5月22日に、4月の第一・第二部会で審議・報告された品目が適応追加されたようなので、まとめました。
効能等追加品目の一覧
今回承認された効能等追加品目の一覧です。
会社名をクリックすると、各社のニュースリリースに飛びます。
(直PDFのリンクもありますので、ご注意ください。)
ジェムザールはまだ適応追加されてなさそう。
多分6月末(7月頭?)の新医薬品の承認と同時じゃないかなぁ。
効能等追加品目
販売名(一般名) | 会社名 | 効能等追加事項 |
ゲンボイヤ配合錠 (エルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミドフマル酸塩) |
日本たばこ=鳥居 *提携:ギリアド |
追加用量:小児用量の追加 |
ブロプレス錠2・4・8・12 (カンデサルタン シレキセチル) |
武田テバ薬品=武田 | 追加用量:小児用量の追加 *事前評価済み公知申請(2018.11.9より保険適用) |
カンデサルタン錠2mg・4mg・8mg・12mg「あすか」 (カンデサルタン シレキセチル) |
あすか製薬=武田 | 追加用量:小児用量の追加 |
ポマリストカプセル1mg・2mg・3mg・4mg (ポマリドミド) |
セルジーン | 追加用法:ボルテゾミブ+デキサメタゾン併用時の用法等追加 |
アクテムラ点滴静注用80mg・200mg・400mg (トシリズマブ(遺伝子組換え)) |
中外 | 追加適応:既存治療で効果不十分な成人スチル病 |
エンタイビオ点滴静注用300mg (ベドリズマブ(遺伝子組換え)) |
武田 | 追加適応:中等症から重症の活動期クローン病の治療及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る) |
ビクトーザ皮下注18mg (リラグルチド(遺伝子組換え)) |
ノボ | 追加用量:効果不十分時の最高用量追加 |
留意事項通知・適正使用に関する通知が出ています
アクテムラ:前治療効果不十分時に投与すること
前治療効果(ステロイド)が不十分だった場合に使う旨が追記されました。4)
(3)アクテムラ点滴静注用80mg、同200mg及び同400mg
(略)
2 全身型若年性特発性関節炎及び成人スチル病の治療の場合
本製剤の使用上の注意に、「過去の治療において、副腎皮質ステロイド薬による適切な治療を行っても、効果不十分な場合に投与すること。」と記載されているので、使用に当たっては十分留意すること。(略)
気になるのは…
ゲンボイヤ:小児用量の追加
体重25kg以上の小児に対する用量が追加されました。
基本的には母子感染した小児に使うのかな?
25kg以上だと、大体6歳くらいから使えるようです。
すでに抗HIV治療ガイドラインには、(ほとんどが適応外使用であるものの)小児の治療薬がガッツリ書かれているので、この適応追加によって急に推奨薬が変わることはないかなーと思います。
でも適応が承認されるのって大事ですからね。
心置きなく使えるようになるのは間違いない。
気になるのは骨への影響でしょうか。
スタリビルドやツルバダに含まれるテノボビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)は、骨密度低下を引き起こすことが知られています。3)
一方、ゲンボイヤに含まれるテノボビル アラフェナミド(TAF)は、骨密度への影響がTDFよりも少ないと言われています。
なんですが、いかんせんTAFは使われ始めたばっかりですからね。
成人よりも注意しておいた方が良さそう。
ただ、小児HIV-1感染症患者は、HIV-1陰性患者に比べて骨密度が低いという報告があるそうなので3)、治療しないのもダメっぽい。
うーん。
何はともあれ、小児HIV治療は、まず母子感染を予防する方向でがんばったほうが良いかと思います。
妊婦健診しっかり行こう。
ポマリスト:ベルケイド+デキサメタゾン併用の用法等追加
ポマリストは、もともとレブラミドとベルケイドでの治療歴がある患者にしか投与できませんでしたが、今回の適応追加でベルケイドの治療歴が無い患者にも投与できるようになりました。
臨床試験の基準を見るに、レブラミドの治療歴は必須で、ベルケイドは耐性が無ければ過去に使ってても使って無くてもOK。って感じですかね。
【添付文書記載事項】
効能・効果に関連する使用上の注意:
1. 本剤による治療は、少なくとも1つの標準的な治療が無効又は治療後に再発した患者を対象とすること。
2. 臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
国際共同第3相試験にて、ベルケイド+デキサメタゾンにポマリストを上乗せした結果、PFSの延長が認められています。
ただ、(副次評価項目ですが)OSの延長は無かった模様。
国際共同第3相試験(MM-007) | 試験結果2), 3) |
【対象患者】 | レナリドミドを含む1〜3レジメンの治療歴がある再発又は難治性の多発性骨髄腫患者 |
【主要評価項目】 PFS |
有意に長い
ポマリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン併用投与群(281例): |
【副次評価項目】 OS(中間解析) |
有意差無し
ポマリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン併用投与群(281例): |
位置づけは審査報告書(もう公開されてる!)にモッサモッサ書いてあります。
が、結局どれを優先して使うかの公式見解はまだ無さそうです。
短期間で作用機序の違う新薬がいっぱい出てくるのって、嬉しい反面使用順序にめちゃくちゃ悩みますよね…。
学会が盛り上がりそうだ~。
2)各製品添付文書
3)各製品審査報告書
4)アクテムラ点滴静注用80mg、同200mg及び同400mgの医薬品医療機器等法上の効能・効果等の変更に伴う留意事項の一部改正について, 保医発0522第1号, 令和元年5月22日.