1 関節リウマチ
本製剤の効能又は効果に関連する注意において「過去の治療において、メトトレキサートをはじめとする少なくとも1剤の抗リウマチ薬等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与すること。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。
2 潰瘍性大腸炎
本製剤の効能又は効果に関連する注意において「過去の治療において、少なくとも1剤の既存治療薬(ステロイド、免疫抑制剤等)による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与すること。」及び「本剤は生物製剤で効果不十分又は不耐容な潰瘍性大腸炎患者を対象とした寛解導入試験において、主要評価項目である投与10週時に寛解を達成した被験者の割合で、プラセボ群との有意差が認められていないことから、「17.臨床成績」の項の内容を十分理解した上で、適応患者を選択すること。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。

スピンラザ:SMN2遺伝子4コピー以上の患者は、所見発現後に投与を判断すること

2 効能・効果等の一部変更承認に伴う留意事項の一部改正について
(2)「使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について」(平成29年8月29日付け保医発0829第8号)の記の3の(3)に3を加える。
(3)スピンラザ髄注12mg
3 本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において「SMN2遺伝子のコピー数が4以上の患者については、遺伝子検査によりSMN1遺伝子の欠失又は変異を有していたとしても、臨床所見が発現する前からは投与せず、臨床所見の発現後に、本剤投与のリスクとベネフィットを考慮した上で投与の必要性を判断すること。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。

オプジーボ:最適使用推進ガイドライン追加

併用療法の追加に伴い、最適使用推進ガイドラインが変更されています。4)

参考 オプジーボ 最適使用推進ガイドライン(尿路上皮癌)PMDA

パージェタ:検査実施日をレセプトに記載

2 効能・効果等の一部変更承認に伴う留意事項の一部改正について
(3)「パージェタ点滴静注420mg/14mLの医薬品医療機器等法上の効能・効果等の変更に伴う留意事項について」(平成30年10月10日付け保医発1010第5号)を次のように改める。
パージェタ点滴静注420mg/14mLの効能・効果等の一部変更承認に伴う留意事項について
(1)乳癌
本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において、「HER2陽性の早期乳癌の術後患者のうち、再発リスクの低い患者(リンパ節転移のない患者)における本剤の有効性及び安全性は確立していないことから、再発リスクが高い患者を対象とすること。」と記載されているため、使用に当たっては十分留意すること。
(2)結腸・直腸癌
本製剤の効能又は効果に関連する注意において、「十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、HER2陽性が確認された患者に投与すること。」とされているので、HER2陽性を確認した検査の実施年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
なお、当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし、本製剤の初回投与に当たっては、必ず実施年月日を記載すること。

ハーセプチン:検査実施日をレセプトに記載

(4)「使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正に伴う留意事項について」(平成16年6月25日付け保医発第0625001号)の記の2の(1)の2を次のように改め、3を加える。

(1)ハーセプチン注射用60及び同注射用150
2 乳癌、胃癌
診療報酬明細書の摘要欄にHER2過剰発現を確認した検査の実施年月日について記載すること。
なお、当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし、本製剤の初回投与に当たっては、必ず実施年月日を記載すること。

3 唾液腺癌、結腸・直腸癌
本製剤の効能又は効果に関連する注意において、「十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、HER2陽性が確認された患者に投与すること。」とされているので、HER2陽性を確認した検査の実施年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
なお、当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし、本製剤の初回投与に当たっては、必ず実施年月日を記載すること。

フィブリノゲンHT:投与対象患者・追加投与の判断等に留意して使用

1 効能・効果等の一部変更承認に伴う留意事項について
フィブリノゲンHT静注用1g「JB」
(1)本製剤を「後天性低フィブリノゲン血症」に用いる場合は、効能・効果に関連する使用上の注意において、「後天性低フィブリノゲン血症とは血中フィブリノゲン値が150mg/dLを下回る状態であることに注意し、本剤投与の適否を判断すること。」、「本剤投与直前の血中フィブリノゲン値を必ず測定し、基本的に血中フィブリノゲン値の測定結果を確認した上で投与を開始すること。」及び「本剤投与の適否や投与開始時期の判断にあたっては、関連学会のガイドライン等、最新の情報を参考とすること。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。

(2)本製剤を「後天性低フィブリノゲン血症」に用いる場合は、用法・用量に関連する使用上の注意において、「出血に伴う後天性低フィブリノゲン血症が改善されない場合における本剤の追加投与の適否は、フィブリノゲン以外の因子の出血への関与の可能性も考慮して慎重に判断し、本剤を漫然と投与しないこと。なお、本剤の追加投与の適否の判断にあたっては、関連学会のガイドライン等、最新の情報を参考とすること。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。

(3)後天性低フィブリノゲン血症における本製剤の使用に当たっての留意事項については、別添のとおり、「新たに薬事・食品衛生審議会において公知申請に関する事前評価を受けた後天性低フィブリノゲン血症における乾燥人フィブリノゲンの使用に当たっての留意事項について」(令和3年9月6日付け薬生薬審発0906第6号・薬生安発0906第20号・薬生血発0906第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長、医薬安全対策課長及び血液対策課長連名通知)により通知されたところであるので、使用に当たっては十分留意すること。

参考文献
1)各社プレスリリース
2)各製品添付文書
3)医薬品医療機器等法上の効能・効果等の変更に伴う留意事項の一部改正について, 令和4年3月28日, 保医発0328第1号.
4)抗PD-1抗体抗悪性腫瘍剤に係る最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事項の一部改正について, 令和4年3月28日, 保医発0328第2号.