タグリッソ、リムパーザの効能等が追加されました(2022年8月)

7月の第一・第二部会で審議・報告された品目が適応追加されたようなので、まとめました。

効能等追加品目の一覧

今回承認された効能等追加品目の一覧です。
会社名をクリックすると、各社のニュースリリースに飛びます。
(直PDFのリンクもありますので、ご注意ください。)

効能等追加品目

販売名(一般名) 製造販売会社等 効能等追加事項
エプクルーサ配合錠
(ソホスブビル/ベルパタスビル)
ギリアド 追加適応:1次治療の適応追加(C型慢性肝炎・代償性肝硬変)
タグリッソ錠40mg・80mg
(オシメルチニブメシル酸塩)
アストラゼネカ 追加適応:EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法
リムパーザ錠100mg・150mg
(オラパリブ)
アストラゼネカ 追加適応:BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法
オノアクト点滴静注用50mg・150mg
(ランジオロール塩酸塩)
小野 追加適応:小児適応追加(頻脈性不整脈)
キイトルーダ点滴静注100mg
(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))
MSD 追加適応:腎細胞癌における術後補助療法
バイクロット配合静注用
(乾燥濃縮人血液凝固第Ⅹ因子加活性化第VII因子)
KMバイオロジクス 追加適応:血液凝固第VIII因子又は第Ⅸ因子に対するインヒビターを保有する患者の出血傾向の抑制
フィラジル皮下注30mgシリンジ
(イカチバント酢酸塩)
武田 追加適応:小児適応追加(遺伝性血管性浮腫の急性発作)
ポライビー点滴静注用30mg・140mg
(ポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え))
中外 追加適応:1次治療の適応追加(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)
ユルトミリス点滴静注300mg・HI点滴静注300mg/3mL・1100mg/11mL
(ラブリズマブ(遺伝子組換え))
アレクシオン 追加適応:全身型重症筋無力症(免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)
レミフェンタニル静注用2mg・5mg「第一三共」
(レミフェンタニル塩酸塩)
丸石=第一三共 追加適応:集中治療における人工呼吸中の鎮痛

留意事項通知・適正使用に関する通知が出ています

エプクルーサ:慢性肝炎を発症していない場合、投与不可

2. 効能・効果等の一部変更承認に伴う留意事項の一部改正について
(5)「使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について」(平成31年2月25日付け保医発0225第9号)の記の2の(5)を次のように改める。
(5)エプクルーサ配合錠
本製剤の効能又は効果は、「C型慢性肝炎、C型代償性肝硬変又はC型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」であることから、慢性肝炎を発症していないC型肝炎ウイルス感染者には使用しないこと。

タグリッソ:レセプトに検査実施日を記載、投与期間は36ヵ月まで

2効能・効果等の一部変更承認に伴う留意事項の一部改正について
(3)「使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について」(平成28年5月24日付け保医発0524第1号)の記の3の(1)を次のように改める。
(1)タグリッソ錠40mg及び同錠80mg
(前略)
2. 本製剤を「EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」に用いる場合は、効能又は効果に関連する注意において、「EGFR遺伝子変異検査を実施すること。
EGFR遺伝子変異検査の実施には、十分な経験を有する病理医又は検査施設において、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用い、EGFR遺伝子変異が確認された患者に投与すること。」とされているので、EGFR遺伝子変異検査の実施年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記入すること
なお、当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし、本剤の初回投与に当たっては、必ず実施年月日を記載すること。

3. 本製剤を「EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」に用いる場合は、効能又は効果に関連する注意において、「白金系抗悪性腫瘍剤を含む術後補助療法の適応となる場合には、当該治療を終了した患者を対象とすること。」及び「病理病期IB期(AJCC/UICC第7版)の患者に対する有効性及び安全性は確立していない。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。

4. 本製剤を「EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」に用いる場合は、用法及び用量において、「投与期間は36カ月間までとする。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。

リムパーザ:投与期間は1年間まで

2. 効能・効果等の一部変更承認に伴う留意事項の一部改正について
(2)「医薬品医療機器等法上の効能・効果等の変更に伴う留意事項について」(平成30年7月2日付け保医発0702第1号)の記の1を次のように改める。
1 リムパーザ錠100mg、同錠150mg
(前略)
3. 本製剤を「BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法」に用いる場合は、用法及び用量において、「投与期間は1年間までとする。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。

バイクロット:レセプトにインヒビター力価と検査実施日を記載

2. 効能・効果等の一部変更承認に伴う留意事項の一部改正について
(4)「使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について」(平成26年9月2日付け保医発0902第1号)の記の4の(4)を次のように改める。
(4)バイクロット配合静注用
1. 本製剤は乾燥濃縮人血液凝固第Ⅹ因子加活性化第VII因子製剤であり、本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。

2. 本製剤は針及び注入器付の製品であるため、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合、医科点数表区分番号「C151」注入器加算及び「C153」注入器用注射針加算は算定できないものであること。

3. 本製剤の使用に当たっては、血液凝固第VIII因子又は第IX因子のインヒビターを保有することの確認が前提であり、インヒビター力価の測定された年月日及び力価を診療報酬明細書の摘要欄に記入すること

ユルトミリス:適応患者に関する注意

2. 効能・効果等の一部変更承認に伴う留意事項の一部改正について
(1)「使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について」(令和元年9月3日付け保医発0903第1号)の記の4の(6)を次のように改める。
(6)ユルトミリス点滴静注300mg、同HI点滴静注300mg/3mL及び同HI点滴静注1100mg/11mL
(前略)
3. 全身型重症筋無力症(免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)
本製剤の効能又は効果に関連する注意に次のように記載があるので、使用にあたっては十分留意すること。
ア本剤は、抗アセチルコリン受容体抗体陽性の患者に投与すること。
イ本剤は、ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に、以下に示す患者への投与を考慮すること。
・免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法を施行しても症状の管理が困難な患者
・合併症や副作用等により、免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法の施行が困難な患者

キイトルーダ:最適使用推進ガイドライン追加

術後補助療法の追加に伴い、最適使用推進ガイドラインが変更されています。4)

参考 キイトルーダ 最適使用推進ガイドライン(腎細胞癌)PMDA
参考文献
1)各社プレスリリース
2)各製品添付文書
3)医薬品医療機器等法上の効能・効果等の変更に伴う留意事項の一部改正等について,令和4年8月24日,保医発0824第1号.
4)抗PD-1抗体抗悪性腫瘍剤に係る最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事項の一部改正について,令和4年8月24日,保医発0824第2号.