8月18日、新医薬品が薬価収載されました

8月10日に開催された中医協で、新医薬品の薬価収載が了承されました。
8月17日に告示され、8月18日に薬価収載されました。

2022年8月18日収載の新医薬品

販売名(一般名) 規格単位 薬価
イグザレルト錠2.5mg
(リバーロキサバン)
2.5mg1錠 117.80円
エパデールEMカプセル2g
(イコサペント酸エチル)
2g1包 113.00円
ジェセリ錠40mg
(ピミテスピブ)
40mg1錠 6,265.00円
ラゲブリオカプセル200mg
(モルヌピラビル)
200mg1カプセル 2,357.80円
エジャイモ点滴静注1.1g
(スチムリマブ(遺伝子組換え))
1.1g22mL1瓶 244,074円
ダルビアス点滴静注用135mg
(ダリナパルシン)
135mg1瓶 31,692円
ボックスゾゴ皮下注用0.4mg・0.56mg・1.2mg
(ボソリチド(遺伝子組換え))
0.4mg1瓶(溶解液付)
0.56mg1瓶(溶解液付)
1.2mg1瓶(溶解液付)
121,034円
124,241円
124,994円

 

留意事項通知が発出

薬価収載の告示と同日付で、留意事項通知が出ています。

ジェセリ:投与対象患者に留意して使用

4 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(2) ジェセリ錠40mg
本製剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師の下で投与することが適切と判断される症例に使用した場合に限り算定すること。

ラゲブリオ:供給開始の時期と取扱いは別途通知

4 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(1) ラゲブリオカプセル200mg
これまで本製剤は、製造販売業者から厚生労働省が提供を受け、各医療機関・薬局に配分していたところであり、厚生労働省より配分された本製剤の費用は請求できないものであること。なお、本製剤の製造販売業者から医療機関等への供給開始の時期及びその取扱い等については、今後、別途通知する予定である。

別途出た通知は以下です。

参考 新型コロナウイルス感染症における経口抗ウイルス薬(ラゲブリオカプセル)の薬価収載に伴う医療機関及び薬局への配分等について(周知)厚生労働省 2022年8月10日事務連絡 参考 新型コロナウイルス感染症における経口抗ウイルス薬(ラゲブリオカプセル)の薬価収載に伴う医療機関及び薬局への配分等について(その2)(周知)厚生労働省 2022年9月8日事務連絡 参考 新型コロナウイルス感染症における経口抗ウイルス薬(ラゲブリオカプセル)の薬価収載に伴う医療機関及び薬局への配分等について(その3)(周知)厚生労働省 2022年9月15日事務連絡

一般流通開始に伴い、留意事項通知が追加で発出されています。

4 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(1) ラゲブリオカプセル200mg
1. これまで本製剤は、製造販売業者から厚生労働省が提供を受け、各医療機関・薬局に配分していたところであり、厚生労働省より配分された本製剤の費用は請求できないものであること。

2. 本製剤の効能又は効果に関連する注意において、「臨床試験における主な投与経験を踏まえ、SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有する等、本剤の投与が必要と考えられる患者に投与すること。また、本剤の投与対象については最新のガイドラインも参考にすること。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。

参考 ラゲブリオカプセル 200mg の保険適用に係る留意事項の一部改正について厚生労働省 保医発0916第1号 2022年9月16日

エジャイモ:投与対象患者に留意して使用

4 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(4) エジャイモ点滴静注1.1g
本製剤の効能又は効果に関連する注意において、「本剤の投与を開始する際には、溶血のため赤血球輸血が必要と考えられる患者を対象とすること。」とされているので、使用にあたっては十分留意すること。

ボックスゾゴ:在宅自己注射可能&骨端線閉鎖後は投与中止

2 掲示事項等告示の一部改正について
(3) ボソリチド製剤について、掲示事項等告示第10第1号の「療担規則第20条第2号ト及び療担基準第20条第3号トの厚生労働大臣が定める保険医が投与することができる注射薬」として定めたものであること。

3 特掲診療料告示の一部改正について
ボソリチド製剤について、特掲診療料の施設基準等別表第9「在宅自己注射指導管理料、注入器加算、間歇注入シリンジポンプ加算、持続血糖測定器加算及び注入器用注射針加算に規定する注射薬」として定めたものであること。

4 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(3) ボックスゾゴ皮下注用0.4mg、同皮下注用0.56mg及び同皮下注用1.2mg
1. 本製剤は、ボソリチド製剤であり、本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は、「診療報酬の算定方法」(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という。)区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
2. 本製剤は針及び注入器付の製品であるため、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合、医科点数表区分番号「C151」注入器加算及び「C153」注入器用注射針加算は算定できないものであること。
3. 本製剤の効能又は効果に関連する使用上の注意において、「骨端線の閉鎖により成長の可能性がないことが確認された場合、本剤の投与を中止すること。」とされているので、使用にあたっては十分留意すること。

 

薬価の決めかた

イグザレルト錠2.5mg:原価計算方式で算定

イグザレルト錠2,5mgは、イグザレルト15mgとの規格間調整で算定されました。

イグザレルト錠2,5mg:117.80円(1日薬価:235.60円)
イグザレルト錠15mg:504.00円 (1日薬価:504.00円)

>エパデールEMカプセル:エパデールと規格間調整

エパデールEMカプセルは、同じエパデールのカプセル製剤であるエパデールS900の規格間調整で算定されました。

エパデールEMカプセル2g:113.00円(1日薬価:113.00円)
エパデールS900:62.70円 (1日薬価:125.40円)

1日1回投与製剤のため(S900は 1日2~3回投与)、有用性加算5%が妥当と不服意見を述べたようですが、既存薬と比べて高い有用性があるとまでは言えないと、却下されております。
まぁそうだろうね。1日6回投与が1回になるとか、絶対飲み忘れちゃいけない薬なら検討の余地はありそうだけど、エパデールだもんなぁ。

ジェセリ錠:スチバーガと薬価合わせ【加算あり】

ジェセリは、同じ 消化管間質腫瘍治療薬であるスチバーガ錠の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

ジェセリ錠40mg:6,265.00円(1日薬価:17,900.00円)
スチバーガ錠40mg:5,682.60円(1日薬価:17,047.80円)

新規作用機序の薬剤であり、PFS延長などの臨床的有用性が示されていることから、有用性加算(II)が5%つきました。

ラゲブリオカプセル:ベクルリーと薬価合わせ【加算あり】

ラゲブリオは、同じ新型コロナウイルス治療薬であるベクルリー点滴静注用の平均1クール薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

ラゲブリオカプセル200mg:2,357.80円(1日薬価:18,862.40円)
ベクルリー点滴静注用100mg:63,342円(1日薬価:63,342円)

経口薬のため、ベクルリーと比較して利便性が向上しているとして、有用性加算(II)が10%つきました。

1クール薬価を合わせたので、1日薬価は全然違いますね。

エジャイモ点滴静注:原価計算方式で算定【加算あり】

エジャイモは、同様の効能効果・薬理作用を有する類薬がないため、原価計算方式で算定されました。

寒冷凝集素症に対する有効性が期待できることから、有用性加算(II)が5%。
希少疾病用医薬品なので市場性加算(I)が10%ついてます。
加算係数0だけど…。

ダルビアス点滴静注用:イストダックスと薬価合わせ

ダルビアスは、同じ 末梢性T細胞リンパ腫治療薬であるイストダックス点滴静注用の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

ダルビアス点滴静注用135mg:31,692円(1日薬価:25,152円)
イストダックス点滴静注用10mg:111,785円(1日薬価:25,152円)

ボックスゾゴ皮下注用:原価計算方式で算定【加算あり】

ボックスゾゴは、同様の効能効果・薬理作用を有する類薬がないため、原価計算方式で算定されました。
一応、同様の適応があるソマトロピン製剤が類薬として検討されたようですが、薬理作用が異なるために最類似薬にはならないと判断されたそうです。

確かに、適応が同じってだけで全然違うものね。

新規作用機序の薬剤であることから、有用性加算(II)が5%。
希少疾病用医薬品なので市場性加算(I)が10%ついてます。
こちらも加算係数0…。

ボックスゾゴは、軟骨無形成症に関しては原因治療薬といっても過言ではないので、加算はあって妥当だったよなぁと。
開示率が低い=言い値になっちゃうって意見はわかるけど、外国平均価格調整が収載後にも適用になったことだし、もう開示率による加算係数調整はなくても良いんじゃないかなぁとも思います。

参考文献
1)中央社会保険医療協議会 総会(第527回) 医薬品の新規薬価収載について, 厚生労働省, https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00159.html.
2)使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について, 保医発0817第4号, 令和4年8月17日.