感染症
COVID-19ワクチン
2021年は、コミナティ・スパイクバックス(名前変わりましたね!)・バキスゼブリアの3つのワクチンが登場しました。
コミナティとスパイクバックスはmRNAワクチン。
バキスゼブリアはウイルスベクターワクチンです。
COVID-19用中和抗体薬
2021年は、
・ロナプリーブ点滴静注
・ゼビュディ点滴静注液
が登場しました。
どちらも軽症~中等症の患者に使いますが、ロナプリーブはオミクロンには使用しないこととされています。
現状一般には流通しておらず、登録センターを通じて配分されます。
ラゲブリオカプセル
年末土壇場で承認された、待望のCOVID-19用の経口薬。
RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害薬です。
個人的にはモルヌピラビルの方がわかりやすい。
こちらも軽症~中等症が対象で、重症リスクのある患者に使います。
18歳以上の患者に1日2回5日間投与。
催奇形性の懸念があるため、妊婦は投与禁忌、一定期間の避妊が必要です。
現状、一般には流通しておらず、登録センターを通じて配分されます。
オルミエント錠:COVID-19の適応追加
COVID-19肺炎に対して適応追加。
こっちは中等症~重症の患者(酸素吸入やECMOが必要な患者)に、入院下で使用します。
ステルイズ水性懸濁筋注
ついに来た、梅毒治療用の筋注製剤。
一般名はベンジルペニシリンベンザチン。
そうですめっちゃ古い薬です。
早期梅毒なら単回投与で治療が完結するのが強み。
ようやく欧米の標準治療薬が日本でも使えるようになりました。
部会の審議品目だったのに、報告品目扱いで収載されたのが未だに腑に落ちてない。
中枢神経系
抗CGRP(受容体)抗体製剤
2021年は、片頭痛の発作抑制薬が登場しました。
登場したのはエムガルティ・アジョビ・アイモビーグの3つ。
エムガルティは月1回、アジョビは4週or12週1回、アイモビーグは4週1回。
微妙に用法が違うので注意です。
ちなみにアイモビーグだけ「受容体」抗体製剤です。
どっちが良いのかはまだわからず。
循環器系
ベリキューボ錠
ちょっと遅れてきた慢性心不全治療薬。
新薬なのにファンタスティック・フォーに入れてもらえなかったの悲しみ…。
可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激作用薬ということで、肺高血圧症治療薬のアデムパスと同じ作用機序ですね。
エンレスト錠:高血圧の適応追加
高血圧の適応追加。
第一選択薬ではないものの、久々の新規作用機序…新規作用機序?の降圧剤ってことで、使う場面はあるのかなぁと思います。
あとは値段…。
ジャディアンス錠:慢性心不全の適応追加
フォシーガに続いてジャディアンスも慢性心不全の適応が追加。
今回はHFrEFの方。
HEpEFでも結果が出ていたので、今後の適応拡大が気になります。
消化器系
レベスティブ皮下注用
短腸症候群に使う、初めてのGLP-2アナログ製剤。
GLPといえば1が有名ですが、2は主に腸に作用して、水分や栄養の吸収を促進しています。
薬剤師的には、併用薬の吸収を高める可能性がある点に注意です。
内分泌・代謝系
ツイミーグ錠
新しい作用機序の糖尿病治療薬。
ミトコンドリアに作用するらしい。
個人的には改変メトホルミンにしか見えぬ。
欧米で未承認なこともあり位置づけが不明確なので、できれば専門医の先生方に、早めに評価をつけて欲しいなぁと思います。
リオナ錠:鉄欠乏性貧血の適応追加
高リン血症治療薬のリオナに、鉄欠乏性貧血の適応が追加されました。
まぁクエン酸第二鉄水和物なので、鉄欠乏性貧血にも効きそうだとは思ってた。
ただお値段がちょっと高い…。
高リン血症患者で、ついでに鉄も補充したい場合に使う感じ…?
でもそれだと今までと一緒のような気もする…。
アレルギー・免疫系
経口JAK阻害薬
2021年は、アトピー性皮膚炎に対して
・サイバインコ錠が発売、
・リンヴォック錠が適応追加
となりました。
2020年のオルミエントの適応追加に続いて、3つの経口JAK阻害薬がアトピー性皮膚炎に使えるようになっています。
JAK阻害といえばコレクチム軟膏もそうですが、位置づけは全然違いますね。
経口薬は重症患者に使うイメージです。
腎臓・泌尿器系
フォシーガ:慢性腎臓病の適応追加
SGLT2阻害薬のフォシーガに、慢性腎臓病の適応が追加。
早く処方箋に適応疾患を書いて欲しい。
用法用量や併用薬で推測するのには限界があるぞ。
婦人科系
エフメノカプセル
更年期障害に使える天然型黄体ホルモン製剤。
意外と単剤で更年期に使える黄体ホルモン製剤ってなかったんですよねぇ…意外なことに。
個人的には、これを期に更年期障害へのホルモン補充療法が再注目されると良いなと思っております。
レルミナ錠:子宮内膜症の適応追加
子宮筋腫に使うレルミナ錠に、子宮内膜症の適応が追加。
GnRHアンタゴニスト製剤なので、まぁリュープリンとかゾラデックスとかGnRHアゴニスト製剤と同じように使われるんでしょうね。
毎日服用なので、注射とどっちが良いかは好みだけど、選択肢が増えるのは良き。
がん
エドルミズ錠
がん悪液質を改善するグレリン様作用薬。
個人的には立君子湯の西洋版…?って思ってますが、漢方詳しい人の評価求む。
新規ターゲット系経口抗がん剤
2021年は、新規ターゲットの抗がん剤として、
・EZH2阻害薬のタズベリク錠
・RET阻害薬のレットヴィモカプセル(わかりやすい名前!)
・FGFR阻害薬のペマジール錠
が出ました。
抗体薬物複合体(ADC)
2021年は、
・ポライビー点滴静注用(ポラスツズマブ ベドチン)
・パドセブ点滴静注用(エンホルツマブ ベドチン)
の2つが出ました。
どっちも今後の適応拡大が注目されておりますね。
免疫チェックポイント阻害薬系の適応追加
(全然追えてないのでモレモレです)
個人的には
・オプジーボ:胃がん1st
・オプジーボ:食道がん(術後補助化学療法)
・オプジーボ:原発不明がん
・キイトルーダ:子宮体がん
・キイトルーダ:食道がん1st
・バベンチオ:尿路上皮がん(維持療法)
あたりが熱かったです。
ダラキューロ配合皮下注
ダラザレックス点滴静注の皮下注版。
劇的に投与時間が減りました。すごい。
点滴静注全部これにして欲しい。
デリタクト注
初登場のがん治療用ウイルス。
使ってるウイルスはヘルペスウイルスで、がん細胞でのみ増殖します。
適応は悪性神経膠腫という脳腫瘍。
他のがん腫にも使えるものが出てくると良いなぁと思います。
ユニツキシン点滴静注
小児で多い神経芽腫に使える抗がん剤。
ようやく使えるようになった!と小児科系の先生が湧いてた記憶があります。
海外の標準治療が日本で使えるようになるのはありがたいですね。
希少疾病・難病系
オラデオカプセル
遺伝性血管性浮腫の発作抑制薬。
ほっとくと致死的なことになりかねない発作なので、予防薬が登場したのはとても良き。
ギブラーリ皮下注
急性肝性ポルフィリン症の発作抑制薬。
作用機序はRNAi(RNA干渉)
こちらも予防薬が登場したのはとても良きです。
この調子でいろんな疾患に対する核酸医薬品が出てくれると良いなぁ。
イズカーゴ点滴静注用
ムコ多糖症2型治療薬。
点滴の酵素製剤だけどBBBを通過できるのが強み。
これの登場で、1ヵ月前に収載されたヒュンタラーゼ脳室内注射液の位置づけが不明瞭に…発売時期って大事だね。
エブリスディドライシロップ
脊髄性筋萎縮症治療薬として、初めての経口薬。
既存薬(スピンラザ&ゾルゲンスマ)は入院が必要だったので、在宅でも治療可能な経口薬の登場はありがたい限り。
とはいえ毎日経口薬を投与し続けるのも大変だと思うので、ケースバイケースなのかなぁと思います。
いずれにしても選択肢が増えるのは良い。
ソグルーヤ皮下注
週1回投与の成長ホルモン製剤。
成長ホルモン業界にも、ようやく長時間作用型製剤の波が来ました!
ただ、いまのところ成人のみの適応です。小児もがんばってくれ。
あと注射が痛いのかどうかが気になってます。
リンスパッド点滴静注用
重症α1アンチトリプシン欠乏症の初めての治療薬。
不足している物質を週1回の点滴で補充することで、疾患の進行を遅らせます。
補充すれば予後が改善する系の疾患は、すべからく治療薬があると良いのになぁと思います。
希少疾病に取り組んでるメーカーさんは、ほんと大事にしていただきたい…。
ダラキューロ:ALアミロイドーシスの適応追加
多発性骨髄腫治療薬のダラキューロに、ALアミロイドーシスの適応追加。
ベルケイドやエンドキサン、デカドロンとの併用療法です。
ALアミロイドーシスの治療って、多発性骨髄腫に準拠しているのですが、適応追加してくれてる抗がん剤がない!!
そんななか、しっかり難病の適応も追加してくれるダラキューロさんに、個人的には非常に好感を持っております。
リツキサン:全身性強皮症の適応追加
抗CD20抗体製剤のリツキサンに、全身性強皮症の適応追加。
AMED案件みたいです。
もう特許切れてんのに積極的?に適応追加してくれる姿勢がステキですね。
B細胞が何かしてたらとりあえずリツキサンってイメージがあるので、今後もB細胞系の疾患に果敢に挑んでいって欲しいなぁ…と思います。