新薬雑感:テリルジーエリプタ

まずは基本情報

販売名 テリルジー100エリプタ14吸入用・30吸入用
名前の由来 該当資料なし
一般名 フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩
製造販売会社 グラクソ・スミスクライン(株)
薬効 吸入ステロイド(ICS)
長時間作用性抗コリン薬(LAMA)
長時間作用性β2刺激薬(LABA)
効能・効果 慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド剤、長時間作用性吸入抗コリン剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
用法・用量 1回1吸入 1日1回

 

COPDってこういう疾患

  • タバコなどの影響で呼吸がつらくなる肺の病気
  • 進行すると、治療しても元には戻らない
  • 治療の基本は、禁煙とワクチン接種

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、タバコの煙などの有害物質を長期間吸入することで、正常な呼吸ができなくなる慢性の肺疾患です。1), 4)
従来「慢性気管支炎」や「肺気腫」などと呼ばれていた病気の総称であり、喫煙者の15~20%がCOPDを発症すると言われています。4)

症状はずっと続く咳や痰、体を動かしたときにすぐに息切れする(労作時呼吸困難)などです。4)
喘息のような症状(ゼイゼイする、発作的に呼吸が苦しくなる)を合併する人もいます。4)

COPDの最大の原因はタバコです。4)
喫煙によって肺の組織が破壊され、呼吸機能が低下します。4)
この破壊は非可逆的で、治療しても元に戻ることはありません4)

 

治療の基本は禁煙です。4)
また、呼吸機能の増悪を防ぐために、インフルエンザや肺炎球菌ワクチンの接種が勧められています。4)

薬物治療をする場合は、主に吸入の気管支拡張薬を用います。4), 5)
特に、長時間気管支を拡張するLAMA(長時間作用性抗コリン剤)やLABA(長時間作用性β2刺激剤)がメインで使われており、単剤で効果が不十分な場合にはこの2剤を併用します。5)

また、喘息を合併している場合はICS(吸入ステロイド剤)の使用も検討します。5), 6)
ガイドライン第4版では「増悪を繰り返す例」にもICSの使用が推奨されていましたが、第5版で削除されました。6)

でも海外のガイドラインでは、2剤併用で効果不十分の際にICSの上乗せが推奨されているようです。2)

 

COPDのセルフマネジメントは、環境再生保全機構にめっちゃまとまってるので紹介したい…!
呼吸法から歩き方からトレーニング方法まで至れり尽くせりなのだ…。
もうこの内容だけで健康セミナーを1年位開催できるボリュームですよ。ステキ。


参考
COPDの基礎知識とセルフマネジメント独)環境再生保全機構

 

テリルジーってこういうくすり

  • 国内初の3成分配合吸入剤
  • 1つのデバイスで、1日1回1吸入で効果を発揮

テリルジーは、国内初の3成分(ICS/LAMA/LABA)配合の吸入剤です。
1つの吸入剤に成分が3つ入ってるってことですね。
いままでの吸入剤は多くて2剤だったので、1種類増えたよ!って感じ。

吸入器はGSKおなじみのエリプタを採用。
1日1回1吸入で3つの成分を、身体に取り込むことができます。

 

配合成分は、こちらもGSKおなじみのフルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)とウメクリジニウム(UMEC)とビランテロール(VI)。

FFは吸入ステロイドなので、肺の炎症を抑える働きを持っています。3)

UMECとVIは、どちらも気管支を拡張させて呼吸を楽にする作用があります。3)
UMECは気管支平滑筋の収縮を抑制、VIは気管支平滑筋を弛緩させて効果を発揮します。

 

補足:GSKのエリプタ製剤って、他に何があったっけ?

吸入剤多すぎてわからなくなるんじゃぁ~。
というわけで、GSKのエリプタ製剤をまとめました。
レルベア以外にも色々あるんだね。

ポイントは成分含有量です。
テリルジーはレルベア100+エンクラッセ、またはアノーロ+アニュイティ100と一緒の成分量なんですね。
このおかげで切替えがスムーズに出来るのです。

販売名 薬効:成分含有量 適応
テリルジー ICS:FF 100μg
LAMA:UMEC 62.5μg
LABA:VI 25μg
COPD
レルベア100 ICS:FF 100μg
LABA:VI 25μg
気管支喘息
COPD
レルベア200 ICS:FF 200μg
LABA:VI 25μg
気管支喘息
アノーロ LAMA:UMEC 62.5μg
LABA:VI 25μg
COPD
アニュイティ100 ICS:FF 100μg 気管支喘息
アニュイティ200 ICS:FF 200μg 気管支喘息
エンクラッセ LAMA:UMEC 62.5μg COPD

FF:フルチカゾンフランカルボン酸エステル
UMEC:ウメクリジニウム
VI:ビランテロール

 

注意しておきたいことは?

注意

肺炎(重要な特定されたリスク)
アナフィラキシー反応(重要な特定されたリスク)
心血管系事象(重要な特定されたリスク)
副腎皮質ステロイド剤の全身作用(副腎皮質機能抑制、骨障害、眼障害等)(重要な潜在的リスク)
喘息に関連した死亡、入院及び挿管(重要な潜在的リスク)

基本的にはレルベアとエンクラッセのRMPを合体した感じです。

注意すべき有害事象(RMP)(2019.5.13追記)

リスク リスク最小化活動の内容
重要な特定されたリスク 肺炎 添付文書(重要な基本的注意、重大な副作用用)および患者向け医薬品ガイドで注意喚起
アナフィラキシー反応 添付文書(禁忌、重大な副作用)および患者向け医薬品ガイドで注意喚起
心血管系事象 添付文書(用法・用量に関連する使用上の注意、慎重投与、重要な基本的注意、相互作用、重大な副作用、過量投与)および患者向け医薬品ガイドで注意喚起
重要な潜在的リスク 副腎皮質ステロイド剤の全身作用(副腎皮質機能抑制、骨障害、眼障害等) 添付文書(重要な基本的注意)で注意喚起
喘息に関連した死亡、入院及び挿管 添付文書(重要な基本的注意)および患者向け医薬品ガイドで注意喚起
重要な不足情報 なし

肺炎

これはICSの注意事項です。

肺炎はCOPD患者でよく見られる合併症で、重症患者ほど肺炎の発現率が高くなります。8)
また、COPD患者にステロイドを使用すると、肺炎のリスクが上昇することが知られています。8)

臨床試験ではレルベアやレルベア+エンクラッセ投与群に比べて、発現割合の増加はみられなかったものの、既存薬と同様の注意喚起が必要であるとして2)、重要な特定されたリスクに設定されました。

ちなみに日本人COPD患者群で、加齢と共に肺炎の発現割合が高くなる傾向が認められております。2)

肺炎の有害事象の発現状況2)
国際共同第3相試験(CTT116855:IMPACT試験) テリルジー投与群(4,151例):317例
レルベア100投与群(4,134例):292例
アノーロ投与群(2,070例):97例
国際共同第3相試験
(200812試験)
テリルジー投与群(527例):14例
レルベア100+エンクラッセ投与群(528例):21例

添付文書には、以下のように記載。

【添付文書記載事項】
重要な基本的注意(抜粋):
7. 本剤の臨床試験において肺炎が報告された。
一般に肺炎の発現リスクが高いと考えられる患者へ本剤を投与する場合には注意すること。

重大な副作用(抜粋):
2. 肺炎(1.1%)
肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。

アナフィラキシー反応

テリルジーの審査報告書には、アナフィラキシーの記載はありませんでした。2)

しかし、レルベアの海外市販後の自発報告にて、レルベアとの関連が否定できない過敏症反応が認められています。8)

レルベアで発現したならばテリルジーでも発現する可能性があること、アナフィラキシーは重篤な転帰に至る可能性のある有害事象であることから、重要な特定されたリスクに設定されたものと思われます。

(2019.5.13追記)
「レルベアの国内外の市販後自発報告で、関連が否定できない過敏症およびアナフィラキシー反応関連事象が認められているため。」とのことです。12)

添付文書には、以下のように記載。

【添付文書記載事項】

重大な副作用(抜粋):
1. アナフィラキシー反応
アナフィラキシー反応(咽頭浮腫、気管支痙攣等)があらわれることがある(頻度不明)ので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。

心血管系事象

これはLAMAとLABAの注意事項ですね。

前提として、COPD患者は高齢で喫煙歴が長い患者が多いため、そもそも心血管系事象の発現リスクがあります。10)

そしてLAMAはその薬理作用から、心血管系事象の発現リスクとの関連性が認められています。10)

また、β2刺激薬は心臓への作用が知られているため、LABA投与患者では心臓関連の副作用が上昇する可能性があります。8)

臨床試験ではレルベアやレルベア+エンクラッセ投与群に比べて、発現割合の増加はみられなかったものの、既存薬と同様の注意喚起が必要であるとして2)重要な潜在的リスクに設定されたと思われます

(2019.5.13追記)
ちゃう、特定されたリスクでした。
なんだろうめっちゃ勘違いしてました。。。

「アノーロとエンクラッセの第3相試験で、プラセボよりも不整脈に関連する事象の発現頻度が高かったこと、外国人健康成人にUMEC/VI 500/100μgを1日1回10日間吸入したときQT間隔の延長が見られたこと」から、重要な特定されたリスクに設定されたそうです。12)

ちなみにアノーロはUMEC/VI 62.5/25μgなので、500/100はかなり多いですね~。

心血管系作用関連の有害事象の発現状況2)
国際共同第3相試験(CTT116855:IMPACT試験) テリルジー投与群(4,151例):450例
レルベア100投与群(4,134例):430例
アノーロ投与群(2,070例):224例
国際共同第3相試験
(200812試験)
テリルジー投与群(527例):30例
レルベア100+エンクラッセ投与群(528例):28例

添付文書には、以下のように記載。
「1日1回」は朝でも夜でもいつでも良いそうですが7)、口腔カンジダ予防には食事前吸入がオススメと聞きました~。

【添付文書記載事項】
用法及び用量に関連する使用上の注意:
患者に対し、本剤の過度の使用により不整脈、心停止等の重篤な副作用が発現する危険性があることを理解させ、本剤を1日1回なるべく同じ時間帯に吸入するよう(1日1回を超えて投与しないよう)注意を与えること。

重要な基本的注意(抜粋):
8. 過度に本剤の使用を続けた場合、不整脈、場合により心停止を起こすおそれがあるので、用法・用量を超えて投与しないよう注意すること。

重大な副作用(抜粋):
3. 心房細動(0.1%)
心房細動が発現することがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

併用注意(抜粋):
3. QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤(抗不整脈剤、三環系抗うつ剤等)
臨床症状・措置方法
QT間隔が延長され心室性不整脈等のリスクが増大するおそれがある。
機序・危険因子
いずれもQT間隔を延長させる可能性がある。

過量投与:
徴候・症状
本剤の過量投与により、抗コリン剤の薬理学的作用による症状(口内乾燥、視調節障害及び頻脈等)、β2刺激剤の薬理学的作用による症状(頻脈、不整脈、振戦、頭痛及び筋痙攣等)や副腎皮質機能抑制等の全身性の作用が発現するおそれがある。
また、外国人健康成人にフルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロール 800/100μgを1日1回7日間吸入投与したとき、又はウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩 500/100μgを1日1回10日間吸入投与したときQT間隔延長が認められた。
処置
本剤の過量投与時の特異的な解毒剤はない。
対症療法を行うとともに、必要に応じて患者をモニターすること。

副腎皮質ステロイド剤の全身作用(副腎皮質機能抑制、骨障害、眼障害等)

これはICSというか経口ステロイドの注意事項ですね。

吸入ステロイドは経口ステロイドに比べて全身への吸収は低いですが、全身作用を発現する可能性がゼロではないので、重要な潜在的リスクに設定されたと思われます。

ステロイドの全身作用連の有害事象の発現状況2)
国際共同第3相試験(CTT116855:IMPACT試験) テリルジー投与群(4,151例):
副腎抑制 0例、眼への作用 55例、骨障害 98例
レルベア100投与群(4,134例):
副腎抑制 0例、眼への作用 45例、骨障害 85例
アノーロ投与群(2,070例):
副腎抑制 0例、眼への作用 26例、骨障害 37例
国際共同第3相試験
(200812試験)
テリルジー投与群(527例):
副腎抑制 1例、眼への作用 4例、骨障害 5例
レルベア100+エンクラッセ投与群(528例):
副腎抑制 0例、眼への作用 5例、骨障害 6例

添付文書には、以下のように記載。

【添付文書記載事項】
重要な基本的注意(抜粋):
6. 全身性ステロイド剤と比較し可能性は低いが、吸入ステロイド剤の投与により全身性の作用(クッシング症候群、クッシング様症状、副腎皮質機能抑制、小児の成長遅延、骨密度の低下、白内障、緑内障、中心性漿液性網脈絡膜症を含む)が発現する可能性がある。
特に長期間、大量投与の場合には定期的に検査を行い、全身性の作用が認められた場合には患者の症状を観察しながら適切な処置を行うこと。

併用注意(抜粋):
1. CYP3A4阻害作用を有する薬剤
臨床症状・措置方法
副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様の症状があらわれる可能性がある。
なお、フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロールトリフェニル酢酸塩とケトコナゾール(経口剤)を併用した臨床薬理試験において、血中のフルチカゾンフランカルボン酸エステル及びビランテロールの曝露量の増加が認められたとの報告がある。
機序・危険因子
CYP3A4による代謝が阻害されることにより、フルチカゾンフランカルボン酸エステル及びビランテロールの血中濃度が上昇する可能性がある。

過量投与:
徴候・症状
本剤の過量投与により、抗コリン剤の薬理学的作用による症状(口内乾燥、視調節障害及び頻脈等)、β2刺激剤の薬理学的作用による症状(頻脈、不整脈、振戦、頭痛及び筋痙攣等)や副腎皮質機能抑制等の全身性の作用が発現するおそれがある。
また、外国人健康成人にフルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロール 800/100μgを1日1回7日間吸入投与したとき、又はウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩 500/100μgを1日1回10日間吸入投与したときQT間隔延長が認められた。
処置
本剤の過量投与時の特異的な解毒剤はない。
対症療法を行うとともに、必要に応じて患者をモニターすること。

 

喘息に関連した死亡、入院及び挿管

これはLABAの注意事項ですね。

アメリカで、ビランテロールと同じLABAであるサルメテロールを投与した喘息患者で、喘息関連死の増加が報告されています。10)

といってもこれは喘息患者特有のリスクであり、COPD患者では認められていません。8)
よってテリルジーはCOPDしか適応が無いので本来は関係ないのですが、喘息を併発しているCOPD患者に使用される可能性があることから重要な潜在的リスクに設定されました。12)

添付文書には、以下のように記載。

【添付文書記載事項】
重要な基本的注意(抜粋):
1. 本剤は気管支喘息治療を目的とした薬剤ではないため、気管支喘息治療の目的には使用しないこと。
なお、気管支喘息を合併した慢性閉塞性肺疾患患者に本剤を適用する場合には、気管支喘息の管理が十分行われるよう注意すること。

まとめ

本剤投与が有用な患者像

  • 3剤併用の必要がある喘息合併患者
  • 3剤併用の必要がある重症患者
[hukidashi name=”りんご” icon=”/wp-content/uploads/2018/01/ringo.png” type=”left lp”]3剤併用するなら、吸入器1個で済むぶん楽で良いかと。[/hukidashi]

まー配合剤なんで。
必要だったら使えば良いし、必要ないなら要らないよね。って感じです。
成分は既存薬の組合せですし、テリルジーを絶対使わないといけない強い理由は無いです。

ただ、吸入剤は続けるのが大変!
症状が強いときはともかく、治ってくるとついついサボってしまうんですよね…(経験談)。

なので、3剤併用を続ける必要がある人で、有効成分に特に拘る必要がない場合は、1吸入器&1日1回吸入で済むテリルジーに切替えても良いのかなと思います。
いくら良い成分の薬剤でも、続けられなきゃ意味ないですしね…。

 

日本のガイドラインでは、ICSは喘息合併患者に使おう!となっているので、喘息合併していて(ACOってヤツですね)レルベアだけじゃ効果がイマイチだなーって場合は、テリルジーに切替えても良さそうです。

ただし、レルベア200からテリルジーに変えるとICSの量が半分になっちゃうのがネック。
どっちかというとCOPDメインで、軽症の気管支喘息が合併している患者が良いのかな。
喘息が重症の場合は、ICSの量が足りない気がします。

 

一方、海外のガイドラインでは2剤で効果不十分の重症患者にも推奨されているので、こちらも患者に投与しても悪くはなさそうです。

この辺は、呼吸機能の改善と肺炎リスクの上昇を天秤にかけて、どっちらメリットあるか?という話だと思うので、ケースバイケースですかね~。

 

類薬の投与を検討すべき患者像

  • 吸入力が弱い患者
  • いまの治療のコンプライアンスが悪い患者
  • いまの治療がLAMA単剤の患者
[hukidashi name=”みかん” icon=”/wp-content/uploads/2018/01/mikan.png” type=”right lg”]ステップアップ前に、いまの治療の確認を。[/hukidashi]

テリルジーはドライパウダー製剤なので、吸う力が弱い患者さんだと上手くクスリが肺に届かない可能性が高いです。

多分薬局に練習用のエリプタがあるはずなので、試してみてダメそうだったらエアゾール製剤を使うべきです。

 

あとはそもそも今の治療(単剤or2剤併用吸入剤)の吸入をサボりがちな患者さん。
これは効果不十分というよりは治療が出来てないってことなので、テリルジーに変える前に服薬指導を見直した方が良いですね。

イヤホント吸入剤続けるのって大変なんですよ…もしサボってるのが発覚しても、お医者さんも薬剤師さんも暖かく受け入れてあげてください…。

 

あ、一点注意すべきなのが、現在LAMA単剤で治療している患者さんです。
臨床試験にて、前治療がLAMA単剤の場合は、テリルジーとアノーロの有効性が同程度である可能性が示唆されています。2)

まぁ、前治療が単剤なのに、いきなり3剤併用にステップアップする場合って限られそうですが…。LAMA単剤からのステップアップはLAMA/LABAにしよう!ということで。

 

雑談:呼吸リハ施設にもっと増えて欲しい!

個人的にはテリルジーを使う場合は呼吸リハをガッツリやって、早めに2剤併用へステップダウンを目指すべきかなぁと思ってます。
実際、海外ではCOPD患者に対してかなりガッツリとリハビリを実施するそうです。

日本はどうなんですかね…あんまり呼吸器内科にリハ施設が併設されてるイメージが無いです。
COPDはクスリじゃ治んないので、リハ施設がもっと増えると良いなぁと思っています。

呼吸リハ、大手調剤や介護施設が始めて、近隣の呼吸器内科と提携したら利益的にも軌道に乗れたりしませんかね…?
今やってるところは結構少ないので、健康保険組合も巻き込めばいけそうな気がする。

ちなみに呼吸リハビリテーション施設がある病院は、以下から検索できま~す。


参考
呼吸リハビリテーション施設日本呼吸ケア・リハビリテーション学会

 

初めての3剤配合吸入剤というわけで取り上げてみました!
3剤配合というと、薬剤師的にはミカトリオちゃんを思い出しますね。
ミカトリオちゃんは部会段階からめっちゃ揉めたあげくに留意事項がガッツリ出たので、テリルジーが二の舞にならないように祈ってます…。

 

参考文献
1)日本におけるCOPD患者に対する初めての 単一吸入器による1日1回投与の3成分配合治療薬 テリルジー100エリプタの承認を取得, GSK(株), https://jp.gsk.com/jp/media/press-releases/2019/20190326_trelegy-approval-in-japan/.
2)審査報告書, PMDA, http://www.pmda.go.jp/drugs/2019/P20190322005/340278000_23100AMX00294_A100_1.pdf.
3)テリルジー100エリプタ14吸入用・30吸入用, 添付文書, インタビューフォーム, 新医薬品の使用上の注意の解説.
4)慢性閉塞性肺疾患(COPD), 日本呼吸器学会, http://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=12.
5)COPDガイドラインポイント解説, 日本ベーリンガーインゲルハイム(株), https://www.boehringerplus.jp/ja/product-pages/spiolto/medical-treatment-support/guideline.
6)改訂ポイントと作成秘話【時流◆新COPD指針】, m3.com, https://www.m3.com/clinical/news/605639.
7)テリルジー よくあるご質問, GSK(株), https://gskpro.com/ja-jp/products-info/trelegy/faq/.
8)レルベア100・200エリプタ14吸入用・30吸入用 RMP, PMDA, http://www.pmda.go.jp/RMP/www/340278/0087fd4e-4e03-4e14-8bdc-5abf9101a794/340278_2290803G1028_001RMP.pdf.
9)ACO治療のポイント, ラジオNIKEEI, 2019年2月14日放送, http://medical.radionikkei.jp/yakugaku/date/20190215/.
10)アノーロエリプタ7吸入用・30吸入用 RMP, PMDA, http://www.pmda.go.jp/RMP/www/340278/18e12c38-2311-4d39-b49b-23c1b760052b/340278_2259806G1021_001RMP.pdf.
11)12.慢性閉塞性肺疾患(COPD) 理学療法診療ガイドライン, 日本理学療法士学会, http://www.japanpt.or.jp/upload/jspt/obj/files/guideline/18_COPD_1.pdf.
12)RMP, PMDA, https://www.pmda.go.jp/RMP/www/340278/ab15ef60-42b6-402a-b47f-cc756cef75a4/340278_22908A1G1022_001RMP.pdf.

2019.4.24 公開
2019.5.13 RMPの内容を追記、心血管系事象を「重要な潜在的リスク」から「重要な特定されたリスク」に修正

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