5月25日、新医薬品が薬価収載されました

5月18日に開催された中医協で、新医薬品の薬価収載が了承されました。
5月24日に告示され、5月25日に薬価収載されました。

2022年5月25日収載の新医薬品

販売名(一般名) 規格単位 薬価
カログラ錠120mg
(カロテグラストメチル)
120mg1錠 200.00円
ケレンディア錠10mg・20mg
(フィネレノン)
10mg1錠
20mg1錠
149.10円
213.10円
ジスバルカプセル40mg
(バルベナジントシル酸塩)
40mg1カプセル 2,331.20円
セムブリックス錠20mg・40mg
(アシミニブ塩酸塩)
20㎎1錠
40㎎1錠
5,564.50円
10,618.30円
タブネオスカプセル10mg
(アバコパン)
10mg1カプセル 1,403.90円
モイゼルト軟膏0.3%・1%
(ジファミラスト)
0.3%1g
1%1g
142.00円
152.10円
アロカリス点滴静注235mg
(ホスネツピタント塩化物塩酸塩)
235mg10mL1瓶 11,276円
オンデキサ静注用200mg
(アンデキサネットアルファ(遺伝子組換え))
200mg1瓶 338,671円
サムタス点滴静注用8mg・16mg
(トルバプタンリン酸エステルナトリウム)
8mg1瓶
16mg1瓶
1,160円
2,169円
ゼンフォザイム点滴静注用20mg
(オリプダーゼ アルファ(遺伝子組換え))
20mg1瓶 570,420円
タクザイロ皮下注300mgシリンジ
(ラナデルマブ(遺伝子組換え))
300㎎2mL1筒 1,288,729円
バビースモ硝子体内注射液120mg/mL
(ファリシマブ(遺伝子組換え))
6mg0.05mL1瓶 163,894円
ミチーガ皮下注用60mgシリンジ
(ネモリズマブ(遺伝子組換え))
60mg1筒 117,181円
メプセヴィ点滴静注液10mg
(ベストロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え))
10mg5mL1瓶 259,932円

薬価の決めかた

カログラ錠:原価計算方式で算定

カログラは、同様の効能効果・薬理作用を有する類薬がないため、原価計算方式で算定されました。

さすがにエンタイビオは類似薬にはならなかった。

進行性多巣性白質脳症に関する追加の情報提供活動費用を一般管理販売費に計上したいと不服意見を出されたようですが、RMP等に記載がない活動の費用は認められないと却下されました。

進行性多巣性白質脳症自体は、RMPに重要な潜在的リスクとして記載されているので、書き方の問題なのかなぁ。
確かに「追加の医薬品安全性監視活動」の項は、特定使用成績調査と製造販売後臨床試験しか記載されていませんでした。RMPの記載って大事。

ケレンディア錠:原価計算方式で算定

ケレンディアは、同様の効能効果・薬理作用を有する類薬がないため、原価計算方式で算定されました。

2型糖尿病の合併を問わないCKDの治療薬としては、SGLT2阻害剤のフォシーガ。
MR拮抗薬としては高血圧治療薬のセララやミネブロがあります。
ただ、どちらも薬価算定の類似薬ではないと判断されたようです。

もともとは類似薬効で算定(薬理作用から比較薬を選定と記載があるので、ミネブロが類薬だった…?)されていたところ、企業から不服意見があり原価計算方式に変更されたようです。
なお、新薬創出等加算品目に該当するという意見も出されていましたが、日本人での腎不全への進展抑制効果が弱い可能性があることから、却下されました。

ジスバルカプセル:コレアジンと薬価合わせ【加算あり】

ジスバルは、同じVMAT2阻害剤であるコレアジン錠の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

ジスバルカプセル40mg:2,331.20円(1日薬価:2,331.20円)
コレアジン錠12.5mg:402.10円(1日薬価:2,220.20円)

標準治療として位置づけられることから、有用性加算(II)が5%つきました。

セムブリックス錠:ボシュリフと薬価合わせ【加算あり】

セムブリックスは、同じ慢性骨髄性白血病治療薬であるボシュリフ錠の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

セムブリックス錠40mg:10,618.30円(1日薬価:21,236.60円)
ボシュリフ錠100mg:3,861.20円(1日薬価:19,306.00円)

類似薬(ボシュリフですね)と比較して高い有効性が示されたことから、有用性加算(II)が10%ついてます。

タブネオスカプセル:原価計算方式で算定【加算あり】

タブネオスは、同様の薬理作用を有する類薬がないため、原価計算方式で算定されました。

新規作用機序の薬剤で、プレゾニゾンに対する優越性が検証されたことから、有用性加算(II)が5%。
希少疾病医薬品であることから、市場性加算が10%ついてます。
が、加算係数は0です。

ちなみに薬価は1カプセル1,403.90円なのですが、ドイツは6,428.50円、アメリカは10,691.50円です。
うーん日本は安いなぁ。

モイゼルト軟膏:コレクチムと薬価合わせ【加算あり】

モイゼルトは、同じアトピー性皮膚炎用外用剤であるコレクチムの1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

モイゼルト軟膏1%1g:152.10円(1日薬価:608.40円)
コレクチム軟膏0.5%1g:144.90円(1日薬価:579.60円)

小児加算が5%ついてます。
たぶん症例数(417例)的にはもうちょい加算がもらえるんだと思いますが、コレクチムが小児適応追加に伴い薬価が引き上げられたため、限定的な評価になった模様です。

アロカリス点滴静注:プロイメンドと薬価合わせ

アロカリスは、同じ抗がん剤の制吐療法に用いるNK1受容体拮抗薬であるプロイメンドの1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

アロカリス点滴静注235mg:11,276円(1日薬価:11,276円)
プロイメンド点滴静注用150mg:11,276円(1日薬価:11,276円)

オンデキサ静注用:原価計算方式で算定【加算あり】

オンデキサは、同様の薬理作用や組成を有する類薬がないため、原価計算方式で算定されました。

血液凝固第X因子を標的とした新しい薬剤であること、臨床的に有用な中和作用を示したことから有用性加算(II)が5%。
希少疾病医薬品であることから、市場性加算が10%ついてます。
が、加算係数は0です。

なお、外国平均価格調整も入ってます。

サムタス点滴静注用:サムスカと薬価合わせ

サムタスは、同じ有効成分のサムスカOD錠の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

サムタス点滴静注用16mg:2,169円(1日薬価:2,169円)
サムスカOD錠7.5mg:1,084.70円(1日薬価:2,169.40円)

ゼンフォザイム点滴静注用:原価計算方式で算定【加算あり】

ゼンフォザイムは、同様の薬理作用や組成を有する類薬がないため、原価計算方式で算定されました。

標準的治療法が確立されていない「酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症」に有効性を示したことから有用性加算(II)が10%。
希少疾病医薬品であることから、市場性加算が10%。
先駆け審査指定制度の対象品目であることから、先駆加算が10%ついてます。
加算係数0だけど…。

タクザイロ皮下注:オラデオと薬価合わせ

タクザイロは、同じ遺伝性血管性浮腫の長期予防薬であるオラデオ錠の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

タクザイロ皮下注300mg:1,288,729円(1日薬価:92,052円)
オラデオカプセル150mg:74,228.20円(1日薬価:74,228.20円)

外国平均価格調整で薬価が引きあがっております。

なお、海外のガイドラインで第一選択とされていること等から有用性加算の要件に該当すると不服意見が出されましたが、オラデオ等も同様に推奨されているため却下されました。
アメリカはタクザイロ⇒オラデオの順に登場したけれど、日本はオラデオ⇒タクザイロの順で登場したので、その辺が海外ガイドラインの記載に影響している気がします。

まーオラデオ自体に有用性加算等が乗っているので、それ以上の加算はないですよね。

バビースモ硝子体内注射液:類似薬の最低1日薬価に合わせて算定

バビースモは、過去6年間に薬価収載された薬理作用類似薬の最低1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(II)。

バビースモ硝子体内注射液120mg/mL:163,894円(1日薬価:1,805円)
薬理作用類似薬の最低1日薬価:1,805円

二重特異性抗体である点は特に評価されなかったんですね…。
有用性加算ついて(I)で評価されると思っていたので、まさかの(II)でビックリ。
アイリーア非劣性では加算つかなかったか。

ミチーガ皮下注用:デュピクセントと薬価合わせ

ミチーガは、同じアトピー性皮膚炎治療用の抗体製剤であるデュピクセントの1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

ミチーガ皮下注用60mg:117,181円(1日薬価:4,185円)
デュピクセント皮下注300mgシリンジ:58,593円(1日薬価:4,185円)

微妙に適応が違う(ミチーガの適応はアトピー性皮膚炎に伴うそう痒)のですが、特に加味されなかった模様。良かったね。

メプセヴィ点滴静注液:原価計算方式で算定【加算あり】

メプセヴィは、同様の薬理作用や組成を有する類薬がないため、原価計算方式で算定されました。

標準的治療法が確立されていない「ムコ多糖症VII型」に有効性を示したことから有用性加算(II)が10%。
希少疾病医薬品であることから、市場性加算が10%ついてます。
なお加算係数0…。

 

1)中央社会保険医療協議会 総会(第521回) 医薬品の新規薬価収載について, 厚生労働省, https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000940075.pdf.
2)使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について, 保医発0419第1号, 令和4年4月19日.