5月16日に開催された中医協で、新医薬品の薬価収載が了承されました。
その後5月21日に告示、5月22日に薬価収載されました。
2018年5月22日収載予定の新医薬品
販売名(一般名) | 規格単位 | 薬価 |
アジレクト錠 (ラサギリンメシル酸塩) |
0.5mg1錠 1mg1錠 |
512.10円 948.50円 |
パルモディア錠 (ペマフィブラート) |
0.1mg1錠 | 33.90円 |
スージャヌ配合錠 (シタグリプチンリン酸塩水和物/イプラグリフロジン L-プロリン) |
1錠 | 263.80円 |
オルケディア錠 (エボカルセト) |
1mg1錠 2mg1錠 |
280.70円 412.10円 |
ガラフォルドカプセル (ミガーラスタット塩酸塩) |
123mg1カプセル | 142,662.10円 |
シベクトロ錠 (テジゾリドリン酸エステル) |
200mg1錠 | 20,801.40円 |
プレバイミス錠 (レテルモビル) |
240mg1錠 | 14,379.20円 |
ネイリンカプセル (ホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物) |
100mg1カプセル | 804.60円 |
トレムフィア皮下注シリンジ (グセルクマブ(遺伝子組換え)) |
100mg1mL1筒 | 319,130円 |
ヘルニコア椎間板注用 (コンドリアーゼ) |
1.25単位1瓶 | 81,676円 |
シベクトロ点滴静注用 (テジゾリドリン酸エステル) |
200mg1瓶 | 28,084円 |
プレバイミス点滴静注 (レテルモビル) |
240mg12mL1瓶 | 17,897円 |
ヘムライブラ皮下注 (エミシズマブ(遺伝子組換え)) |
30mg1mL1瓶 60mg0.4mL1瓶 90mg0.6mL1瓶 105mg0.7mL1瓶 150mg1mL1瓶 |
376,006円 692,565円 989,990円 1,134,028円 1,552,824円 |
ラパリムスゲル (シロリムス) |
0.2%1g | 3,855.00円 |
アイセントレス錠 (ラルテグラビルカリウム) |
600mg1錠 | 1,553.60円 |
留意事項通知が発出(2018.5.22追記)
薬価収載の告示と同日付で、何品目か留意事項通知が出ています。
14日投薬期間制限の対象外:スージャヌ、アイセントレス錠600mg
今回はスージャヌとアイセントレス錠600mgが対象外です。
新医薬品(医薬品医療機器等法第14条の4第1項第1号に規定する新医薬品をいう。)については、掲示事項等告示第10第2号(1)に規定する新医薬品に係る投薬期間制限(14日分を限度とする。)が適用されるが、掲示事項等告示の改正によって、新たにスージャヌ配合錠及びアイセントレス錠600mgが当該制限の例外とされた。
在宅自己投与可能:ヘムライブラ
ヘムライブラは週1回投与なので、自己投与可能になりました。
(1) エミシズマブ製剤について、掲示事項等告示第10 第1号の「療担規則第20条第第2号ト及び療担基準第20条第3号トの厚生労働大臣が定める保険医が投与することができる注射薬」として定めたものであること。
エミシズマブ製剤について、特掲診療料の施設基準等別表第9「在宅自己注射指導管理料、注入器加算、間歇注入シリンジポンプ加算、持続血糖測定器加算及び注入器用注射針加算に規定する注射薬」として定めたものであること。
スージャヌ配合錠
配合剤のいつもの留意事項が通知されております。
概要はカナリアと一緒。
効能・効果
2型糖尿病(ただし、シタグリプチンリン酸塩水和物及びイプラグリフロジンL-プロリンの併用による治療が適切と判断される場合に限る。)であること。保険適用上の取扱い
ア 糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮すること。糖尿病以外にも耐糖能異常・尿糖陽性等、糖尿病類似の症状(腎性糖尿、甲状腺機能異常等)を有する疾患があることに留意すること。イ 本製剤を2型糖尿病治療の第一選択薬として用いないこと。
ウ 原則として、既にシタグリプチン50mg 1日1回及びイプラグリフロジン50mg 1日1回を併用し状態が安定している場合、あるいはシタグリプチン50mg 1日1回又はイプラグリフロジン50mg 1日1回の単剤治療により効果不十分な場合に、本製剤の使用を検討すること。
エ 本製剤投与中において、本製剤の投与がシタグリプチン及びイプラグリフロジンの各単剤の併用よりも適切であるか慎重に判断すること。
シベクトロ錠・点滴静注
本製剤の使用に当たっては、耐性菌の発現を防ぐため、次のことに注意すること。
1. 感染症の治療に十分な知識と経験を持つ医師又はその指導のもとで行うこと。
2. 原則として他の抗菌剤及び本製剤に対する感受性(耐性)を確認すること。
3. 投与期間は、感染部位、重症度、患者の症状等を考慮し、適切な時期に、本製剤の継続投与が必要か判定し、疾患の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
ヘムライブラ皮下注
1. 本製剤の使用に当たっては、血液凝固第Ⅷ因子のインヒビターを保有することの確認が前提であり、インヒビター力価の測定された年月日及び力価を診療報酬明細書の摘要欄に記入すること。
2. 本製剤は、エミシズマブ製剤であり、本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は、「診療報酬の算定方法」(平成20 年厚生労働省告示第59 号)別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という。)区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
3. 本製剤は針及び注入器付の製品であるため、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合、医科点数表区分番号「C151」注入器加算及び「C153」注入器用注射針加算は算定できないものであること。
薬価の決めかた
アジレクト:トレリーフと薬価合わせ
アジレクトは、トレリーフの1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。
アジレクト錠1mg:948.50円(1日薬価:948.50円)
トレリーフOD錠25mg:948.50円(1日薬価:948.50円)
「なんで比較薬が同じMAO-B阻害薬のエフピーじゃないんじゃい。」と思いましたが、類似薬効比較方式(I)の比較薬は、以下のように決められているのでした。2)
新薬算定最類似薬は、当該新薬が承認を受けた日の前日から起算して過去10年間に薬価収載されたものであって、当該新薬算定最類似薬に係る後発品が薬価収載されていないもの
エフピーOD錠は2007年薬価収載なので、比較薬にはなれなかったのです・・・。
後発品も出てますしね。
パルモディア:リピディル、トライコアと薬価合わせ
パルモディアは、リピディルとトライコアの1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(II)。
パルモディア錠0.1mg:33.90円(1日薬価:67.80円)
リピディル錠80mg:33.90円(1日薬価:67.80円)
トライコア錠80mg:33.70円(1日薬価:67.40円)
薬価に対して不服意見を出されております。
ザックリした概要はこちら。




最近不服意見が認められた事例を見てない気がする。
スージャヌ:ジャヌビア+スーグラと薬価合わせ(配合剤の特例)
スージャヌは、「(ジャヌビアの薬価+スーグラの薬価)×0.8」
新医療用配合剤の特例で算定。
スージャヌ配合錠:263.80円(1日薬価:263.80円)
ジャヌビア錠50mg:129.50円(129.50円)
スーグラ錠50mg:200.20円(1日薬価:200.20円)
計算式はこんな感じ。
(263.80円+129.50円)×0.8≒263.80円
妥当ですね。
オルケディア:レグパラと薬価合わせ
オルケディアはレグパラの1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。
オルケディア錠2mg:412.10円(1日薬価:1,648.40円)
レグパラ錠25mg:549.50円(1日薬価:1,648.50円)
レグパラは2007年12月収載なので「過去10年以内」のルールから外れていますが、恐らく他に適切な薬剤がなかったので比較薬に設定されたと思われます(自信なし)。
パーサビブが比較薬でも良いと思うんですけどね。
オルケディアも不服意見出されております。


大体非劣性でしょ。審査でも「臨床的位置づけはレグパラと同様」ってなったっしょ。ダメ-。
非劣性試験しかしてないのに加算をもらうのは厳しいんですねぇ。
個人的にはプラセボ対照じゃないだけで評価したいですが・・・安全性を主要評価項目にした試験って出来ないのかな。
ガラフォルド:原価計算方式で算定【加算あり】
ガラフォルドは類薬がないので、原価計算方式で算定です。
てっきりファブラザイム(薬価:3.5mg3.5mL1瓶 365,889円)やリプレガル(薬価:35mg1瓶 726,768円)を比較薬にするのかと思いましたが、違いました。
作用機序も投与経路も違うからかしらー。
臨床上有用な新規作用機序の薬剤であることから、有用性加算が5%、希少疾病用医薬品なので市場性加算が10%つきました。
が、製造総原価の開示度が低かったため、加算係数0.2を乗じることに。
結果、加算は3%となったのでした。
初めての経口治療薬という点は、やはり評価されましたね。
ただ思ったより薬価が高かった。
ガラフォルド2週間で約100万円かかるので、体重50kg位の人で酵素補充療法と価格的にはトントンになりますかね。
50kg以上の人はガラフォルドの方が安い。
あ、ファブリー病(というかライソゾーム病)は指定難病&小児慢性特定疾患なので、申請さえすれば、払う医療費は月に最大2万円です。
医療費の破綻が近いとはいえ、難病に対する助成は最後まで切らないで欲しいものです。
シベクトロ:ザイボックスと薬価合わせ
シベクトロはザイボックスの1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。
シベクトロ錠200mg:20,801.40円(1日薬価:20,801.40円)
ザイボックス錠600mg:10,400.70円(1日薬価:20,801.40円)
シベクトロ点滴静注用200mg:28,084円(1日薬価:28,084円)
ザイボックス注射液600mg:14,042円(1日薬価:28,084円)
こちらも妥当。
プレバイミス:原価計算方式で算定【加算あり】
プレバイミスは類薬がないので、原価計算方式で算定です。
臨床上有用な新規作用機序の薬剤であることから、画期性加算(!)が75%(!)、希少疾病用医薬品なので市場性加算が10%つきました。
こちらも製造総原価の開示度が低かったため、加算係数は0.2。
結果、加算は17%でした。
画期性加算は、以下の点が評価されて加算されました。
1. 新規作用機序
2. 既存治療に比べ、全死亡率を改善
3. 造血幹細胞移植の生着に影響しない(既存薬のガンシクロビルは、生着前の投与で生着が遅延)
4. 好中球の減少が認められていない(ガンシクロビルは、生着時点からの投与で好中球が減少し、感染症が増加)
良く効いて副作用が少ないなんて、素晴らしすぎませんか。
さすが画期性加算。
ネイリン:クレナフィンと薬価合わせ【加算あり】
ネイリンはクレナフィンの1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。
投与経路が違っても、作用機序が一緒だと比較薬になるんですね。
イトリゾールやラミシール錠は古すぎたんだ・・・。
ネイリンカプセル100mg:804.60円(1日薬価:804.60円)
クレナフィン爪外用液10%:1,604.50円(1日薬価:1,850.70円)
1日薬価全然違うじゃん!とお思いでしょう。私も思いました。
これは、ラミシール外用液とラミシール錠の剤形間比「0.41407」が適用されたためです。
剤形間比を適用した薬価766.30円に、有用性加算5%を加算し、薬価が算出されました。
有用性加算は、既存の経口薬が使えない患者に対して使用可能であり、審査で「爪白癬に対する新たな治療選択肢を提供するものであり、臨床的意義がある」と評価されている点がポイントのようです。
トレムフィア:ステラーラと薬価合わせ
トレムフィアはステラーラと1日薬価を合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。
トレムフィア皮下注100mgシリンジ:319,130円(1日薬価:5,699円)
ステラーラ皮下注45mgシリンジ:437,038円(1日薬価:5,203円)
キット部分に対する加算と、外国平均価格調整(引き上げ)が実施されています。
ドイツは約56万円らしい。
アメリカはRED BOOK価格だけど約136万円。高い!
ヘルニコア:原価計算方式で算定【加算あり】
ヘルニコアも類薬が無いので原価計算方式。
有用性加算(I)が40%ついてます。すごい!
しかも加算係数1.0!偉い!
加算係数1.0ということは製品総原価の80%以上が開示されているということです。
誠意を感じますね。
有用性加算は、以下の点が評価されたようです。
1. 新規作用機序
2. 手術よりも患者への侵襲が少ない
3. 保存療法で効果不十分の患者に新たな治療選択肢を提供
ヘムライブラ:イロクテイトと薬価合わせ【加算あり】
ヘムライブラは、イロクテイトと1日薬価を合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。
ヘムライブラ皮下注90mg:989,990円(1日薬価:117,856円)
イロクテイト静注用3000:237,977円(1日薬価:73,660円)
有用性加算(I)が50%、希少疾病用医薬品なので市場性加算(I)が10%ついてます。
こちらもイロクテイト3000と2000の規格間比(0.8811926)を適用して加算してーとした結果、上記の薬価とあいなりました。
有用性加算は、以下の点が評価されたようです。
1. 臨床上有用な新規作用機序
2. 皮下投与なので利便性が高い(既存薬は静注)
3. ヒト・動物由来の原材料が使われていないため、原材料由来の感染症伝播リスクが低減(ヘムライブラは生物由来製品だが、定期投与可能な既存のバイパス製剤〔ファイバ〕は特定生物由来製品)
ラパリムスゲル:錠剤と薬価合わせ【加算あり】
ラパリムスゲルは同成分のラパリムス錠と1日薬価を合わせてます。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。
ラパリムスゲル0.2%1g:3,855.00円(1日薬価:3,084.00円)
ラパリムス錠1mg:1,285.00円(1日薬価:2,570.00円)
※1日最大塗布量(0.8g)で算定
有用性加算(II)が10%、先駆け審査指定制度加算が10%ついてます。
評価点は以下のとおり。
1. 「結節性硬化症に伴う皮膚病変」の初めての薬剤
2. 外科的切除より侵襲性が低い
3. 血中に移行する量が少ないため、錠剤で見られる間質性肺炎等注意喚起がされいない
ゾフルーザもですが、先駆け審査指定品目のわりに加算が少ないのが悲しい。
アイセントレス錠600mg:400mg錠と薬価合わせ
アイセントレス錠600mgは、既存の400mg錠と1日薬価を合わせてます。
算定方式は類似薬効比較方式(I)。
アイセントレス錠600mg:1,553.60円(1日薬価:3,107.20円)
アイセントレス錠400mg:1,553.60円(1日薬価:3,107.20円)
結局400mg錠も600mg錠も同薬価になりましたね。
効果が一緒ってことなので、値段が一緒なのは妥当。
雑談:今回の薬価算定の感想
画期性加算品目がひさびさに登場!
今回久々!の画期性加算が出ましたね。
画期性加算なんて、ほっとんど見ませんよ。
前回は2015年のソバルディ錠だったかな。
その前は2002年のファンガードだったようなので、ホントにレアキャラです。
みんなプレバイミスを覚えるんだ。
私もこれから勉強します。
2)薬価算定の基準について(通知), 保発0207第1号, http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=514228&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000193793.pdf.
3)使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について, 厚生労働省法令等データベースサービス, http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T180521S0010.pdf.