まずは基本情報
販売名 | デエビゴ錠2.5mg・5mg・10mg |
名前の由来 | Day(日中)+Vigor(活力)+Go(ready to go)が名称の由来である。 |
一般名 | レンボレキサント |
製造販売会社 | エーザイ(株) |
薬効 | オレキシン受容体拮抗薬 |
効能・効果 | 不眠症 |
用法・用量 | 1回5mg 1日1回就寝直前 1日最高用量:10mg |
もともと「デイビゴ」で申請してたけど、「ディビゲル」と名前が似てるから「デエビゴ」に変更になったよ!2)
英名は明らかに「デイビゴ」だもんね。
不眠症ってこういう疾患
- 眠くて日常生活に支障がでている状態
- 治療の基本は、原因除去と環境整備
- 専門医の指導の下、薬物治療をおこなうときもある
不眠症は、睡眠の問題が1ヵ月以上続き、日常生活に支障をきたした状態です。5)
日本人の5人に1人、60歳以上では実に3人に1人が、睡眠問題を抱えているとされています。5)
原因はストレス・他の病気・薬の副作用・環境(騒音・光etc)など、多岐にわたります。5)
治療は、まず不眠の原因を取り除くことからはじめます。5)
また、朝の光を浴びる、適度に運動をする、ベッドや枕を整える、エアコンの設定を変えるなど、自分に合った安眠法を考えることも大事です。5)
原因を除去し、生活習慣や環境を整えても不眠が治らない場合(またはそれが難しい場合)は、専門医のもとで薬物治療を考慮します。5)
薬物治療には、ベンゾジアゼピン受容体作動薬、メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬などを使います。2)
オレキシン受容体作動薬は、ベンゾジアゼピン受容体作動薬に比べると依存や耐性の懸念が少ないため、米国睡眠医学会のガイドラインでは、睡眠維持困難に使用が推奨されています。2)
原因の除去って「それができれば不眠になってないよ!」ってものも多いですからね~…。
エアコンの設定ですらも、同居人に優先権があるとままならないし…。
「薬は怖いけど、もう限界だ。」ってときは、専門医にGOしてください。
身近な専門医は、以下のWebサイトで検索できますよ。
デエビゴってこういうくすり
- 国内2成分目のオレキシン受容体拮抗薬
- 1日1回、寝る直前に服用する
- 患者によって用量調節が必要
デエビゴは、ベルソムラに続く国内2剤目のオレキシン受容体拮抗薬です。
ベルソムラと同様、1日1回就寝直前に服用します。3)
この就寝直前は、布団に入ってから飲む、位の気持ちです。
食事と同時、または食直後に服用すると、効果発現が遅くなる恐れがあります。3)
これもベルソムラと同じですね。
CYP3Aで代謝されるため、CYP3A阻害薬と併用時は用量調整が必要です。
詳細は下記。
CYP3A阻害薬との併用に注意
デエビゴはCYP3Aという酵素で代謝される薬剤です。
そのため、CYP3Aを阻害する薬剤と併用すると、デエビゴの血中濃度が上昇する恐れがあります。3)
よって、併用する際は、デエビゴの投与量を減らします。3)
具体的には、中等度~強力にCYP3Aを阻害する薬剤と併用するときは、デエビゴを1日1回2.5mgに減量します。3)
通常量が1回5mgなので、半分ですね。
半分といいつつ、この1回2.5mgは、非併用時の10mgに相当する量です。2)
10mg/日投与は、5mg/日投与に比べて有害事象の発現率が高いこと、レム睡眠潜時の短縮が認められています。2)
よって強力なCYP3A阻害薬と併用するかは慎重に判断してね、とのこと。2)
PMDA的には1,25mgが欲しかった様子。
ベルソムラも結局10mg錠出しましたし、デエビゴちゃんも最初から1.25mg出すべきだったのでは…?
CYP誘導薬との併用にも注意
デエビゴはCYP3Aという酵素で代謝される薬剤です。
そのため、CYP3Aを誘導する(増やす)薬剤と併用すると、デエビゴの血中濃度が下がる恐れがあります。3)
ちなみにリファンピシンと併用すると、Cmaxが92%、AUCが97%減少するそうです。3)
ザックリ言うと、デエビゴの効果が97%減る感じです(めっちゃザックリ)。
効かないだけで害は無いから併用注意になってますけど、これデエビゴほぼ消滅しているのでは…。
肝機能障害患者への投与に注意
上記のCYP3Aという酵素、じつは主に肝臓にあります。
なので、肝臓が悪くなるとCYP3Aによる薬物代謝が障害され、結果的にデエビゴの血中濃度が高くなる可能性があります。
実際、臨床試験で中等度肝機能障害患者にデエビゴを投与した結果、AUCが54%上昇しました。3)
そのため、中等度肝機能障害患者に投与する場合は1日1回5mgを超えないこと、とされています。3)
なお、重度肝機能障害患者は禁忌です。3)
既存薬と違う点は?
ベルソムラと違う点は?
- 併用禁忌が無い
- CYP誘導薬が併用注意
- 高齢者用の用量が無い
- 重度肝機能障害患者は禁忌
- 一包化可能
デエビゴとベルソムラは、同じオレキシン受容体拮抗薬です。
なので、用法や注意事項はほとんど変わりません。
薬剤師的に一番気になるのは、CYP3Aまわりの問題ですよね。
ベルソムラでよく問題になっていた、クラリスロマイシンやイトラコナゾールは、デエビゴでは併用注意になっています。3)
ただし、デエビゴとクラリスロマイシン等を併用する際は、1日1回2.5mgに減量する必要があります。
ベルソムラのように減量を「考慮」ではないことに注意。
詳しくは下の表を見てください。
結構複雑なんだ~。
また、ベルソムラにあった高齢者用の用量が、デエビゴにはありません。
とはいっても高齢者は血中薬物濃度が高くなる傾向があるので3)、ガンガン10mg投与してOK!というわけではないです。
後は肝機能障害患者に対する投与ですね。
中等度肝機能障害患者にベルソムラを投与した際は、AUCが3%高かったようです。6)
一方、デエビゴを投与した際は54%増加しています。3)
というわけでデエビゴは肝機能障害の影響を受けやすいため、軽度~中等度肝機能障害は慎重投与、重度は禁忌となっています。3)
一包化については、メーカーのQ&Aに記載があります。
本剤を無包装状態にすると、温度・湿度条件下では3ヵ月間、光条件下では約4ヵ月間、変化は認められませんでした。
(中略)
本剤を一包化する場合は、室温にて保管していただくようお願いいたします。
参考
【デエビゴ】一包化を想定した無包装状態の安定性は。Eisei Product's Q&A hotline(医療関係者向け)
一方、ベルソムラは光や湿度の影響を受けやすく、無包装下での保存は難しいです。6)
【インタビューフォーム記載事項】
無包装下での安定性(ベルソムラ錠15mg
ベルソムラ錠を高湿度条件下(30℃/75%RH)にて無包装で1ヵ月間保存した結果、1日後より外観の変化(コーティング層のひび割れ)を認め、保存期間が増加するにつれて溶出速度の低下が認められた。
メーカーさんのQ&Aによると、ベルソムラは水に溶けにくいために製剤工夫がされていて、その工夫が光と湿度に弱い原因のようです。
成分じゃなくて、製剤が原因なんですね~。(あってるかしら…?)
参考
分包・一包化はできますか?MSD Connect(医療関係者向け)
デエビゴも水に溶けにくいので、何らかの製剤工夫をしていると思います。
その製剤技術が良い感じだから、光や湿度に安定なのかな…?
メーカーさんに会えたら、製剤技術のことも聞いてみたいですねぇ。
販売名 | デエビゴ | ベルソムラ |
規格 | 2.5mg・5mg・10mg | 10mg・15mg・20mg |
有効成分 | レンボレキサント | スボレキサント |
用法 | 1日1回就寝直前 | 1日1回就寝直前 |
通常用量 | 5mg/日 10mg/日を超えないこと |
20mg/日 高齢者は15mg/日 |
他の薬剤との併用 | ||
強い CYP3A阻害薬 |
併用注意 2.5mg/日に減量 |
併用禁忌 |
中程度の CYP3A阻害薬 |
併用注意 2.5mg/日に減量 |
併用注意 10mg/日に減量を考慮 |
弱い CYP3A阻害薬 |
– | 10mg/日に減量を考慮 |
強い CYP3A誘導薬 |
併用注意 | 併用注意 |
弱い CYP3A誘導薬 |
併用注意 | – |
特定患者群への投与 | ||
重度の 肝機能障害患者 |
禁忌 | 慎重投与 |
中等度の 肝機能障害患者 |
慎重投与 5mg/日を超えないこと |
– |
軽度の 肝機能障害患者 |
慎重投与 | – |
重度の 腎機能障害患者 |
慎重投与 | – |
注意しておきたいことは?
・睡眠時麻痺(重要な特定されたリスク)
・傾眠(重要な特定されたリスク)
・ナルコレプシー症状(重要な潜在的リスク)
・乱用の可能性(重要な潜在的リスク)
・自殺念慮及び自殺行動(重要な潜在的リスク)
・睡眠時随伴症(重要な潜在的リスク)
注意すべき有害事象(RMP)
リスク | リスク最小化活動の内容 | |
重要な特定されたリスク | 睡眠時麻痺 | 添付文書(副作用)および適正使用ガイド・患者向け資材で注意喚起 |
傾眠 | 添付文書(用法・用量に関連する使用上の注意、重要な基本的注意、副作用)および適正使用ガイド・患者向け資材で注意喚起 | |
重要な潜在的リスク | ナルコレプシー症状 | 添付文書(慎重投与、副作用)および適正使用ガイド・患者向け資材で注意喚起 |
乱用の可能性 | 適正使用ガイドで注意喚起 | |
自殺念慮及び自殺行動 | 適正使用ガイドで注意喚起 | |
睡眠時随伴症 | 適正使用ガイド・患者向け資材で注意喚起 | |
重要な不足情報 | なし | – |
睡眠時麻痺
睡眠時麻痺は、入眠時に幻覚による不安や幻覚体験が起こり、全身が脱力する状態です。4)
恐怖から助けを求めて起き上がろうとしますが、身動きが出来ず声もほとんど出せません。4)
いわゆる金縛りですね。
ワタクシ小学生のときビビり散らしてましたが、ちゃんとした病名があったんですねぇ。
国際共同第3相試験にてプラセボ群よりも多く認められたこと、発現した場合、数分間動くことも話すこともできない恐れがあることから4)、重要な特定されたリスクに設定されました。
睡眠時麻痺の有害事象の発現状況4) | |
国際共同第3相試験 (303試験) |
デエビゴ5mg投与群(314例):0例 デエビゴ10mg投与群(314例):5例 プラセボ投与群(319例):0例 |
傾眠
傾眠とは、刺激があれば覚醒しているものの、刺激が無くなると眠ってしまう状態です。7)
会話も仕事もできるけど、ぼーっとしてると寝ちゃう。って感じですね。
国際共同第3相試験にてプラセボ群よりも多く認められたこと、発現した場合重大な事故や傷害に繋がるおそれがあることから4)、重要な特定されたリスクに設定されました。
傾眠の有害事象の発現状況4) | |
国際共同第3相試験 (303試験) |
デエビゴ5mg投与群(314例):27例 デエビゴ10mg投与群(314例):41例 プラセボ投与群(319例):5例 |
添付文書には、以下のように記載。
【添付文書記載事項】
用法及び用量に関連する使用上の注意(抜粋):
1.効果不十分により、やむを得ず通常用量を超えて増量する場合には、1日1回10mgまでとすること。
なお、通常用量を超えて増量する場合には、傾眠等の副作用が増加することがあるので、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与することとし、症状の改善に伴って減量に努めること。4.CYP3Aを阻害する薬剤との併用により、レンボレキサントの血漿中濃度が上昇し、傾眠等の副作用が増強されるおそれがある。
CYP3Aを中程度又は強力に阻害する薬剤(フルコナゾール、エリスロマイシン、ベラパミル、イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)との併用は、患者の状態を慎重に観察した上で、本剤投与の可否を判断すること。
なお、併用する場合は1日1回2.5mgとすること。重要な基本的注意(抜粋):
1.本剤の影響が服用の翌朝以後に及び、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
ナルコレプシー症状
ナルコレプシーは耐えがたい眠気や日中に眠り込んでしまうことが毎日、少なくとも3ヵ月続く状態です。4)
オレキシンの欠乏によって発現すると考えられており4)、オレキシン神経伝達を阻害するデエビゴは、ナルコレプシー症状を誘発する可能性があります。2)
臨床試験では、「入眠時幻覚」「覚醒時幻覚」「カタプレキシー」といったナルコレプシー症状の関連有害事象がみられましたが、本剤との因果関係は特定できませんでした。4)
しかし、作用機序的に発現する可能性があるため4)、重要な潜在的リスクに設定されました。
ちなみにカタプレキシー(情動脱力発作)は、怒ったときやビックリしたときなど、強い感情の動きがあったときに出る発作です。4)
足の筋肉が脱力して崩れ落ちたり、口の筋肉が脱力して呂律が回らなくなったりします。4)
通常、持続時間は数秒~長くても1、2分程度ですが、とくに睡眠で移行することもあるそうです。4)
ナルコレプシー症状の関連有害事象の発現状況4) | |
国際共同第3相試験 (303試験) |
デエビゴ5mg投与群(314例):1例 デエビゴ10mg投与群(314例):4例 プラセボ投与群(319例):0例 |
添付文書には、以下のように記載。
【添付文書記載事項】
慎重投与(抜粋):
1.ナルコレプシー又はカタプレキシーのある患者
〔 症状を悪化させるおそれがある。〕
乱用の可能性
薬物乱用に対する影響を検討した臨床試験によると、デエビゴ10mg・20mg・30mgの薬物嗜好性は、ゾルピデム30mgおよびスボレキサント40mgと同程度でした。4)
※ゾルピデム:マイスリー、スボレキサント:ベルソムラ
そのため、乱用の可能性を否定できないことから4)、重要な潜在的リスクに設定されました。
自殺念慮及び自殺行動
臨床試験で「企図的過量投与」が認められています。4)
一方、コロンビア自殺重症度評価尺度での評価の結果、各投与群での自殺念慮・自殺行動の発現状況に差はありませんでした。4)
しかし、一般的に不眠症治療薬服薬時には自殺リスクが上昇するため4)、重要な潜在的リスクに設定されました。
企図的過量投与の有害事象の発現状況4) | |
国際共同第3相試験 (303試験) |
デエビゴ5mg投与群(314例):2例 デエビゴ10mg投与群(314例):0例 プラセボ投与群(319例):1例 |
睡眠時随伴症
睡眠時随伴症は、睡眠中に起こる心身の異常の総称です。4)
夜驚症、こむらがえり、悪夢などなど、寝てる間になんか起きたらコレです。
字面がめちゃくちゃ怖い「爆発頭部症候群」は、寝ているときに頭の中で爆発音を感じたり、爆発が起こった感覚がある病態のことで、通常痛みはない良性の疾患だそうです。8)
でもビックリするよね。
臨床試験では「悪夢」「異常な夢」「爆発頭部症候群」といった睡眠時随伴症関連の有害事象がみられましたが、プラセボ群との明らかな差異はありませんでした。4)
しかし、他の不眠症治療薬の使用時に報告されていること、発現時に外傷や事故のリスクがあることから4)、重要な潜在的リスクに設定されました。
睡眠時随伴症の関連有害事象の発現状況4) | |
国際共同第3相試験 (303試験) |
デエビゴ5mg投与群(314例):10例 デエビゴ10mg投与群(314例):11例 プラセボ投与群(319例):7例 |
まとめ
本剤投与が有用な患者像
- 一包化したい患者
- クラリスやイトリゾールが処方されている患者
- ベルソムラの副作用がシンドイ患者
一包化できるベルソムラって感じです!(雑)
薬剤師的には疑義照会しなくて済むのでありがたいのです。
患者さんとしても「飲み忘れるから一包化頼んでるのに、なんで別添なの?」ってならずに済みますね。
エーザイさんの技術力に敬意。
(睡眠薬を一包化する是非はおいておいて…)
あとはクラリスと併用禁忌じゃ無い件ね。
クラリスは、ベルソムラを処方した先生とは別の先生が処方することが往々にしてある薬剤なので、要注意だったんですよね。
(おくすり手帳様々!)
デエビゴも併用注意ですし、減量もあるので「全面解禁!」というわけではありませんが、どーしても併用しなきゃならないときに、選択肢が増えたのはありがたいですね。
もうちょっと低用量の規格ができると、さらに使いやすいけど…。せめて割線模様でも良いからつけて欲しかった。
その他、ベルソムラの副作用がシンドイ…でもベンゾ系はちょっと…って患者さんは、デエビゴに変えてみても良いかもです。
ベルソムラとは受容体の選択性やレム睡眠への影響がちょっと違うので、ベルソムラが合わない人でもデエビゴは合うかもしれません。
(もちろん逆もしかりです。)
やっぱり同じ作用機序の薬は、3種類くらいあるとありがたいですね!
類薬の投与を検討すべき患者像
- 肝臓が悪い患者
- ベルソムラで特に問題ない患者
まず、肝機能が悪い人。これはベルソムラの方が良さそうです。
肝臓が悪い人にデエビゴを投与すると、薬の影響を強く受けてしまう可能性があります。
なので、減量するなりベルソムラに変えるなりした方が良さそうです。
また、ベルソムラはアメリカやオーストラリアでも使われている3)分、使用経験は多いです。
使用経験が多い=未知の副作用が少ないってことなので、いまベルソムラを使っていて不満が無い人は、わざわざデエビゴに変える必要はないと思います。
デエビゴは米国で発売されたばっかり6)ですし、評価はこれからの薬剤ですからね~。
余談ですが、わたくし未だにベルソムラの用量がアメリカと全然違うのを根に持っております。
だってアメリカは通常用量10mg、中等度のCYP3A阻害薬併用では5mg投与なんですよ。なんで日本人は2倍量なのか。ブツブツ…。
なので、デエビゴちゃんにおいてはゼヒ1.25mgの用量を承認取得していただいて、安全性に配慮している点をもっとアピールしていただければと思っております!
雑談:睡眠薬と自動車運転について
デエビゴの審査報告書に、睡眠薬と自動車運転について専門委員からの意見が載っていました。
ザックリ言うと、
- 治療しながら運転するのはダメで、不眠のまま運転するのはOKってどうなんでしょうね。
- 「患者の自動車運転に関する精神科医のためのガイドライン」では、数日は運転を控えて、眠気の様子を見ながら運転再開を指示するのが現実的では?って書いてあるよ。
- デエビゴ投与9時間後の運転技能の試験結果は、プラセボと有意差無かったよね。だから自動車運転が必要な状況下で、より安全な治療選択肢になる可能性あるんじゃないの?
って感じ。
PMDAは「今の段階では類薬と同様の措置が良いんじゃ無いですかね~。」と答えています。
新薬承認の段階で、類薬とは違う対応をする難しいかと思います。
でも、今後安全対策部会などで睡眠薬全体のこととして議論される可能性はあるのかな~?と思いました。
抗うつ剤(ミルナシプラン、デュロキセチン、ベンラファキシン)の運転NGが外れたことはあるので、検討自体はされてるはず…。
たしかに、睡眠薬を飲んで事故ったときは「睡眠薬飲んでました!!」って言われるけど、不眠で運転して事故ったときはただの事故として処理されるものね。
デエビゴが本当に影響が無いのかはまだわかりませんが、薬剤によっては翌日の運転OKにして、しっかり治療した方が良いのかも…と感じました。
2)審査報告書, PMDA, https://www.pmda.go.jp/drugs/2020/P20200203001/170033000_30200AMX00017_A100_1.pdf, https://www.pmda.go.jp/drugs/2020/P20200203001/170033000_30200AMX00017_A101_1.pdf.
3)デエビゴ錠2.5mg・5mg・10mg 添付文書, インタビューフォーム, 適正使用ガイド.
4)RMP, PMDA, https://www.pmda.go.jp/RMP/www/170033/eae9cb7f-0107-43de-a7f1-294fd0617511/170033_11900B2F1020_001RMP.pdf.
5)不眠症, e-ヘルスネット, 厚生労働省, https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html.
6)ベルソムラ錠10mg・15mg・20mg 添付文書, インタビューフォーム.
7)主訴別の患者の診かた(8)意識障害のある患者の診かた, medicina 誌面サンプル47巻1号, https://www.igaku-shoin.co.jp/misc/medicina/shinkei4601/ .
8)大倉 睦美他, 頭内爆発音症候群(exploding head syndrome)の1例, BRAIN and NERVE 62巻1号 (2010年1月), https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1416100622.