11月20日、新医薬品が薬価収載されました

11月14日に開催された中医協で、新医薬品の薬価収載が了承されました。
その後11月19日に告示、11月20日に薬価収載されました。

目次

2018年11月20日収載の新医薬品

販売名(一般名) 規格単位 薬価
モビコール配合内用剤
(マクロゴール4000/塩化ナトリウム/炭酸水素ナトリウム/塩化カリウム)
6.8523g1包 83.90円
ベオーバ錠50mg
(ビベグロン)
50mg1錠 185.70円
トラディアンス配合錠AP・BP
(エンパグリフロジン/リナグリプチン)
1錠 283.30円
395.60円
メトアナ配合錠LD・HD
(アナグリプチン/メトホルミン塩酸塩)
1錠 62.20円
62.20円
ゾスパタ錠40mg
(ギルテリチニブフマル酸塩)
40mg1錠 19,409.10円
ベージニオ錠50mg・100mg・150mg
(アベマシクリブ)
50mg1錠
100mg1錠
150mg1錠
3,258.70円
5,949.20円
8,460.10円
ローブレナ錠25mg・100mg
(ロルラチニブ)
25mg1錠
100mg1錠
7,216.40円
25,961.00円
静注2mg
(ロラゼパム)
2mg1mL1瓶 2,225円
ビーリンサイト点滴静注用35μg
(ブリナツモマブ(遺伝子組換え))
35μg1瓶(輸液安定化液付) 281,345円
フィラジル皮下注30mgシリンジ
(イカチバント酢酸塩)
30mg3mL1筒 301,704円
ジビイ静注用500・1000・2000・3000
(ダモクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え))
500国際単位1瓶(溶解液付)
1,000国際単位1瓶(溶解液付)
2,000国際単位1瓶(溶解液付)
3,000国際単位1瓶(溶解液付)
75,376円
139,307円
257,462円
368,761円
エイベリス点眼液0.002%
(オミデネパグ イソプロピル)
0.002%1mL 945.30円

 

留意事項通知が発出(2018.11.20追記)

薬価収載の告示と同日付で、何品目か留意事項通知が出ています。

モビコール:他の便秘薬効果不十分時に使用

モビコールは、アミティーザ・グーフィス・リンゼスと同様、他剤効果不十分時に使用するよう留意事項が出されました。5)
薬効によるものではなく、値段が高いからです(多分)。

なお、合わせてアミティーザ・グーフィス・リンゼスの留意事項に、モビコール(というかマクロゴール4000配合製剤)のことが追記されています。

4. 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(1) モビコール配合内用剤
本製剤の成人への使用に当たっては、他の便秘症治療薬(ルビプロストン製剤、エロビキシバット水和物製剤及びリナクロチド製剤を除く。)で効果不十分な場合に、器質的疾患による便秘を除く慢性便秘症の患者へ使用すること。

トラディアンス:14日投薬期間制限の対象外&使用時の注意点を諸々

今回はトラディアンスとメトアナが対象外です。5)
配合剤だからですねぇ。

あとは最近の糖尿病配合剤にありがちな使用時の注意点が諸々と。

2. 療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(平成18年厚生労働省告示第107号。以下「掲示事項等告示」という。)の一部改正について
新医薬品(医薬品医療機器等法第14条の4第1項第1号に規定する新医薬品をいう。)については、掲示事項等告示第10第2号(1)に規定する新医薬品に係る投薬期間制限(14日分を限度とする。)が適用されるが、掲示事項等告示の改正によって、新たにトラディアンス配合錠AP、同配合錠BP、メトアナ配合錠LD及び同配合錠HDが当該制限の例外とされた。

4 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(2) トラディアンス配合錠AP及び同配合錠BP
1 効能・効果
2型糖尿病(ただし、エンパグリフロジン及びリナグリプチンの併用による治療が適切と判断される場合に限る。)であること。
2 保険適用上の取扱い
ア 糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮すること。糖尿病以外にも耐糖能異常・尿糖陽性等、糖尿病類似の症状(腎性糖尿、甲状腺機能異常等)を有する疾患があることに留意すること。
イ 本製剤を2型糖尿病治療の第一選択薬として用いないこと。
ウ 本製剤のうち配合錠AP(エンパグリフロジン/リナグリプチンとして10mg/5mg)については、原則として、既にエンパグリフロジン1日10mg及びリナグリプチン1日5mgを併用し状態が安定している場合、エンパグリフロジン1日10mgの単剤治療により効果不十分な場合、あるいはリナグリプチン1日5mgの単剤治療により効果不十分な場合に使用を検討すること。
エ 本製剤のうち配合錠BP(エンパグリフロジン/リナグリプチンとして25mg/5mg)については、原則として、既にエンパグリフロジン1日25mg及びリナグリプチン1日5mgを併用し状態が安定している場合、エンパグリフロジン1日10mg及びリナグリプチン1日5mgの治療により効果不十分な場合、あるいはエンパグリフロジン1日25mgの単剤治療により効果不十分な場合に使用を検討すること。
オ 本製剤投与中において、本製剤の投与がエンパグリフロジン及びリナグリプチンの各単剤の併用よりも適切であるか慎重に判断すること。

メトアナ:14日投薬期間制限の対象外&使用時の注意点を諸々

トラディアンスとほぼ一緒です。

2. 療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(平成18年厚生労働省告示第107号。以下「掲示事項等告示」という。)の一部改正について
新医薬品(医薬品医療機器等法第14条の4第1項第1号に規定する新医薬品をいう。)については、掲示事項等告示第10第2号(1)に規定する新医薬品に係る投薬期間制限(14日分を限度とする。)が適用されるが、掲示事項等告示の改正によって、新たにトラディアンス配合錠AP、同配合錠BP、メトアナ配合錠LD及び同配合錠HDが当該制限の例外とされた。

4. 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(3) メトアナ配合錠LD 及び同配合錠HD
1 効能・効果
2型糖尿病(ただし、アナグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る)であること。
2 保険適用上の取扱い
ア 糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮すること。糖尿病以外にも耐糖能異常・尿糖陽性等、糖尿病類似の症状(腎性糖尿、甲状腺機能異常等)を有する疾患があることに留意すること。
イ 本製剤を2型糖尿病治療の第一選択薬として用いないこと。
ウ 本製剤のうち配合錠LD(アナグリプチン/メトホルミン塩酸塩として100mg/250mg)については、原則として、既にアナグリプチン100mg1日2回及びメトホルミン塩酸塩250mg1日2回を併用し状態が安定している場合、アナグリプチン100mg1日2回の単剤治療により効果不十分な場合、あるいはメトホルミン塩酸塩250mg1日2回の単剤治療により効果不十分な場合に使用を検討すること。
エ 本製剤のうち配合錠HD(アナグリプチン/メトホルミン塩酸塩として100mg/500mg)については、原則として、既にアナグリプチン100mg1日2回及びメトホルミン塩酸塩500mg1日2回を併用し状態が安定している場合、アナグリプチン100mg1日2回及びメトホルミン塩酸塩250mg1日2回の治療により効果不十分な場合、あるいはメトホルミン塩酸塩500mg1日2回の単剤治療により効果不十分な場合に使用を検討すること。
オ 本製剤投与中において、本製剤の投与がアナグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の各単剤の併用よりも適切であるか慎重に判断すること。

ゾスパタ:レセプトに検査実施日記載

(4) ゾスパタ錠40mg
本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において、「十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、FLT3遺伝子変異陽性が確認された患者に投与すること。」とされているので、FLT3遺伝子変異陽性を確認した検査の実施年月日を診療報酬明細書に記載すること。
なお、当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。
ただし、本剤の初回投与に当たっては、必ず実施年月日を記載すること。

ベージニオ:レセプトに検査実施日記載

イブランスとほぼ一緒の内容です。

(5) ベージニオ錠50mg、同錠100mg 及び同錠150mg
本製剤の効能・効果は「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」であることから、ホルモン受容体陽性、HER2陰性であることを確認した検査の実施年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
なお、当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。
ただし、本剤の初回投与に当たっては、必ず実施年月日を記載すること。

ローブレナ:レセプトに使用済のALK阻害薬記載

ローブレナは他のALK阻害薬が抵抗性・不耐容で使えないときに使う薬剤です。
そのため、レセプトに前に使ったALK阻害薬の品名を記載することとなりました。5)

(6) ローブレナ錠25mg 及び同錠100mg
本製剤の効能・効果は「ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容のALK 融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」であることから、他のALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容の場合にのみ投与すること。
また、本製剤の投与開始に当たっては、使用していたALKチロシンキナーゼ阻害剤の品名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

フィラジル:在宅自己投与OK

フィラジルは発作時に緊急投与が必要な注射剤のため、自己投与可能になりました。1),5)

2. 療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(平成18年厚生労働省告示第107号。以下「掲示事項等告示」という。)の一部改正について
イカチバント製剤について、掲示事項等告示第10第1号の「療担規則第20条第2号ト及び療担基準第20条第3号トの厚生労働大臣が定める保険医が投与することができる注射薬」として定めたものであること。

3. 特掲診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第63号)の一部改正について
イカチバント製剤について、特掲診療料の施設基準等別表第9「在宅自己注射指導管理料、注入器加算、間歇注入シリンジポンプ加算、持続血糖測定器加算及び注入器用注射針加算に規定する注射薬」として定めたものであること。

4. 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(7) フィラジル皮下注30mg シリンジ
1 本製剤は、イカチバント製剤であり、本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は、「診療報酬の算定方法」(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という。)区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
2 本製剤は注入器一体型のキットであるため、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合、医科点数表区分番号「C151」注入器加算は算定できないものであること。

ジビイ:在宅自己投与OK

ジビイも、いつもの血友病の血液製剤の留意事項が記載されてます~。5)

4. 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(8) ジビイ静注用500、同静注用1000、同静注用2000 及び同静注用3000
1 本製剤は遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤であり、本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
2 本製剤は針及び注入器付の製品であるため、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合、医科点数表区分番号「C151」注入器加算及び「C153」注入器用注射針加算は算定できないものであること。

 

薬価の決めかた

モビコール:グーフィスと薬価合わせ【加算あり】

モビコールは、同じEAファーマの慢性便秘症治療薬「グーフィス」の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。
それに小児加算が5%加算されております。

モビコール配合内用剤:83.90円(1日薬価:260.30円)
グーフィス錠5mg:105.80円(1日薬価:215.20円
※国内長期投与試験での平均投与量を基に算出

外国価格との乖離がすごい(英:22.40円、独:105.60円、仏:31.70円)んですが、以下の理由で外国平均価格調整は実施されなかったようです。
1. モビコールが、開発要請品目であること
2. 外国承認後、10年経過していること
3. 算定薬価が外国平均価格の3倍を上回ること(外国平均価格は22.40円。独は最低価格の2.5倍を上回るので対象外。仏は適応が違うので対象外。)

 

個人的にはとっても納得しがたい!!
いや、算定ルールどおりに算定したらそうなるのはわかるんですけど!!

1包80円かぁ~~…せめてOTC薬だったら許容できるのですが。でも高いけど。
成人がMAX飲んだら1日6包だから、1日約500円かぁ~…高い…。
頓服ならまだしも、毎日飲むには高いよなぁ~~~…(めっちゃ文句言う人)。

新薬創出等加算品目ではないので、納入価激安にしてさっさと薬価下げよう(提案)。

ベオーバ:ベタニスと薬価合わせ

ベオーバは、同じβ3受容体刺激薬「ベタニス錠」の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

ベオーバ錠50mg:185.70円(1日薬価:185.70円)
ベタニス錠50mg:185.70円(1日薬価:185.70円)

うむ納得の価格!
審査過程で位置づけの違いが認められていたら加算あったかもしれませんが、一蹴されたため特に加算ナシです。
やっぱ直接比較試験がないと、加算は厳しいのかもしれない。

トラディアンス:ジャディアンス+トラゼンタと薬価合わせ(配合剤の特例)

トラディアンスは、単剤が両方日本ベーリンガーの製品なので、
「(ジャディアンスの薬価+トラゼンタの薬価)×0.8」という新医療用配合剤の特例で算定。

トラディアンス配合錠AP:283.30円(1日薬価:283.30円)
ジャディアンス錠10mg:198.70円(1日薬価:198.70円)
トラゼンタ錠5mg:155.40円(1日薬価:155.40円)

計算式はこんな感じ。
(198.70円+155.40円)×0.8≒283.30円

妥当ですね。

余談ですが、米国価格は1錠約1840円とのことです。
高い!!

メトアナ:スイニー+メトホルミンと薬価合わせ(配合剤の特例)

トラディアンスも、単剤が両方三和化学の製品なので、
「(スイニーの薬価+メトホルミンMT「三和」の薬価)×0.8」という新医療用配合剤の特例で算定。

メトアナ配合錠HD:62.20円(1日薬価:124.40円)
スイニー錠100mg:62.20円(1日薬価:124.40円)
メトホルミン塩酸塩錠500mgMT「三和」:9.90円(1日薬価:19.80円)

ただし、算定薬価がスイニーの薬価を下回ってしまったため、最終的な算定薬価はスイニー錠100mgと同額になりました。

こちらも妥当。

ゾスパタ:エボルトラと薬価合わせ【加算あり】

ゾスパタは、再発・難治性の急性リンパ性白血病(ALL)治療薬「エボルトラ点滴静注」の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

ゾスパタ錠40mg:19,409.10円(1日薬価:58,227.30円)
エボルトラ点滴静注20mg:144,255円(1日薬価:200,927円)

1日薬価全然違うのは、剤形間比の調整が入ったからですね。
錠と点滴だと、薬価が結構変わるのじゃ…。

その後、新規作用機序かつ一定の有効性が認められたことから有用性加算(II)が5%。
先駆け審査指定品目なので10%の加算がつきました。

 

類似薬エボルトラなんですねぇ~。
ゾスパタは急性骨髄性白血病(AML)治療薬でエボルトラはALL治療薬。
もはや適応も違うじゃないか…!

AML治療薬で一番収載日が近いのは、多分マイロターグ(2008年6月薬価収載)。
類似薬効比較方式(I)の比較薬は過去10年以内に薬価収載されたものとされているので、マイロターグは比較薬になれなかったものと思われます。数ヵ月差だった。オシイ!

新薬算定最類似薬は、当該新薬が承認を受けた日の前日から起算して過去10年間に薬価収載されたものであって、当該新薬算定最類似薬に係る後発品が薬価収載されていないもの

あとは、イムブルビカ(比較薬:マブキャンパス)の収載時に、中医協で「低分子医薬品の比較薬に抗体医薬品を使うのは腑に落ちない。低分子医薬品は抗体医薬品に比べて開発費が安いのに、抗体医薬品の1日薬価に合わせると、不当に薬価が高くなるのでは。」的な議論があったのも影響あるかもしれませんね。

そんなわけで、同じ急性白血病治療薬のエボルトラが選択されたと推測します。

ベージニオ:イブランスと薬価合わせ

ベージニオは、同じ乳がん治療法CDK4/6阻害薬「イブランスカプセル」の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

ベージニオ錠150mg:8,460.10円(1日薬価:16,920.20円)
イブランスカプセル125mg:22,560.30円(1日薬価:16,920.20円)

特に異論はありません。

ローブレナ:ザーコリと薬価合わせ【加算あり】

ローブレナは、同じファイザーのALK阻害薬「ザーコリカプセル」の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

ローブレナ錠100mg:25,961.00円(1日薬価:25,961.00円)
ザーコリカプセル250mg:12,362.40円(1日薬価:24,724.80円)

ALK阻害薬の耐性変異(G1202R変異等)を有する患者に対する奏効が認められたことから、有用性加算が5%入っております。

比較薬、ジカディアじゃなくてザーコリなんですねぇ。
てっきり一番新しい薬が比較薬になるのかと思ってました。

ロラピタ:ノーベルバールと薬価合わせ【加算あり】

ロラピタは、同じてんかん重積状態治療薬の「ノーベルバール」の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

ロラピタ静注2mg:2,225円(1日薬価:8,900円)
ノーベルバール静注用250mg:2,119円(1日薬価:8,476円)

小児適応を有することから小児加算が5%ついてます。

これも外国平均価格が69円、米国価格でも222円なので、かなりお高め。
開発要請品目の価格決定って難しいんだなぁと。
開発しろって言っといて、すんごい安い薬価には出来ないんですかねぇ…。

ビーリンサイト:ベスポンサと薬価合わせ【加算あり】

ビーリンサイトは、同じ再発・難治性の急性リンパ性白血病(ALL)治療薬「ベスポンサ」の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

ビーリンサイト点滴静注用35μg:281,345円(1日薬価:150,051円)
ベスポンサ点滴静注用1mg:1,307,092円(1日薬価:126,041円)

既存化学療法に対する優越性が示されているため有用性加算(II)が10%、
小児の臨床試験を実施していることから小児加算が5%ついてます。
ついでに外国平均価格調整でちょこっと引き上げ。

外国に比べてちょこっとお安めになっております(英国:300,533円、米国:413,752円)。
ビーリンサイトは画期的な薬だと個人的には思っているので、もうちょっと高くても良かったのでは。

 

ヘムライブラといいビーリンサイトといい、二重特異性抗体ってバイオ工学の申し子感があって、個人的には好きです。
新しい発送の薬を見ると、ワクワクしますね!

フィラジル:ベリナートPと薬価合わせ【加算あり】

フィラジルは、同じ遺伝性血管性浮腫の急性発作用薬「ベリナートP」の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

フィラジル皮下注30mgシリンジ:301,704円(1日薬価:301,704円)
ベリナートP静注用500:99,483円(1日薬価:298,449円)

既存化学療法に対する優越性が示されているため有用性加算(II)が5%、
オーファンなので市場性加算(I)が10%つきました。
その上で、外国平均価格調整で引き下げられています。

外国よりはかなりお高め(英国:206,855円)。
といっても米国は驚きの1,428,611円なので、それに比べれば全然ですけどね。

ジビイ:ノボエイトと薬価合わせ

ジビイは、同じ血友病A治療薬(第8因子製剤)「ノボエイト静注用」の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(II)。

ジビイ静注用3000:368,761円(1日薬価:70,240円)
ノボエイト静注用3000:204,017円(1日薬価:70,240円)

妥当ですねぇ。

エイベリス:タプロスと薬価合わせ

エイベリスは、同じ参天製薬の緑内障治療薬「タプロス点眼液」の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。

エイベリス点眼液0.002%1mL:945.30円(1日薬価:47.30円)
タプロス点眼液0.0015%1mL:945.30円(1日薬価:47.30円)

比較薬タプロスなのかぁー。

 

余談:今回も薬価算定の不服意見は無かった。

今回の収載の特徴は、
1. 内用薬が多かった
2. 原価計算方式の算定薬が無かった
3. 不服意見を提出したメーカーが無かった
ですかねぇ。

実に12成分中7成分が内用薬でした。
そして結構プライマリーっちゅうか調剤薬局で出そうな薬が多かった印象。
最近、病院向けとか専門医向けの薬剤が多いので、久々にわかりやすい薬剤が多かったなぁと思いました。

あとは経口抗がん剤が3つもありましたね。
この子たちもこれからはガンガン院外処方されそうですし、がんを(入院ではなく)自宅で治療する時代がもう来てるんだなぁとしみじみ感じました。

 

算定の話だと、原価計算方式の薬剤がありませんでしたね。
新規作用機序の薬自体は結構あったのですが、新しい適応の薬剤が無かったのかな。
といってもフィラジルやゾスパタは原価計算でも良かったんじゃないの?と思う面もあり、類似薬の予測はつくづく難しいです。

 

不服意見も最近出てませんねぇ。
最近、審査時点でリジェクトされた有用性は、薬価算定時もリジェクトされることが続いたので、メーカーさんも薬価算定時点でゴネても仕方ないなって思ってるのかもしれません。
トルツ事件の傷跡は深いのかも。

トルツ事件とは
2016年8月の中医協で勃発した、トルツの薬価と留意事項通知を巡る薬価算定史に残る事件(個人的見解)。
トルツの薬価が外国平均価格調整によって、同じ適応のルミセフよりも薬価が1.7倍高くなったことから、2016年8月24日の中医協にて「ルミセフ先に使ってね。トルツ使うときは理由書いてね。」という留意事項通知が発出されそうになった2)その後リリーがトルツの薬価収載を撤回し、2016年11月に改めて(為替レート変動のため)外国平均価格調整なしで収載された3)
この事件をもって、類薬に比べて高すぎる薬価になると、留意事項通知で使用制限がかかる可能性があることが判明した。出来るだけ高薬価を狙う今までの戦略が瓦解し、企業戦略に大きな影響を及ぼした歴史的事件である(個人的見解)。

 

参考文献
1)中央社会保険医療協議会 総会(第401回) 医薬品の薬価収載について, 厚生労働省, https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00011.html.
2)「同種同効なら低薬価品」、厚労省が留意事項通知 トルツ皮下注で注意喚起、新薬9成分15品目薬価収載, m3.com, https://www.m3.com/news/iryoishin/452612.
3)薬価、10万円ダウンでも問題なし?トルツ薬価再申請、企業戦略と薬価算定方式に異論続出, m3.com, https://www.m3.com/news/iryoishin/475301.
4)薬価算定の基準について(通知), 保発0207第1号, http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=514228&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000193793.pdf.
5)使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について, 保医発1119第4号, 2018年11月19日.

更新履歴:
2018.11.15 公開
2018.11.15 20:45 エボルトラの適応をALLに修正し、ゾスパタの比較薬について追記
ご指摘ありがとうございました!
2018.11.20 留意事項通知の内容を追記