6月14日に、未熟児動脈管開存症治療薬の「イブリーフ」と、抗HIV薬「アイセントレス」の新規格が発売されました。
イブリーフ静注
販売名(一般名) | 会社名 | 備考 |
イブリーフ静注20mg (イブプロフェン L-リシン) |
千寿 ※日本製薬が情報提供活動を実施 |
適応:下記疾患で保存療法(水分制限、利尿剤投与等)が無効の場合 未熟児動脈管開存症 |
千寿製薬さんは製剤写真を提供してないっぽいので略。
バイアル製剤でございます。
未熟児動脈管開存症は、早産児に多い疾患です。
動脈管は胎児特有の血管で、肺動脈と大動脈を繋いでいます。2)
血液は基本的に大静脈→心臓→肺動脈→肺→肺静脈→心臓→大動脈→全身→大静脈…と巡っています。
しかし、胎児期は肺に血液を送る必要があまりないため、一部の血液は動脈管を使ってショートカットしています。
動脈管があることで、大静脈→心臓→肺動脈→動脈管→大動脈→全身→大静脈…と、血液が巡れるのですね。
赤ちゃんが生まれて肺呼吸が始まると、動脈管は必要なくなるため自然に閉じていきます。
しかし、動脈管が閉じずに開いたままになっていることがあり、そうすると肺や心臓に負担がかかってしまいます。2)
これが、動脈管開存症です。
治療では、まずプロスタグランジン合成阻害薬(インダシン)を投与し、動脈管が閉じるのを促します。2)
これが無効の場合は、手術によって動脈管を閉じます。2)
イブリーフはインダシンと同様、プロスタグランジン合成阻害作用により、動脈管を閉じさせる作用を持っています。
ちょっと前に、モーラステープが妊娠後期の妊婦に禁忌になりましたが、これと一緒の作用ですね。
NSAIDsを妊婦に使うと副作用ですが、動脈管開存症の赤ちゃんに使うと治療になると。
クスリの多面的な作用の一例になる適応だなぁと感じました。
インダシンとの使い分けは、インドメタシンとイブプロフェンの使い分けと一緒かなーと思います。
一応、インドメタシンと同等の効果があって、副作用が少ないと考えられています。3)
どちらにしても、適応が1製剤だけというのは供給的に問題なので、選択肢が増えて嬉しい限り。
ってモーラステープの改訂ちょっと前じゃなかったわ。2014年だから4年も前だった。
最近「ちょっと前」の感覚がおかしいです。これがROUKA…。
アイセントレス錠600mg
販売名(一般名) | 会社名 | 備考 |
アイセントレス錠600mg (ラルテグラビルカリウム) |
MSD | HIVインテグラーゼ阻害薬 適応:HIV感染症 |
(MSDwebサイトより)
アイセントレスは以下の記事でちょっぴりご紹介したので、そっちをご参照ください!

400mg製剤は、600mg製剤に切り替わっていくのかなぁという感じ。
効果が同じなら1日1回の方が楽ですものね。
2)動脈管開存症, 特非)日本小児外科外科学会, http://www.jsps.gr.jp/general/disease/cv/PDA.html.
3)未承認薬・適応外薬の要望「イブプロフェン リジン塩」, 厚生労働省, http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/03/dl/youbousyo-45.pdf.
4)HIVインテグラーゼ阻害剤 「アイセントレス錠600mg」発売のお知らせ, MSD(株), http://www.msd.co.jp/newsroom/msd-archive/2018/product_news_0614.xhtml.